「特別訪問看護指示書はどんな場合に交付できるの?」「交付要件をきちんと把握しておかないと、算定ミスになってしまうかも…」と不安を感じている訪問看護師や事務スタッフは少なくありません。
この記事では、特別訪問看護指示書の交付要件を3つの条件に整理して、わかりやすく解説します。月2回交付できるケース・指示期間中の保険の切り替え・様式の確認方法まで、現場で迷いやすいポイントをまるごとカバーしています。ぜひ日常業務の確認にお役立てください。
- 特別訪問看護指示書の交付要件(3つの条件)
- 月に2回交付できる特例の条件(気管カニューレ・褥瘡)
- 指示期間(14日以内)と頻回訪問の関係
- 指示期間中の保険(医療保険)切り替えと請求のポイント
- 現場でよく使う厚生労働省Q&A・よくある疑問の解消
目次
特別訪問看護指示書とは?通常の訪問看護指示書との違い
訪問看護を提供するためには、主治医から「訪問看護指示書」を交付してもらう必要があります。通常の訪問看護指示書は有効期限が最長6か月で、週3日を上限に訪問できます。
これに対して特別訪問看護指示書は、一時的に頻回な訪問(週4日以上)が必要になったときに交付される特別な指示書です。交付された日から最大14日間、毎日訪問を行うことができます。
| 項目 | 通常の訪問看護指示書 | 特別訪問看護指示書 |
|---|---|---|
| 有効期限 | 最長6か月(主治医が設定) | 交付日から14日以内 |
| 訪問の上限 | 週3日まで(難病等は週4日以上可) | 14日間は毎日可能 |
| 交付回数 | 特に制限なし(6か月ごと更新) | 原則1か月に1回まで |
| 適用保険 | 介護保険が優先(要件により医療保険) | 指示期間中は医療保険に切り替わる |
| 交付できる医師 | 主治医(かかりつけ医) | 主治医(介護老人保健施設・介護医療院の医師は不可) |

通常の指示書と特別指示書の大きな違いは「頻度」と「保険」の2点です。特別指示書が出た瞬間から、要介護者であっても医療保険に切り替わるという点は、請求上のミスが起きやすいところなので要注意ですね。
特別訪問看護指示書の交付要件【3つの条件】を詳しく解説
特別訪問看護指示書は、主治医が診療に基づき「一時的に週4日以上の頻回な訪問看護が必要」と判断した場合に交付できます。厚生労働省の規定では、次の3つの場合に限って交付が認められています。
- 急性感染症等の急性増悪時
- 末期の悪性腫瘍等以外の終末期
- 退院直後で週4日以上の頻回な訪問看護の必要を認めた場合
特別訪問看護指示書は「医師が診療に基づき一時的に必要と判断した場合」に交付するものです。状態の変化がないにもかかわらず毎月機械的・恒常的に交付することは、厚生労働省から「望ましくない」とされています。指導監査でも確認される重要な点です。
①急性感染症等の急性増悪時
肺炎・尿路感染症・蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの急性感染症をはじめ、慢性心不全の急性増悪や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪など、もともと安定していた病状が急に悪化した状態が対象です。
ポイントは「一時的な悪化」であること。在宅での集中的な看護介入で症状の安定が見込まれ、週4日以上の訪問が必要と主治医が判断した場合に交付が認められます。
判断例としては、発熱・炎症反応の上昇・脱水・創傷の急性悪化などが挙げられます。ただし、あくまでも主治医の診療による判断が前提であり、訪問看護師が「必要そう」と感じても、主治医の指示なしに算定することはできません。
②末期の悪性腫瘍等以外の終末期
末期の悪性腫瘍(がん)については、別表第7(特掲診療料の施設基準等)に掲げられる疾病として、通常から医療保険・週4日以上の訪問が可能です。そのため、この要件の対象は「がん以外の疾病による終末期」が中心となります。
たとえば慢性心不全・慢性呼吸不全・老衰などで終末期と判断された利用者さんに対して、緩和ケアや看取りに向けた集中的な支援が必要と主治医が認めた場合が該当します。
「末期の悪性腫瘍」は特別訪問看護指示書がなくても医療保険で週4日以上の訪問が可能(別表第7)です。一方、がん以外の疾病による終末期は特別訪問看護指示書が必要な場合があります。混同しないよう注意しましょう。
③退院直後で週4日以上の頻回な訪問看護が必要と認められた場合
入院から退院したばかりの利用者さんは、在宅での療養生活に慣れておらず、医療的ケアの頻度が高くなりがちです。退院直後に主治医が「週4日以上の頻回な訪問看護が必要」と認めた場合、特別訪問看護指示書を交付できます。
この場合の「退院直後」に具体的な日数の規定はありませんが、状態が安定するまでの一時的な期間として、主治医が診療に基づいて判断します。退院直後の看護介入は転倒・感染・再入院リスクを下げる重要な役割を担うため、積極的な活用が有効なケースです。
特別訪問看護指示書が月に2回交付できる特例条件
特別訪問看護指示書は原則として1人につき1か月に1回までですが、次の2つの状態にある利用者さんについては、例外的に1か月に2回まで交付することができます。
| 月2回交付が認められる条件 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 気管カニューレを使用している状態 | 在宅での気管切開管理を行っており、カニューレの管理や吸引が継続的に必要な利用者 |
| 真皮を越える褥瘡の状態 | 褥瘡(床ずれ)の深さがDESIGN-R分類でd2以上(真皮を越える)の状態にある利用者 |
この2つの条件に該当する場合、1か月の指示期間は最長28日(14日×2回)となります。ただし、毎月機械的に交付するのではなく、その都度、主治医が診療に基づいて必要性を判断したうえで交付することが前提です。

気管カニューレや深い褥瘡のある利用者さんは、状態変化が起きやすく、頻回な訪問が本当に必要なケースが多いですね。ただし、月2回の交付も「恒常的・機械的な交付」にならないよう、訪問看護報告書に頻回な訪問が必要な理由をしっかり記録しておくことが大切です。
特別訪問看護指示書の指示期間と訪問頻度のルール
特別訪問看護指示書が交付された場合、交付日から14日以内(14日を上限)において、毎日訪問看護を行うことができます。
訪問回数に関するルール
通常の訪問看護指示書では原則として週3日が上限ですが、特別訪問看護指示書の期間中は週の回数制限がなくなり、毎日訪問することも可能です。この期間中は「難病等複数回訪問加算」の算定も可能です(1日に2回以上訪問が必要な場合)。
週をまたいだ場合の注意点
特別訪問看護指示書が交付された週・および14日目の属する週については、特別指示書期間中以外の日については通常の週3日ルールが適用されます。
特別訪問看護指示書に基づいて訪問看護を行った場合は、頻回な訪問が必要な理由を訪問看護記録書に記録することが義務づけられています。また、訪問看護報告書においても訪問した日に「△」マークを付けて記載します。指導監査での確認ポイントのひとつでもあるため、記録の徹底を心がけましょう。
14日の考え方
「14日以内」は上限であって、必ずしも14日間訪問しなければならないわけではありません。厚生労働省のQ&Aでも「14日間は上限であり、医師の判断により14日以下の期間を限定して行うことになる」と明記されています。主治医が指定した日数・頻度で提供することが原則です。
特別訪問看護指示書が交付されたときの保険と請求のポイント
指示期間中は医療保険に切り替わる
特別訪問看護指示書の指示期間中は、要介護被保険者であっても医療保険が適用されます。これは重要なポイントで、普段は介護保険で訪問している利用者さんであっても、特別訪問看護指示書が出た日からは医療保険での請求に切り替えなければなりません。
特別訪問看護指示書を交付できるのは、利用者の主治医(かかりつけ医)に限られます。介護老人保健施設(老健)および介護医療院の医師は交付することができません。この点を誤ると請求が認められないため注意が必要です。
複数のステーションからの訪問
通常、訪問看護は1つのステーションから受けることが原則ですが、特別訪問看護指示書が交付されており週4日以上の訪問が計画されている場合は、2つの訪問看護ステーションから並行して訪問を受けることができます。
訪問看護計画書・報告書への記載
特別訪問看護指示書に基づく訪問看護では、以下の記録対応が必要です。
- 訪問看護計画書:主治医と連携を密にし、頻回な訪問の必要性を反映した計画を作成する
- 訪問看護報告書:特別訪問看護指示書に基づく訪問日に「△」マークを記載する
- 訪問看護記録書:一時的に頻回な訪問が必要な理由を明記する
- 連続交付の場合:訪問看護療養費明細書にその旨を記載する
特別訪問看護指示書の様式について
特別訪問看護指示書の書式は、厚生労働省が定める「別紙様式18」が標準様式です。(精神科の場合は「別紙様式17の2」が使用されます。)
「特別訪問看護指示書」と「在宅患者訪問点滴注射指示書」は同一の様式(別紙様式18)に記載する形式です。主治医に依頼する際は、どちらの指示書が必要かを明確に伝えましょう。近畿厚生局をはじめ各地方厚生局のホームページから様式をダウンロードできます。
記載項目としては、患者氏名・指示期間・指示内容(訪問の頻度・看護の要点)などが含まれます。月2回の交付となる場合は、「気管カニューレを使用している状態」または「真皮を越える褥瘡の状態」のいずれに該当するかを明確にしてもらう必要があります。
月をまたいだ場合の取り扱い
特別訪問看護指示書の指示期間が月をまたぐ場合、指示書は月ごとに1枚ずつ管理するのが基本です。たとえば1月25日に交付された特別訪問看護指示書の有効期限は2月7日(14日後)となりますが、1月分・2月分それぞれの訪問看護療養費明細書に分けて請求します。
このケースでは、2月分の請求にも特別訪問看護指示書に基づく旨を記載する必要があります。月またぎの処理は実務上の混乱が起きやすいポイントです。詳細は下の関連記事も参考にしてください。
よくある疑問:厚生労働省Q&Aと現場の声
特別訪問看護指示書の14日間は毎日訪問しなければならないのですか?
いいえ、14日間は上限であり、必ずしも毎日訪問する必要はありません。厚生労働省のQ&Aにも「14日間は上限であり、医師の判断により14日以下の期間を限定して行うことになる」と明記されています。主治医が指定した指示期間・頻度に従って訪問を行ってください。
介護老人保健施設(老健)に入所している利用者に特別訪問看護指示書は交付できますか?
介護老人保健施設や介護医療院の医師は、特別訪問看護指示書を交付することができません。また、そもそも老健に入所中の利用者は原則として訪問看護療養費の対象外となります(算定できない場合があります)。主治医が別のかかりつけ医である場合も、施設入所中は原則として算定できないため、状況を確認したうえで主治医に相談してください。
特別訪問看護指示書の期間中、介護保険の訪問看護と医療保険の訪問看護を同時に使えますか?
特別訪問看護指示書の指示期間中は、要介護被保険者であっても医療保険が適用されます。この期間中は介護保険の訪問看護との併用はできません。同一の利用者に対して、同月に介護保険の訪問看護療養費と医療保険の訪問看護療養費を同時に算定することは原則認められていないため、注意が必要です。
退院直後の利用者に特別訪問看護指示書を使う場合、退院から何日以内なら交付できますか?
「退院直後」について具体的な日数の規定はありません。退院後に「一時的に週4日以上の頻回な訪問看護が必要」と主治医が診療に基づいて判断した場合に交付できます。状態が安定してくれば必要性がなくなりますので、「退院から何日以内」ではなく、あくまでも「主治医が頻回な訪問看護を必要と認めた間」という点を押さえておきましょう。
特別訪問看護指示書が交付された場合、2つのステーションから訪問できますか?
特別訪問看護指示書が交付されており、週4日以上の訪問看護が計画されている場合は、2つの訪問看護ステーションが並行して訪問することができます。通常は1ステーションしか利用できませんが、特別訪問看護指示書の期間中はこの特例が適用されます。
特別訪問看護指示書の指示内容(訪問頻度など)はどこに記載されますか?
別紙様式18の「指示内容」欄に記載されます。訪問の頻度(例:週5日、毎日など)と看護の内容(吸引管理・褥瘡処置・点滴管理など)が記載されます。指示内容に沿って訪問看護を提供し、訪問看護計画書・報告書にも反映させます。
特別訪問看護指示書の指示期間が月をまたぐ場合の処理は現場でよく迷うポイントです。詳しい対応方法は下記の記事で解説しています。
月をまたぐ場合の特別訪問看護指示書の取り扱いを読むまとめ|特別訪問看護指示書の交付要件を正しく押さえよう
特別訪問看護指示書は、利用者さんの状態が急変したときや退院直後の集中的なケアを提供するために欠かせない仕組みです。交付要件を正しく理解し、適切なタイミングで活用することが、質の高い在宅療養の継続につながります。
- 特別訪問看護指示書の交付要件は「①急性増悪時、②末期悪性腫瘍以外の終末期、③退院直後」の3条件
- 原則1か月1回まで。気管カニューレ・真皮を越える褥瘡がある場合のみ月2回まで交付可能
- 指示期間は交付日から最大14日間。この間は毎日訪問が可能(14日は上限であり義務ではない)
- 指示期間中は要介護者でも医療保険に切り替わる。介護老人保健施設・介護医療院の医師は交付不可
- 恒常的・機械的な交付は不適切。訪問看護記録書に頻回な訪問が必要な理由を必ず記録する
- 週4日以上計画されている場合は2つのステーションから並行して訪問が可能
交付要件や請求ルールは改定で変わることがあります。最新情報は必ず厚生労働省や地方厚生局のホームページで確認するようにしましょう。




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