特別訪問看護指示書は原則月1回までの交付ですが、気管カニューレ使用中や真皮を超える褥瘡の状態にある利用者については、条件を満たせば月2回まで交付できます。ここで実務担当者が悩みやすいのが、指示期間が月をまたぐ場合、回数をどうカウントするのかという点です。
この記事では、月またぎのケースを具体例とともに整理し、正しい数え方を、精神科領域への応用や実務上の注意点も含めて解説します。
- 特別訪問看護指示書の月2回交付の基本ルール(おさらい)
- 指示期間が月をまたぐ場合の回数カウントの考え方
- 具体的な日付例での数え方のシミュレーション
- 実務でカウントを誤りやすいポイント
目次
おさらい|特別訪問看護指示書は原則月1回、条件付きで月2回
特別訪問看護指示書は、原則として利用者1人につき月1回限りの交付です。ただし、次のいずれかの状態に該当する場合は、月2回まで交付できます。
- 気管カニューレを使用している状態にある患者
- 真皮を越える褥瘡の状態にある患者
この月2回のルール自体の詳しい交付要件は、以下の記事で詳しく解説しています。
月をまたぐ場合のカウントは「発行日(指示期間の初日)」で判定する
指示期間が月をまたいで設定されている場合、その指示書が「どの月の1回・2回目にあたるか」は、指示期間の初日(発行日)がどちらの月に属するかで判定します。指示期間の終了日が翌月にかかっていても、カウント自体は開始日の属する月で数える、という考え方です。この基本ルールさえ押さえておけば、どんな日付の組み合わせであっても機械的に判断できます。

「終了日が9月だから9月の1回目」と考えてしまうと数え間違いのもとになります。あくまで指示期間の始まりの日付で月を判定するのがポイントです。

具体例で確認|月またぎの指示書はどう数える?
真皮を越える褥瘡の状態にある利用者を例に、実際の数え方をシミュレーションしてみましょう。
| 指示期間 | カウントされる月 | その月の交付回数 |
|---|---|---|
| 8月19日〜9月1日 | 8月(発行日基準) | 8月の1回目 |
| 9月2日〜9月15日 | 9月 | 9月の1回目 |
| 9月16日〜9月29日 | 9月 | 9月の2回目 |
このケースでは、「8月19日〜9月1日」の指示書は発行日である8月19日を基準に「8月分」としてカウントされるため、9月分としてはカウントされません。その結果、9月には改めて2回分(9月2日〜9月15日、9月16日〜9月29日)の交付枠が使えることになります。
逆に言えば、月をまたいだ指示書を「またいだ月(9月)の1回目」として数えてしまうと、実際にはまだ交付できるはずの回数を使い切ったと誤解してしまいます。反対に、本来は上限に達しているのに「発行日が前月だから大丈夫」と誤解して交付してしまうケースも起こり得るため、指示期間の開始日を必ず確認する習慣をつけましょう。

そもそもなぜ「月をまたぐ指示書」が生じるのか
特別訪問看護指示書の有効期間は原則14日以内です。病状の急性増悪等で交付されるタイミングは月末に近い日付になることも多く、14日間の指示期間を確保しようとすると、自然と翌月にまたがる設定になるケースが出てきます。たとえば月末に病状が悪化し、退院直後で集中的な訪問看護が必要になった場合、交付日が8月下旬であれば、指示期間は必然的に9月にまたがる形になります。特に月末から月初にかけての急変・退院はよくある場面であるため、事業所として月またぎのカウントに慣れておく価値は十分にあります。
このように、月をまたぐ指示書自体は特別な例外ではなく、実務上ごく普通に起こり得るケースです。だからこそ、正しいカウント方法を理解しておくことが重要になります。
気管カニューレ使用者・褥瘡以外は月1回が原則である点も忘れずに
ここまで解説した月2回のカウントルールは、あくまで気管カニューレを使用している状態、または真皮を超える褥瘡の状態にある患者に限った特例です。それ以外の理由(急性増悪や退院直後など)で特別訪問看護指示書を交付する場合は、月をまたぐかどうかにかかわらず、月1回が原則である点に変わりはありません。月2回交付できる対象要件に該当するかどうかを、まず正確に確認することが前提になります。

「月をまたいだから2回まで交付できる」というわけではありません。あくまで対象要件(気管カニューレ・褥瘡)を満たしているかどうかが先決です。ここを混同しないようにしましょう。
実務でカウントを誤りやすいポイント
月またぎの指示書に限らず、特別訪問看護指示書の回数管理では次のような点でミスが起こりやすくなります。
- 指示期間の「開始日」ではなく「終了日」で月を判断してしまう
- 複数の訪問看護ステーションが関わっている場合、それぞれの交付履歴を突き合わせていない
- 気管カニューレ・真皮を超える褥瘡の対象要件を満たさなくなったのに、月2回のペースで交付を続けてしまう(状態が改善した場合は速やかに見直しが必要)
- 月をまたいだ1通を「2か月分の交付」として二重にカウントしてしまう(実際には発行日の月の1回としてのみ数える)
特別訪問看護指示書の交付履歴は、指示期間の開始日・終了日・対象要件(気管カニューレ/褥瘡の状態)をセットで一覧管理しておくと、月またぎのケースでも数え間違いを防ぎやすくなります。
複数の訪問看護ステーションが同じ利用者に関わっている場合は、交付履歴の突き合わせがさらに重要になります。関連記事もあわせてご確認ください。
ケアマネジャー・関係事業所との情報共有も忘れずに
特別訪問看護指示書は病状の急性増悪時など、緊急性の高い場面で交付されることが多いため、ステーション内だけで完結せず、ケアマネジャーや併用している他のサービス事業所にも交付状況を共有しておくことが望まれます。特に月をまたぐケースでは、月初・月末をまたいでサービス提供体制が変わることもあるため、関係者全員が同じカウント認識を持てるようにしておきましょう。認識のズレは、結果的に利用者への支援が滞る原因にもなりかねません。
交付日・指示期間・対象要件(気管カニューレ/褥瘡)を一覧にした簡易な管理表を作っておくと、月をまたぐケースでも担当者間で認識のズレが生じにくくなります。エクセルやスプレッドシートで簡単に作成できるので、ぜひ運用に取り入れてみてください。
よくある質問
月をまたぐ特別訪問看護指示書は、どちらの月としてカウントしますか?
指示期間の初日(発行日)が属する月としてカウントします。終了日が翌月にかかっていても、開始日の月の1回として数えます。
月2回まで交付できるのはどのような場合ですか?
気管カニューレを使用している状態、または真皮を越える褥瘡の状態にある患者の場合、条件を満たせば月2回まで特別訪問看護指示書を交付できます。
月またぎの数え方を間違えるとどうなりますか?
本来まだ交付できる回数を使い切ったと誤解して必要な指示書を依頼し損ねたり、逆に上限を超えて交付してしまい算定要件を満たさない扱いになったりするリスクがあります。指示期間の開始日を必ず確認しましょう。
気管カニューレ・褥瘡以外の理由で交付された指示書が月をまたいだ場合はどうなりますか?
その場合は月2回の特例対象ではないため、月をまたいでいても月1回の原則が適用されます。まず対象要件を満たしているかどうかを確認することが先決です。要件を満たしていないのに月2回交付してしまうと、算定上の問題につながるおそれがあります。
月をまたぐ指示書はなぜ発生するのですか?
特別訪問看護指示書の有効期間は原則14日以内のため、月末近くに交付されると、指示期間が自然と翌月にまたがる形になります。特別なケースではなく、実務上よく起こる状況です。

精神科の特別訪問看護指示書でも考え方は同じ
精神科訪問看護指示書の枠組みにも、精神科特別訪問看護指示加算という、急性増悪時に頻回な訪問を可能にする仕組みがあります。この場合も、月をまたぐ指示期間が生じたときのカウントの考え方は、通常の特別訪問看護指示書と同様に、指示期間の初日(発行日)が属する月で判定するという基本原則に沿って整理するのが妥当です。精神科領域を担当する場合も、この考え方を応用できることを覚えておきましょう。精神科訪問看護指示書自体の交付要件(精神科を標榜する医療機関の精神科担当医師のみが交付できる等)については、別記事で詳しく解説しています。
まとめ|月またぎは「発行日基準」でシンプルに数えよう
特別訪問看護指示書の月2回ルールは、指示期間が月をまたいでいても、発行日(指示期間の初日)が属する月で判定するというシンプルなルールに基づいています。月をまたぐこと自体は珍しいことではなく、14日以内という有効期間の性質上、実務では頻繁に起こり得る状況です。カウントの基準さえ押さえておけば、慌てず対応できます。
- 特別訪問看護指示書は原則月1回、気管カニューレ・真皮を超える褥瘡は月2回まで
- 月をまたぐ場合は、指示期間の初日(発行日)が属する月でカウントする
- 月をまたぐ指示書は特別な例外ではなく、実務上ごく普通に起こる状況
- 終了日ではなく開始日で判断するのがポイント
- 交付履歴は開始日・終了日・対象要件をセットで一覧管理する
- 複数ステーションが関わる場合は特に交付履歴の突き合わせが重要
- 精神科の特別訪問看護指示加算でも、月をまたぐ場合の考え方は同じ
特別訪問看護指示書の交付要件全体、複数ステーションが関わる場合の注意点、精神科訪問看護指示書の要件については、関連記事もあわせてご確認ください。








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