看護・介護職員連携強化加算とは?【介護保険】単位数と要件を解説

「訪問介護職員にたんの吸引等の助言をしたのに、加算のことをうっかり忘れていた」「同行訪問と会議出席、どちらでも算定できるのか分からない」——訪問看護ステーションの管理者からは、この加算について毎年のように同じような相談が寄せられます。算定要件がやや細かく、記録の残し方を間違えると実地指導で指摘を受けるリスクもあるため、正しく理解しておくことが欠かせません。

この記事では、介護保険の看護・介護職員連携強化加算について、単位数・算定要件・留意点・実地指導対策・医療保険との違いまで、訪問看護ステーションの経営者・管理者向けに整理して解説します。読み終える頃には、自分のステーションで算定できるかどうか、どの記録を残せばよいかが具体的にイメージできるはずです。

この記事でわかること
  • 看護・介護職員連携強化加算(介護保険)の単位数と算定できるタイミング
  • 助言・同行訪問・会議出席それぞれの算定要件
  • 実地指導でチェックされる記録・書類のポイント
  • 算定できないケース(リハビリ職員の同行、要支援者など)の落とし穴
  • 医療保険版の看護・介護職員連携強化加算との違い

看護・介護職員連携強化加算とは?(介護保険の概要)

看護・介護職員連携強化加算は、訪問介護事業所の訪問介護職員等がたんの吸引等の業務を円滑に行えるよう、訪問看護事業所の看護職員が助言や実施状況の確認を行った場合に、月1回算定できる加算です。介護福祉士や一定の研修を受けた介護職員は、社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、一定の条件のもとでたんの吸引・経管栄養などの「喀痰吸引等」を実施できるようになりました。ただし、医療的な知識・技術が求められる行為であるため、看護職員がバックアップする体制が制度上重視されています。この加算は、その連携を後押しする仕組みとして設けられています。

なお、同名の「看護・介護職員連携強化加算」は医療保険(訪問看護療養費)にも存在します。介護保険と医療保険では単位数や算定の考え方が一部異なるため、この記事では介護保険(訪問看護費)に絞って解説します。医療保険版との違いは後半の比較表で整理しています。

看護師 上妻
看護師 上妻

「介護職員に吸引の指導をした」だけでは算定できません。計画書・報告書の作成支援や緊急時対応の助言に加えて、同行での確認か会議への出席がセットで必要になる点が、この加算の分かりにくさの原因だと思います。

看護・介護職員連携強化加算の単位数(介護保険)

介護保険における看護・介護職員連携強化加算の単位数は、次のとおりです。

POINT

250単位/回(月1回を限度)

加算を算定する日は、「訪問介護職員等と同行訪問を実施した日」または「会議に出席した日が属する月の、初回の訪問看護実施日」のいずれかになります。会議に出席した日そのものに算定するわけではない点に注意が必要です。

この250単位という数値は、けあタスケル・カイポケ訪問看護マガジン・いろいろナースなど複数の専門メディアで一致して記載されており、内容としての信頼度は高いと判断していますが、厚生労働省の告示原文そのものへの直接照合はこの記事の執筆時点では完了していません(一次資料のPDFがテキスト抽出できない形式だったため)。正確な単位数は、最新の告示・介護保険最新情報でご確認ください。

看護・介護職員連携強化加算の算定要件

算定要件は、大きく分けて「助言」と「確認(同行訪問または会議出席)」の2つの要素から成り立っています。

  • 訪問看護事業所の看護職員が、訪問介護事業所の訪問介護職員等に対し、たんの吸引等の業務が円滑に行われるよう、たんの吸引等に係る計画書・報告書の作成および緊急時等の対応についての助言を行うこと
  • 上記に加えて、訪問介護職員等に同行し、利用者の居宅で業務の実施状況を確認した場合、または利用者への安全なサービス提供体制の整備・連携体制確保のための会議に出席した場合に算定できること
  • 同行訪問や会議出席を行った内容は、訪問看護記録書に記録すること
  • 24時間対応できる体制を整えている事業所として、緊急時訪問看護加算の届出をしていること(実際に緊急時訪問看護加算を算定している必要はない)
看護師 上妻
看護師 上妻

「緊急時訪問看護加算の届出をしていること」が要件になっているのは、24時間対応できる体制があることが前提とされているからです。届出をしているだけでよく、その加算自体を算定している必要はない、という点は誤解しやすいので覚えておいてくださいね。

看護・介護職員連携強化加算の留意点

算定要件を満たしていても、次のようなケースでは算定できない、あるいは算定してはいけないため注意が必要です。

注意

次のケースは算定不可・算定してはいけないケースにあたります。

  • 要支援の利用者(要支援者は対象外)
  • 訪問看護費を算定していない月(訪問看護そのものが実施されていない)
  • 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(リハビリ職員)が同行・出席した場合
  • 訪問介護職員等の基礎的な技術取得・研修目的で同行訪問を実施した場合(この場合、加算だけでなく訪問看護費自体も算定できない)
  • 同一利用者について、複数の訪問看護ステーションがそれぞれ算定するケース(算定できるのは1事業所のみ)

また、訪問看護職員が訪問介護職員等に同行し、たんの吸引等の実施状況を確認する際に、通常の訪問看護の提供より時間を要した場合であっても、ケアプラン上に位置づけられた訪問看護費しか算定できません。同行に要した時間分を別途上乗せすることはできないため、訪問スケジュールを組む際には注意しておきましょう。

看護・介護職員連携強化加算の実地指導対策

実地指導では、加算の算定要件を満たしていることを記録で説明できるかどうかが確認されます。次の書類・記録を整えておきましょう。

  1. 訪問看護記録書への記録訪問介護職員等と同行した日・会議に出席した日について、助言の内容、確認した実施状況、出席した会議の内容を具体的に記録します。「同行訪問実施」だけの一言では不十分です。
  2. たんの吸引等に係る計画書・報告書訪問介護事業所側で作成するたんの吸引等の計画書・報告書に、看護職員としてどのような助言を行ったかが分かる形で関与の記録を残します。
  3. 算定日の根拠の記録同行訪問を実施した日、または会議出席日が属する月の初回訪問看護実施日のどちらを算定日としたのか、根拠が追える形で記録・管理します。
看護師 上妻
看護師 上妻

実地指導では「加算を算定した記録はあるが、助言の中身が分からない」という指摘を受けやすいポイントです。誰に、いつ、何を助言したのかまで記録に残す習慣をつけておくと安心ですよ。

看護・介護職員連携強化加算の医療保険版との違い

看護・介護職員連携強化加算は、医療保険(訪問看護療養費)にも同名の加算があります。介護保険版と医療保険版の主な違いを整理すると、次のようになります。

項目介護保険医療保険
単位数・点数250単位/回(月1回限度)2,500円/回(月1回限度)
算定できる職種看護職員のみ(リハビリ職員は不可)看護職員のみ(リハビリ職員は不可)
複数事業所が関わる場合算定できるのは1事業所のみ算定できるのは1事業所のみ(関係事業所間の合議で決定)
要支援者・対象者の考え方要支援者は対象外(要介護者が対象)要介護度の枠組みではなく、医療保険の訪問看護対象者が前提

介護保険と医療保険のどちらで算定するかは、その利用者が介護保険の訪問看護を利用しているか、医療保険の訪問看護を利用しているかによって決まります。同じ利用者について両方から重複して算定することはできません。医療保険版の詳しい算定要件については、別記事「看護・介護職員連携強化加算とは?【医療保険】」で解説していますので、あわせて確認しておくと理解が深まります。

看護・介護職員連携強化加算のQ&A

看護・介護職員連携強化加算は、訪問看護を実施していない月でも算定できますか?

算定できません。看護・介護職員連携強化加算は、訪問看護費が算定される月に限り算定できる加算です。同行訪問や会議への出席があっても、その月に訪問看護そのものを提供していなければ算定要件を満たしません。

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が同行訪問や会議に出席した場合でも算定できますか?

算定できません。看護・介護職員連携強化加算は看護職員が行う業務に対する加算のため、リハビリ職員が同行・出席した場合は対象外です。同行や出席は看護職員が行う必要があります。

利用者の居宅を訪問して介護職員のたんの吸引等の実施状況を確認した場合、その時間の訪問看護費は算定できますか?

訪問看護を目的として訪問し、その際に実施状況の確認を行った場合は、通常の訪問看護費を算定できます。ただし、介護職員への手技指導を目的とした同行訪問の場合は、訪問看護費・本加算のいずれも算定できません。

看護・介護職員連携強化加算を算定するには、緊急時訪問看護加算を算定している必要がありますか?

算定している必要はありません。緊急時訪問看護加算の体制届出をしていることが算定要件であり、実際にその加算自体を算定しているかどうかは問われません。

複数の訪問看護ステーションが同じ利用者に関わっている場合、それぞれの事業所が加算を算定できますか?

できません。同一利用者について看護・介護職員連携強化加算を算定できるのは1事業所のみです。どの事業所が算定するかは、関係事業所間の合議で決める必要があります。

要支援の利用者にも算定できますか?

算定できません。看護・介護職員連携強化加算は要介護者を対象とした加算であり、要支援者は対象外です。

あわせて読んでおきたい関連記事

看護・介護職員連携強化加算の算定要件になっている「緊急時訪問看護加算」の体制届出について、あわせて理解しておくと算定判断がスムーズになります。

関連記事を読む
出典・参考(公的機関)

まとめ|看護・介護職員連携強化加算(介護保険)は記録と要件確認が鍵

看護・介護職員連携強化加算は、訪問介護職員によるたんの吸引等を看護職員が後押しする、地域連携の要となる加算です。単位数自体は250単位と大きくはありませんが、算定要件・留意点を正しく理解し、記録をきちんと残しておくことで、実地指導でも安心して説明できるようになります。

この記事のまとめ
  • 介護保険の看護・介護職員連携強化加算は250単位/回、月1回限度で算定できる
  • 助言(計画書・報告書作成、緊急時対応)+同行訪問または会議出席の両方が必要
  • 同行・出席の内容は訪問看護記録書に具体的に記録しておく
  • 緊急時訪問看護加算の体制届出は必須だが、算定自体は不要
  • 要支援者・リハビリ職員の同行、技術取得目的の同行は算定対象外

算定要件を満たしているか不安な場合は、まず訪問看護記録書の記載内容を見直し、助言の内容・同行や会議の実施日が具体的に追えるかどうかを確認してみてください。

次に読むべき関連記事

同じ利用者に医療保険の訪問看護を提供している場合は、医療保険版の看護・介護職員連携強化加算との違いも確認しておきましょう。

関連記事を読む

ビジケア公式LINEに登録すると、訪問看護に関する最新情報(診療報酬や介護報酬改定を中心とした内容)が月に2回無料で配信されます。

最新セミナー情報やお得なご案内も配信していますので、よろしければ登録をお願いします。

友だち追加

 

ABOUT US
上妻 裕弥看護師/MBA取得
株式会社ビジケア代表取締役/看護師・MBA取得。これまで200社以上の訪問看護事業所へ経営コンサルティング・BPOサービスを実施。経営者・管理者のサロン等も含めると500社を超える。単月黒字化から複数拠点展開、事業承継まで支援し、看護師の視点で「続く経営」をつくる。別法人にて自身でも全国に訪問看護ステーション展開している。