「訪問看護指示書って、そもそもどんな書類なの?」「有効期間は?」「主治医が変わったらどうすればいい?」——訪問看護を利用する・提供するうえで避けて通れないのが、この訪問看護指示書です。名前は知っていても、記載事項や有効期間、種類ごとの違い、依頼の仕方まで正確に把握できている方は意外と多くありません。
この記事では、訪問看護指示書に関する基本知識をこの1本に集約しました。訪問看護指示書とは何かという基礎から、記載事項・様式・有効期間、通常の指示書と特別訪問看護指示書・精神科訪問看護指示書の違い、依頼の流れ、主治医変更や入退院時の注意点まで、実務でつまずきやすいポイントを網羅的に解説します。より詳しく知りたいテーマがあれば、本文中の関連記事リンクからそれぞれの解説記事にも進めます。
- 訪問看護指示書とは何か、なぜ必須なのか
- 記載事項・様式・有効期間の基本ルール
- 通常の指示書・特別訪問看護指示書・精神科訪問看護指示書の違い
- 訪問看護指示書の依頼方法と、誰が依頼するのが正しいのか
- 主治医変更・入退院・複数事業所が関わる場面での注意点
- 指示書を書いてもらえない場合の対処法
目次
訪問看護指示書とは?訪問看護に必須の指示書
訪問看護指示書とは、患者の主治医が交付する、訪問看護の実施を指示する文書です。訪問看護は医療行為を伴うため、指定居宅サービス等の運営基準により、主治医からの文書による指示がなければ訪問看護を行うことができません。介護保険・医療保険のどちらで訪問看護を利用する場合であっても、この指示書がなければ訪問看護ステーションはサービスを提供できず、報酬の算定もできません。
指示書には、患者の基本情報、主傷病名、病状、投薬内容、日常生活の留意事項、リハビリテーションの要否、褥瘡の処置、医療機器の管理、緊急時の連絡先などが記載されます。訪問看護師はこの指示書の内容に沿ってケアプランを組み立て、実際の訪問看護を行います。

訪問看護指示書は「主治医からステーションへの指示書」であって、患者さんやご家族が作成するものではありません。ただし、依頼のきっかけを作るのはケアマネジャーやステーション側であることが多いんですよ。この点は後ほど詳しく説明しますね。
訪問看護指示書の記載事項・様式・有効期間
訪問看護指示書は、厚生局が公表している様式(別紙様式16)に準じた書式で作成されます。訪問看護ステーションが医療機関に依頼書とともに指示書用紙を送付し、主治医が記入して返送する流れが一般的です。
有効期間(訪問看護指示期間)は1か月から最長6か月の範囲で主治医が定めます。期間の記載がない場合は発行日から1か月とみなされる運用が一般的とされています。有効期間が切れた状態で訪問看護を継続すると、報酬の算定ができなくなるため、ステーション側は期限管理を徹底する必要があります。

訪問看護指示書の種類|通常・特別・精神科の違い
訪問看護指示書には、大きく分けて3つの種類があります。それぞれ交付される場面や有効期間、算定できる回数のルールが異なるため、混同しないよう整理しておきましょう。
| 種類 | 交付される場面 | 有効期間の目安 |
|---|---|---|
| 訪問看護指示書(通常) | 継続的な訪問看護の実施全般 | 1〜6か月(主治医が指定) |
| 特別訪問看護指示書 | 病状の急性増悪・退院直後など集中的な看護が必要な場合 | 原則14日以内 |
| 精神科訪問看護指示書 | 精神疾患を有する利用者への訪問看護 | 1〜6か月(主治医が指定) |
特別訪問看護指示書は、医療保険・介護保険の区分に関わらず医療保険での訪問看護に切り替わり、原則として月1回・14日以内の交付という制限があります。ただし気管カニューレを使用している状態や真皮を超える褥瘡がある場合など、条件を満たせば月2回の交付が認められるケースもあります。この交付要件や記載方法は別記事で詳しく解説しています。
また、精神疾患を有する利用者に訪問看護を提供する場合は、通常の訪問看護指示書とは別に精神科訪問看護指示書が必要です。記載事項や算定ルールが通常の指示書と異なる点が多いため、あわせて確認しておきましょう。
訪問看護指示料・訪問看護指示加算とは
訪問看護指示書を交付した医療機関は、医療保険の診療報酬として「訪問看護指示料」を算定できます。点数はC007 訪問看護指示料=300点で、退院時や在宅療養中の患者について月1回を限度に算定されます。
あわせて、在宅患者訪問点滴注射管理指導料や特別管理指導加算など、状態に応じて算定できる加算も存在します。これらは訪問看護ステーション側の請求実務に直結する部分のため、事務担当者は指示書の内容と請求内容が一致しているかを都度確認する必要があります。
訪問看護指示料は医療機関側が算定するものであり、訪問看護ステーション側が直接受け取る報酬ではありません。しかし指示書の記載内容が不備だと、ステーション側の訪問看護療養費・介護報酬の請求にも影響するため、双方にとって重要な書類です。
訪問看護指示書は誰が・どう依頼するのか
訪問看護指示書は主治医が「交付」するものですが、交付のきっかけとなる「依頼」は誰が行うのでしょうか。実務上は、訪問看護ステーションの管理者や担当看護師が、ケアマネジャーと連携しながら主治医の医療機関に依頼書を送付するケースが多く見られます。介護保険サービスの場合はケアマネジャーが調整役を担うことも一般的です。
誰が依頼すべきかという役割分担があいまいなまま進めると、指示書の取得が遅れて訪問看護の開始が遅延する原因になります。依頼の流れと役割分担を事前に整理しておきましょう。

新規の利用者さんの場合、初回訪問前に指示書の依頼〜交付までを終わらせておく必要があります。医療機関側の事務処理にも時間がかかるので、早め早めの依頼が肝心ですね。
依頼をしても、主治医の多忙などを理由になかなか指示書を交付してもらえないケースも実務では起こり得ます。そのような場合の具体的な対処法は、下記の記事で詳しく解説しています。
主治医・医療機関が変わるときの注意点
訪問看護指示書は、患者の状態変化によって主治医や医療機関が変わる場面で特に注意が必要です。指示書の再取得が必要かどうか、日付をどう扱うかで実務担当者が迷いやすいポイントを整理します。
| 場面 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 主治医が変更になった | 新しい主治医から改めて指示書を取得する必要がある |
| 入院した | 退院後に訪問看護を再開する場合、原則として新たな指示書が必要 |
| 退院してすぐ訪問看護を再開する | 指示書の指示期間の起算日(日付の扱い)に注意が必要 |
| 老健(介護老人保健施設)から在宅復帰する | 施設の医師と在宅の主治医、どちらが交付するかを事前に確認 |
入院・転院・主治医変更のタイミングでは、指示書の有効期間が実質的に途切れてしまうことがあります。指示書なしで訪問看護を行った期間は報酬算定ができないため、退院前カンファレンスなどの機会を利用して、早めに新しい指示書の手配を進めることが重要です。
それぞれの場面ごとの具体的な対応方法は、以下の記事でケース別に詳しく解説しています。

複数の事業所・サービスが関わるときの注意点
訪問看護指示書は「1つの指示書につき、原則1つの訪問看護ステーション」に対して交付されるのが基本的な考え方です。2か所の訪問看護ステーションが同時に関わるケースや、訪問リハビリと訪問看護の両方を利用しているケースでは、指示書の交付元や記載内容の整合性に注意が必要になります。

複数のステーションや訪問リハビリが関わる場合、「同じ医師から指示書をもらうべきか」で迷う相談をよく受けます。ケースによって考え方が変わる部分なので、個別の記事で丁寧に解説していますよ。
訪問看護指示書に関するよくある質問
訪問看護指示書は誰が作成するのですか?
患者の主治医が作成・交付します。訪問看護ステームの看護師やケアマネジャーが作成することはできません。ただし、依頼書の送付や交付の調整は、ステーション側やケアマネジャーが行うのが一般的です。
訪問看護指示書の有効期間はどのくらいですか?
通常の訪問看護指示書は1か月から最長6か月の範囲で主治医が定めます。特別訪問看護指示書は原則14日以内と、通常の指示書より短い期間が設定されます。
訪問看護指示書がないまま訪問看護を行うとどうなりますか?
指示書が交付されていない期間の訪問看護は、医療保険・介護保険いずれの報酬も算定できなくなります。有効期間の管理と、期限が近づいた際の更新依頼を徹底することが重要です。
特別訪問看護指示書は月に何回まで交付できますか?
原則は月1回・14日以内の交付です。ただし気管カニューレを使用している状態や真皮を超える褥瘡がある場合など、一定の条件を満たせば月2回の交付が認められるケースがあります。詳しい交付要件は特別訪問看護指示書の記事で解説しています。
主治医が変わった場合、訪問看護指示書はどうすればよいですか?
新しい主治医から改めて訪問看護指示書を取得する必要があります。旧主治医の指示書をそのまま使い続けることはできないため、変更が分かった時点で早めに依頼することが望まれます。
主治医が訪問看護指示書を書いてくれない場合はどうすればよいですか?
依頼書の内容や依頼のタイミング、伝え方を見直すことで改善するケースが多くあります。ケアマネジャーを通じて調整する方法や、それでも改善しない場合の対応については、関連記事で具体的な手順を解説しています。
※有効期間・算定点数などの数値は、一次情報での完全な確認ができなかった項目を含みます。最新かつ正確な内容は、告示・通知の原文または所轄の厚生局・保険者にご確認ください。

訪問看護指示書の様式・記載例をより詳しく確認したい方は、特別訪問看護指示書の交付要件についての記事もあわせてご覧ください。
特別訪問看護指示書の交付要件|月2回の条件と記載方法を読むまとめ|訪問看護指示書は種類・期限・依頼の役割分担を正しく理解することが重要
訪問看護指示書は、訪問看護を提供・利用するうえで欠かせない書類であり、種類ごとの違いや有効期間、依頼の役割分担を正しく理解しておくことが、報酬算定の漏れやトラブルを防ぐ第一歩になります。
- 訪問看護指示書がなければ訪問看護は行えず、報酬算定もできない
- 有効期間は通常1〜6か月、特別訪問看護指示書は原則14日以内
- 通常・特別・精神科の3種類があり、それぞれ交付場面と要件が異なる
- 依頼はステーション・ケアマネジャーが調整し、交付は主治医が行う
- 主治医変更・入退院・複数事業所が関わる場面では再取得や日付の確認が必要
それぞれのテーマをより深く知りたい場合は、本文中の関連記事リンクから詳細な解説記事へ進んでください。























