在宅で点滴注射を継続して受ける必要がある利用者への対応を検討する際、「週に何回まで通常の指示書で対応できるのか」「別の指示書が必要になるタイミングはいつか」と迷うことがあります。この境目を決めているのが「在宅患者訪問点滴注射指示書」です。指示書の種類を誤って理解していると、算定漏れや訪問看護記録の不備につながるおそれがあります。
この記事では、在宅患者訪問点滴注射指示書の交付要件・指示期間・管理指導料を、通常の訪問看護指示書との関係、複数ステーションが関わる場合の注意点も含めてわかりやすく解説します。
- 在宅患者訪問点滴注射指示書とは何か
- 指示期間の考え方(7日以内)
- 週1〜2回の点滴では別途の指示書が不要な理由
- 在宅患者訪問点滴注射管理指導料の点数・算定要件
- 厚生労働省Q&Aに見る実務上の注意点
目次
在宅患者訪問点滴注射指示書とは?
在宅患者訪問点滴注射指示書とは、週3日以上の点滴注射を行う必要があると主治医が判断した場合に、訪問看護ステーションに対して交付される指示書です。この指示書が必要な場合、通常の訪問看護指示書とは別に、計2枚の指示書を受け取る形になります。両方の指示書が揃って初めて、点滴を含む訪問看護を正しく提供できる状態になります。
指示期間は7日以内、月に何度でも再交付できる
在宅患者訪問点滴注射指示書の有効期間は7日以内と定められています。通常の訪問看護指示書(1〜6か月)や特別訪問看護指示書(原則14日以内)と比べても、非常に短い期間で区切られているのが特徴です。
この7日という単位は、1か月の中で何度でも再交付できる点も押さえておきましょう。通常の訪問看護指示書のように月単位で考えるのではなく、週単位で管理する意識が必要です。点滴注射が長期間にわたって必要な場合は、7日ごとに新しい指示書を交付してもらう運用になります。

7日ごとの更新が必要なので、通常の訪問看護指示書よりも管理の手間がかかります。次の指示書をいつ依頼するか、あらかじめカレンダーで管理しておくと安心ですよ。

週1〜2回の点滴なら、通常の指示書だけで対応可能
週3日以上ではなく、週1〜2回程度の点滴注射であれば、在宅患者訪問点滴注射指示書を別途交付してもらう必要はありません。通常の訪問看護指示書の中に、点滴の内容についての具体的な指示が記載されていれば、その指示書のみで点滴注射を実施できます。あらためて別の書式を用意する必要がない分、事務負担も抑えられます。
| 点滴の頻度 | 必要な指示書 |
|---|---|
| 週1〜2回程度 | 通常の訪問看護指示書のみ(点滴内容の記載が必要) |
| 週3日以上 | 通常の訪問看護指示書+在宅患者訪問点滴注射指示書(計2枚) |
病状によって点滴頻度が週ごとに変動する利用者の場合、その週の実施回数によって必要な指示書が変わる点に注意しましょう。当初は週2回の予定でも、病状変化で週3日以上に増える見込みがあれば、早めに主治医へ在宅患者訪問点滴注射指示書の交付を相談し、算定漏れが生じないよう準備しておくとスムーズです。

在宅患者訪問点滴注射指示書の様式・記載事項
在宅患者訪問点滴注射指示書は、厚生労働省が定める様式に準じて作成されます。通常の訪問看護指示書と同様に、患者の基本情報や病状に加えて、点滴注射に関する具体的な指示内容(薬剤名・投与量・投与速度・実施頻度等)を記載する欄が設けられています。指示書を受け取った際は、これらの記載内容が実施予定の点滴内容と一致しているかを、複数人でダブルチェックする体制が望まれます。
- 患者の基本情報・主傷病名
- 点滴注射の薬剤名・投与量・投与速度
- 点滴注射の実施頻度(週何回か)
- 指示期間(発行日から7日以内での記載)
- 緊急時の対応方針・連絡先

記載内容に不明点があれば、実施前に必ず主治医へ確認しましょう。特に薬剤の投与量や速度は、患者さんの安全に直結する部分なので、思い込みで進めないことが大切です。
在宅患者訪問点滴注射管理指導料とは
週3日以上の点滴注射を実施した場合、医療機関側は在宅患者訪問点滴注射管理指導料(C005-2)として、1週につき100点を算定できます。算定できるのは、1週間のうち3日以上、看護師等が患家を訪問して点滴注射を実施した場合に、その3日目に算定するという仕組みです。
指示は、保険医療機関に所属する看護師等への直接指示、または訪問看護ステーションへの指示書交付のいずれかの方法で行われます。医師は指示内容を診療録に記載し、看護師等は患者の病状把握と、点滴終了日・医師への報告を適切に行うことが求められています。この報告義務を怠ると、算定要件を満たさない扱いとなるリスクがあるため、日々の訪問看護記録に確実に反映させ、チーム内で情報を共有する仕組みを整えておきましょう。
薬剤料は管理指導料とは別に算定できますが、点滴の回路・輸液セット等にかかる費用は管理指導料に含まれており、別途算定することはできません。請求時に混同しないよう注意しましょう。
指示期間の途中で点滴が終了・変更になった場合
7日間の指示期間の途中で、点滴注射が終了した場合や、内容の変更が必要になった場合は、速やかに主治医へ報告し、必要に応じて新しい指示書の交付を受ける必要があります。訪問看護師は、点滴の終了日や病状の変化を適切なタイミングで医師に伝える役割を担っています。
逆に、指示期間の途中で点滴の必要がなくなった場合、指示があるからといってそのまま漫然と点滴を継続することはできません。医師の判断に基づいて、速やかに点滴を終了する必要があります。判断に迷う場合は、独断で継続・中止せず必ず主治医に確認しましょう。
複数のステーションが関わる場合の注意点
在宅患者訪問点滴注射指示書についても、複数の訪問看護ステーションが関わる場合は、通常の訪問看護指示書と同様に、各ステーションに対して個別に交付してもらう必要があります。1つのステーションに交付された指示書を、別のステーションで使い回すことはできません。原本を各ステーションで個別に保管する必要があります。
週3日以上の点滴管理は、指示期間が短く更新頻度も高いため、複数ステーションが関わる場合は特に管理が煩雑になりがちです。担当者間での情報共有が滞ると、更新漏れによる算定不可のリスクが高まります。交付日・有効期間・実施予定日を一覧管理する仕組みを整えておくと安心です。
厚生労働省Q&Aに見る実務上の注意点
厚生労働省のQ&Aでは、次のような論点が示されています。
- 管理指導料を算定している週は、週4日以上の訪問も可能か可能とされています。管理指導料は週3日以上の実施で算定するものであり、実際の訪問回数が週4日以上になっても、管理指導料の算定の可否には影響しません。
複数の訪問看護ステーションが関わる場合や、特別訪問看護指示書との組み合わせが必要になる場面もあります。関連記事もあわせてご確認ください。
よくある質問
在宅患者訪問点滴注射指示書はどのようなときに必要ですか?
週3日以上の点滴注射が必要と主治医が判断した場合に必要です。この場合、通常の訪問看護指示書とあわせて計2枚の指示書を受け取ることになります。
指示期間はどのくらいですか?
7日以内と定められています。1か月の中で何度でも再交付でき、点滴が長期間必要な場合は7日ごとに新しい指示書を受け取る運用になります。
週1〜2回の点滴でも別の指示書が必要ですか?
いいえ。週1〜2回程度であれば、通常の訪問看護指示書に点滴内容の指示が記載されていれば、その指示書のみで対応できます。
指示期間の途中で点滴が終了した場合はどうすればよいですか?
速やかに主治医へ終了の旨を報告する必要があります。指示期間が残っていても、点滴の必要がなくなった場合はそのまま継続することはできません。
複数の訪問看護ステーションが関わる場合、指示書はどうなりますか?
通常の訪問看護指示書と同様に、各ステーションに対して個別に交付してもらう必要があります。1通をコピーして複数のステーションで使い回すことはできません。
※指示期間(7日以内)・管理指導料の算定要件(週3日以上実施の3日目に算定)は厚労省一次通知で確認済み。最新かつ正確な点数は、最新の診療報酬点数表でご確認ください。

まとめ|週3日以上か1〜2回かで必要な指示書が変わる
在宅患者訪問点滴注射指示書は、週3日以上の点滴注射が必要な場合に、通常の訪問看護指示書とあわせて交付される指示書です。7日という短い指示期間、複数ステーションが関わる場合の個別交付の原則など、通常の訪問看護指示書とは異なる管理の手間が発生する点を踏まえ、更新漏れのない運用体制を整えておきましょう。
- 週3日以上の点滴注射が必要な場合、通常の指示書と合わせて計2枚が必要
- 指示期間は7日以内。1か月の中で何度でも再交付できる
- 週1〜2回程度なら、通常の訪問看護指示書の記載のみで対応可能
- 管理指導料は週3日以上の実施で、3日目に算定する
- 管理指導料算定週でも、週4日以上の訪問は可能
特別訪問看護指示書との組み合わせ、複数ステーションが関わる場合の一般的な注意点、訪問看護指示書そのものの基本ルールについては、関連記事もあわせてご確認ください。























