「クリニックの外来リハビリに通いながら、医療保険の訪問看護(リハビリ)も利用したい」というケースは、小児疾患や介護保険の対象にならない若年の利用者で相談を受けることがあります。この2つは併用できるのでしょうか。
結論からいうと、医療保険の外来リハビリと訪問看護(リハビリ)は別サービスであるため、併用を禁止する制度上の規定はありません。ただし、要介護認定の有無によって外来リハビリ自体を受けられるかどうかが変わるため、その前提条件を正しく理解しておく必要があります。
- 外来リハビリ(疾患別リハビリテーション料)の基本
- 外来リハビリの対象者と、要介護認定者が原則利用できない理由
- 医療保険の訪問看護(リハビリ)と外来リハビリの併用可否
- 実際に併用が認められる具体的なケース
- 併用時に押さえておきたい実務ポイント
目次
そもそも外来リハビリとは?
外来リハビリとは、医療機関(病院・診療所)に通院して受けるリハビリテーションのことで、医療保険では疾患別リハビリテーション料として算定されます。心大血管疾患リハビリテーション料・脳血管疾患等リハビリテーション料・廃用症候群リハビリテーション料・運動器リハビリテーション料・呼吸器リハビリテーション料の5種類があり、それぞれ対象疾患・標準的算定日数が定められています。
訪問看護ステーションの現場では、利用者や家族から「外来のリハビリと訪問看護のリハビリはどう違うのか」「両方使ってよいのか」という質問を受けることも少なくありません。制度上の位置づけを整理して説明できるようにしておくと、利用者・家族の不安を減らし、他の医療機関との連携もスムーズになります。
外来リハビリの対象者とは?
平成31年4月の制度改正以降、要介護認定を受けている方は、原則として医療保険の疾患別リハビリテーション(維持期・生活期に相当するもの)を通院で受けることができなくなりました。これは「介護保険優先の原則」に基づき、要介護認定者のリハビリは介護保険の通所リハビリ・訪問リハビリへ移行することを促す趣旨の見直しです。
したがって、外来リハビリを継続して利用できるのは、主に次のような方に限られます。
- 要介護認定を受けていない方(小児疾患の患者、若年の頸髄損傷患者など)
- 要介護認定を受けているが、医師が医療保険によるリハビリの継続が必要と判断した特定の疾患等に該当する方
- 急性増悪等により、一時的に医療保険のリハビリが必要と判断された方
要介護認定を受けている利用者が外来リハビリを継続利用できるかどうかは、疾患名・状態・医師の判断によって個別に扱いが異なります。一律に「要介護認定=外来リハビリ不可」と判断せず、対象疾患の例外規定に該当しないか、主治医・医療機関に確認することが重要です。
要介護認定の申請結果が出るまでには一定の期間がかかることも多いため、申請中の利用者については、認定結果が確定するまでの間は暫定的な取り扱いとなる場合があります。訪問看護ステーション側としても、申請中の利用者の外来リハビリ利用状況を把握し、認定結果が出た段階で改めて継続可否を確認する運用にしておくと、算定漏れや過誤請求のリスクを減らせます。

外来リハビリ(医療保険)と訪問看護(医療保険)は併用可能?
要介護認定を受けていない、または例外的に外来リハビリの利用が認められている利用者であれば、医療保険の外来リハビリと医療保険の訪問看護(訪問看護からのリハビリ)を併用することは可能です。この2つは制度上まったく別のサービスであり、同時利用を禁止する明文の規定がないためです。
実際に、次のようなケースでの同日利用が確認されています。
| ケース | 併用の可否 |
|---|---|
| 小児疾患の患者(要介護認定なし) | 外来リハビリと訪問看護のリハビリを同日利用可 |
| 若年の頸髄損傷患者(要介護認定なし) | 外来リハビリと訪問看護のリハビリを同日利用可 |
| 訪問看護での入浴介助と外来リハビリの組み合わせ | 看護師による入浴介助と外来通院リハビリの併用可(都道府県看護協会の見解) |
| 理学療法士による訪問看護(リハビリ) | 訪問看護計画書に位置づけられていれば実施可 |

制度上は併用できても、外来リハビリの内容と訪問看護のリハビリの内容が重複していると、利用者にとって過剰なリハビリになってしまうこともあります。訪問看護計画書には、外来リハビリの実施状況も踏まえたうえで、訪問看護側で担う役割を明確に記載しておくと安心です。
訪問看護計画書への記載が併用のカギになる
医療保険の訪問看護でリハビリを提供する場合、それは「訪問看護計画」の一環として位置づけられている必要があります。外来リハビリと訪問看護のリハビリを同時に利用する利用者については、訪問看護計画書・報告書に、外来リハビリとの役割分担(自宅での生活動作訓練は訪問看護、専門的な運動療法は外来リハビリ、など)を明記しておくことが望ましいとされています。主治医への情報提供時にも、外来リハビリの担当医療機関と連携している旨を記載しておくと、算定上のトラブルを避けやすくなります。

なぜこのような制度になっているのか
もともと平成31年3月までは、要介護認定を受けていても、医師が必要と判断すれば医療保険の疾患別リハビリテーションを継続利用できる運用が広く行われていました。しかし、医療保険と介護保険の両方でリハビリを提供する「重複給付」が課題として指摘され、「介護保険優先の原則」を徹底する形で、平成31年4月の制度改正により、要介護認定者の維持期・生活期リハビリテーションは原則として介護保険(訪問リハビリ・通所リハビリ)へ移行する方針が明確化されました。
このため、外来リハビリを続けられるかどうかを判断する際は、単に「今まで通っていたから」ではなく、要介護認定の有無と、対象疾患の例外規定への該当性という2つの軸で確認する必要があります。訪問看護ステーション側としても、利用者が要介護認定を受けたタイミングで、外来リハビリの継続可否を主治医・医療機関に確認するよう促す役割を担うことがあります。
訪問看護側が確認しておきたいポイント
外来リハビリと訪問看護のリハビリを併用している(または併用を検討している)利用者については、次の点を訪問看護ステーション側でも把握しておくと、後々のトラブルを避けやすくなります。
- 利用者が要介護認定の申請を予定していないか(申請すると外来リハビリの継続可否が変わる可能性がある)
- 外来リハビリを担当する医療機関名・診療科・実施頻度
- 外来リハビリで扱っている内容(運動器・脳血管疾患等リハビリテーションのいずれに該当するか)
- 訪問看護側で提供するリハビリの目的が、外来リハビリと重複していないか
- 要介護認定の更新・区分変更のタイミングで、外来リハビリの継続可否について改めて確認する体制になっているか
要介護認定がある場合はどう整理すればよいか
要介護認定を受けている利用者の場合は、外来リハビリではなく介護保険の訪問リハビリ・通所リハビリとの関係を整理する必要があります。この場合の考え方は、医療保険の外来リハビリとは異なるルールが適用されるため、別テーマとして押さえておく必要があります。
ケアマネジャー・医療機関との連携が重要な理由
外来リハビリと訪問看護の併用は、利用者本人・家族だけの判断では調整が難しい領域です。要介護認定の申請・更新のタイミングで外来リハビリの継続可否が変わる可能性があるため、ケアマネジャーが要介護認定の状況を把握し、外来リハビリを担当する医療機関・訪問看護ステーションの三者で情報共有しておくことが望まれます。
特に、要介護認定の新規申請中(認定結果が出るまでの間)は、暫定的な取り扱いとして外来リハビリの継続が認められるケースもあるため、認定結果が出た時点で改めて算定可否を確認する運用にしておくと安全です。
実務チェックリスト
- 利用者が要介護認定を受けているかどうかを確認したか
- 要介護認定がある場合、対象疾患の例外規定に該当するか主治医・医療機関に確認したか
- 外来リハビリと訪問看護のリハビリの役割分担を訪問看護計画書に明記しているか
- 外来リハビリを担当する医療機関と情報共有ができているか
- リハビリ内容が重複し、利用者の負担過多になっていないか
外来リハビリと訪問看護のリハビリを併用する利用者は、状態が比較的複雑なケースが多い傾向にあります。訪問看護記録には、外来リハビリの実施日・内容を利用者・家族からのヒアリングも交えて記載しておくと、後から算定内容を振り返りやすくなります。
よくある質問
要介護認定を受けている人は外来リハビリを一切利用できませんか?
原則として医療保険の疾患別リハビリテーション(外来リハビリ)は利用できませんが、医師が医療保険によるリハビリの継続が必要と判断した特定の疾患等に該当する場合は、例外的に利用が認められることがあります。個別の状態によって扱いが異なるため、主治医・医療機関への確認が必要です。
外来リハビリと訪問看護のリハビリを同日に利用してもよいですか?
要介護認定がない、または例外的に外来リハビリの利用が認められている利用者であれば、両者は別サービスのため同日利用が可能です。ただし内容の重複がないよう、訪問看護計画書で役割分担を明確にしておくことが望まれます。
訪問看護からのリハビリと訪問リハビリテーションは同じものですか?
異なります。訪問看護からのリハビリは訪問看護ステーションの看護師・理学療法士等が訪問看護計画に基づき提供するもので、訪問リハビリテーションは介護保険の独立したサービス区分です。詳しくは関連記事をご確認ください。

まとめ|要介護認定の有無を起点に整理しよう
外来リハビリと医療保険の訪問看護(リハビリ)は、要介護認定がない利用者であれば併用可能です。まずは要介護認定の有無を確認し、そのうえで訪問看護計画書に役割分担を明記することが、安全で無駄のないリハビリ提供につながります。判断に迷うケースでは、自己判断で継続・中止を決めず、主治医や地方厚生局への確認を挟む姿勢を徹底しましょう。
- 外来リハビリ(疾患別リハビリテーション料)は要介護認定者は原則利用不可(平成31年4月改定)
- 要介護認定がない利用者であれば、医療保険の外来リハビリと訪問看護は併用可能
- 訪問看護からのリハビリは、必ず訪問看護計画書に位置づける必要がある
- 外来リハビリとの役割分担を計画書・報告書に明記し、内容の重複を避ける
- 要介護認定がある場合は、外来リハビリではなく介護保険の訪問・通所リハビリとの関係整理が必要
要介護認定者の場合の考え方は、関連記事「訪問看護リハビリ(介護保険)と外来リハビリは併用できるのか?」もあわせてご確認ください。


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