訪問看護・指導体制充実加算とは?【医療保険】要件を解説

訪問看護に関する加算というと、訪問看護ステーションが算定するものをイメージしがちですが、実は「病院・診療所が行う訪問看護」に対しても、体制を評価する加算が存在します。それが「訪問看護・指導体制充実加算」です。制度の対象が異なるため、混同したまま算定を検討すると、思わぬ請求ミスにつながることもあります。

この記事では、訪問看護・指導体制充実加算の点数・算定要件・施設基準を、制度創設の経緯、算定を検討する際のチェックポイント、連携する訪問看護ステーション側の留意点もあわせて解説します。

この記事でわかること
  • 訪問看護・指導体制充実加算とは何か
  • 誰が算定できる加算なのか(訪問看護ステーションではない点に注意)
  • 点数と算定要件
  • 施設基準(24時間対応体制・実績要件)
  • 連携する訪問看護ステーション側の留意点

訪問看護・指導体制充実加算とは?

訪問看護・指導体制充実加算は、訪問看護ステーションの加算ではなく、病院・診療所(医療機関)が行う訪問看護・指導に対する加算です。令和2年度診療報酬改定で新設された制度で、より手厚い訪問看護提供体制を評価する観点から設けられました。医療機関自らが訪問看護を行う場合の質を担保するための仕組みと位置づけられます。

いわゆる「みなし指定」の訪問看護を行う医療機関にとって関連の深い加算であり、訪問看護ステーションとして独立している事業所が直接算定するものではない点をまず押さえておきましょう。この違いを混同すると、算定対象を誤って判断してしまう原因になります。特に、訪問看護ステーションと医療機関が同一法人内で運営されているケースでは、どちらの制度に基づく加算なのかが現場で曖昧になりやすく、レセプト作成の担当者間で算定根拠をあらかじめ共有しておくことが望ましいといえます。

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点数と算定要件

訪問看護・指導体制充実加算の点数は150点(月1回)です。月をまたいで複数回算定することはできません。算定できるのは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、訪問看護・指導を実施した場合に限られます。届出を行った後も、体制の実態が変化した場合(担当者の異動や連携先の変更等)は、届出内容と現状に乖離が生じていないかを定期的に見直すことが求められます。

看護師 上妻
看護師 上妻

「届出をしていること」が算定の大前提です。体制が実質的に整っていても、届出をしていなければ算定できないので、事務担当者は届出状況を必ず確認しておきましょう。院内の担当者が異動した際に確認漏れが起きやすいポイントでもあります。

施設基準|24時間対応体制と実績要件

訪問看護・指導体制充実加算の施設基準は、大きく次の2つで構成されています。

基準内容
24時間対応体制患家の求めに応じて24時間訪問看護を提供できる体制を確保。当該医療機関単独での対応、または訪問看護ステーションとの連携での対応が可能。担当日等を文書で患家に提供することが必須
実績要件前年度の算定回数等に基づき、定められた複数項目(ア〜カ)のうち最低2項目以上を満たす必要がある
注意

許可病床数400床以上の大規模な病院の場合は、実績要件について特定の項目を含めた2項目以上を満たす必要があるとされ、要件がより限定される扱いです。規模の大きい病院ほど、対象となる項目の組み合わせに注意が必要です。要件を満たすかどうかは、前年度の実績データを事前に集計・整理しておくと判断しやすくなります。

届出の期限と手続き上の注意

施設基準に基づく届出には、算定を開始したい時期に応じた期限が設けられています。既存記事の情報では、制度開始当初、特定の適用開始日(例:令和2年4月1日)から算定するためには、決められた期日(例:令和2年4月20日必着)までに地方厚生(支)局へ確実に届出を行う必要があるとされていました。診療報酬改定のたびに、新しい基準・届出様式・提出期限が示されるのが一般的なので、直近の改定内容を必ず確認しましょう。提出書類に不備があると、届出自体が受理されず算定開始が先延ばしになることもあるため、余裕を持った準備が欠かせません。複数の診療科・複数の拠点を持つ医療機関の場合は、拠点ごとに届出状況が異なっていないか、法人内で一元的に管理する体制を整えておくと確認漏れを防ぎやすくなります。

看護師 上妻
看護師 上妻

施設基準の届出は「期日を過ぎたら次の届出機会まで算定できない」ことが多い制度です。院内で担当者と期限を共有し、余裕を持って準備を進めることをおすすめします。

なぜこの加算が新設されたのか

訪問看護・指導体制充実加算は、在宅医療のニーズが年々高まる中で、医療機関自らが行う訪問看護の質と体制を底上げすることを目的として設けられたと考えられます。訪問看護ステーションだけでなく、病院・診療所が直接行う訪問看護の体制強化も、地域の在宅医療を支えるうえで重要な要素とされています。医療機関と訪問看護ステーションの双方が、それぞれの立場から24時間対応体制を整えていくことが、地域全体の在宅療養を支える基盤となり、利用者の安心につながります。患者・家族が安心して在宅療養を継続できるかどうかは、緊急時にすぐ対応してもらえる体制が整っているかに大きく左右されるため、こうした加算は体制整備への取り組みを診療報酬上で評価する仕組みのひとつと位置づけられます。

連携する訪問看護ステーション側の留意点

医療機関が24時間対応体制を確保する方法のひとつとして、外部の訪問看護ステーションと連携する形が認められています。この場合、連携する訪問看護ステーション側は、24時間対応体制加算の届出をあらためて行う必要はないとされています。医療機関側の体制整備の一環として連携している、という位置づけになるためです。この整理を知らずに、連携先のステーション側が誤って重複した届出を出してしまうケースも実務上見られるため、事前の確認が重要です。

POINT

連携先の訪問看護ステーションとして医療機関から依頼を受ける場合は、自ステーション側で新たな届出は不要であることを理解したうえで、連携内容(連絡担当者・対応時間帯等)を医療機関側とすり合わせておくとスムーズです。書面で連携内容を残しておくと、後日の確認や監査対応にも役立ちます。

算定を検討する際のチェックリスト

自院で訪問看護・指導体制充実加算の算定を検討する場合、次の点を確認しておくとよいでしょう。

  • 24時間対応体制を自院単独で確保できるか、それとも外部の訪問看護ステーションとの連携が必要か
  • 実績要件(ア〜カ)のうち、自院が満たせる項目がいくつあるか(前年度実績の集計が前提)
  • 許可病床数400床以上に該当する場合、特定項目を含めた要件を満たしているか
  • 担当日・連絡先等を患家に文書で提供する体制が整っているか(記載内容の様式も確認)
  • 最新の診療報酬改定で、この加算の名称・点数・要件に変更がないか(改定年ごとの通知を確認)
  • 連携先の訪問看護ステーションとの役割分担・連絡フローを書面で明確化できているか
POINT

診療報酬に関する加算は、改定のたびに要件の追加・削除、点数の見直し、場合によっては別の加算への統合や名称変更が行われることがあります。制度の存続自体を含めて、必ず最新の告示・通知で確認する習慣をつけましょう。

この加算に関する重要な注意点

この加算は令和2年度診療報酬改定で新設された情報をもとに整理したものです。診療報酬は数年ごとに改定されるため、点数や施設基準の詳細、あるいは制度そのものの存続状況が、その後の改定で変更されている可能性があります。この記事の情報のみで算定判断を行わず、必ず最新の診療報酬点数表・告示で確認することを強くおすすめします。

関連する24時間対応体制加算・緊急訪問看護加算についても、あわせてご確認ください。

よくある質問

訪問看護・指導体制充実加算は訪問看護ステーションが算定できますか?

いいえ。この加算は病院・診療所(医療機関)が行う訪問看護・指導に対するもので、訪問看護ステーションが直接算定するものではありません。

連携する訪問看護ステーションは何か手続きが必要ですか?

24時間対応体制加算の届出をあらためて行う必要はないとされています。ただし、連携内容については医療機関側と事前にすり合わせておくとよいでしょう。

この記事の点数・要件は現在も有効ですか?

この記事は令和2年度改定時点の情報をもとにしています。その後の改定で内容が変更されている可能性があるため、実際の算定にあたっては必ず最新の診療報酬点数表・告示、または所轄の地方厚生局の窓口でご確認ください。

許可病床数400床以上の病院は要件が変わりますか?

はい。既存の情報では、400床以上の病院は実績要件について特定の項目を含めた2項目以上を満たす必要があるとされ、通常よりも要件が限定される扱いです。詳細は最新の告示でご確認ください。

届出をしていない医療機関は算定できませんか?

できません。実際の体制が整っていても、地方厚生局長等への届出を行っていなければ算定要件を満たしません。届出の期限・様式は改定のたびに示されるため、早めの準備が必要です。

出典・参考

※本記事の点数・算定要件・施設基準は令和2年度診療報酬改定時点の情報を整理したものです。実際の算定にあたっては、必ず最新の診療報酬点数表・告示、または所轄の地方厚生局にご確認ください。

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まとめ|医療機関向けの加算であることと最新情報の確認が重要

訪問看護・指導体制充実加算は、訪問看護ステーションではなく病院・診療所が算定する加算であり、24時間対応体制と一定の実績要件を満たすことで届出・算定が可能になります。制度の詳細は改定のたびに見直される可能性が高いテーマであるため、この記事の情報を出発点としつつ、実際の算定判断は必ず最新の一次情報にあたって行うようにしてください。

この記事のまとめ
  • 訪問看護ステーションではなく医療機関が算定する加算
  • 点数は150点・月1回(令和2年度改定時点の情報)
  • 施設基準は24時間対応体制と実績要件(2項目以上)の2本柱
  • 連携する訪問看護ステーション側に新たな届出は不要
  • 制度の存続・内容は改定で変わりうるため、最新の点数表で必ず確認する

みなし指定と訪問看護ステーションの違い、24時間対応体制加算・緊急訪問看護加算の算定要件については、関連記事もあわせてご確認ください。

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ABOUT US
上妻 裕弥看護師/MBA取得
株式会社ビジケア代表取締役/看護師・MBA取得。これまで200社以上の訪問看護事業所へ経営コンサルティング・BPOサービスを実施。経営者・管理者のサロン等も含めると500社を超える。単月黒字化から複数拠点展開、事業承継まで支援し、看護師の視点で「続く経営」をつくる。別法人にて自身でも全国に訪問看護ステーション展開している。