【精神科訪問看護講座】精神症状だけじゃない⁉せん妄について紹介します!

 

Ns田端
みなさん、こんにちは!精神看護専門看護師の田端恭平です。

「せん妄」と聞いて思い浮かべるのは、幻覚や見当識障害などの精神症状が一過性に発生するものではないでしょうか?

実は精神症状以外にも知られていない症状はたくさんあります。

今回の精神科訪問看護講座では、「せん妄」の原因や症状、分類などについて詳しく紹介します!

よろしくお願いします。

 

せん妄になったら何が危険?

「せん妄」になることで、高まってしまうリスクは以下の4つが挙げられます。

 

  1. 死亡リスク(オッズ比2.0)
  2. 入院リスク(オッズ比2.4)
  3. 認知症リスク(オッズ比12.52)
  4. 転倒リスク7倍
    総合病院における転倒患者の77%がせん妄であったという研究報告があります。

 

その他として、意思決定能力障害、家族や医療者との不和にも影響すると言われています。

 

せん妄の原因

せん妄は身体の問題であり、3つの因子が原影響し合うことで発症すると言われています。

せん妄が発症することを「木に火が付いた状態」に例えると、「木」にあたるのが「準備因子」、「油」にあたるのが「促進因子」、「ライターの火」にあたるのが「直接因子」になります。

 

 

せん妄発症の3つの因子についてそれぞれ解説します。

 

準備因子

準備因子とは、せん妄を発症するかどうかを決定づける個人特性であり、高齢、脳血管障害、認知症、アルコールなどが挙げられます。

つまり、「脳機能が低下しやすい状態であるかかどうか」になります。

 

促進因子

促進因子とは、せん妄を促進させる、または重篤化させるものであったり、遷延化させてしまうものになります。

環境変化、感覚遮断、睡眠覚醒リズム、拘束・強制臥床、身体症状、心理ストレス、疼痛が挙げられます。

 

直接因子

直接因子とは、直接せん妄の発症につながる疾患や生理学的異常にあります。

脳器質異常、臓器不全、呼吸不全、薬剤、感染、血液学異常、栄養障害、腫瘍随伴症状、外傷や手術等の身体侵襲が挙げられます。

 

せん妄において精神状態は「促進因子」であり、一番の原因は脳機能の低下しやすい状態であるかどうかの身体の問題になります。

 

せん妄の症状と診断

実は、「せん妄」=妄想が現れるという訳ではありません。

医学的にせん妄を診断する場合では、以下の2つが特徴が必要になります。

 

  • 脳の機能低下(意識障害)
  • 認知機能障害(思考障害・注意障害)

 

上記の症状が現れた結果として、以下の精神症状が生じていきます。

 

• 睡眠-覚醒リズム障害(不眠、傾眠等 意識に問題)
• 意欲障害(興奮、意欲低下、活動低下等 意欲に問題)
• 幻覚(幻視、幻聴等 感覚に問題)
• 妄想(思考に問題)
• 感情の問題(不安、抑うつ、怒り、高揚感 感情に問題)

 

せん妄が現れるメカニズム

「せん妄」は、意識障害を中核として様々な精神症状が現れます。

 

 

人間の脳の機能を支える土壌になるのは「身体」です。

そして、その身体から生える木の幹が「意識」、枝分かれして葉をつけている部分が「精神機能」となります。

そのため、土壌=「身体」に問題が生じると、木の幹=「意識」と枝分かれした葉=「精神機能」が腐り始めます。

身体と精神には親密な関係があると言えます。

 

せん妄の分類

 

「せん妄」は、大きく分けて2つに分類されます。

 

活動型

24 時間以内に下記 2 項目以上の症状(せん妄発症前より認める症状ではない)が認められた場合

  • 身体的運動量の増加
  • 活動コントロールの喪失
  • 落ち着きのなさ
  • 徘徊

 

低活動型

24 時間以内に下記 2 項目以上の症状(せん妄発症前より認める症状ではない)が認められた場合
活動量の低下または行動速さの減弱は必須

  • 活動量の低下
  • 行動速さの減弱
  • 周囲に関する認識の減少
  • 会話量の減弱
  • 会話の速さの減弱
  • 無関心※低活動型は、認知症やうつ病と間違われやすく、発見が遅くなることが多いです。

 

その他には、24 時間以内に活動型ならびに低活動型両方の症状が認められた場合は混合型、活動・低活動型の双方ともの基準を満たさない場合は、閾値以下と分類されることもあります。

 

せん妄への対応

せん妄への対応では、「早期発見・早期介入が大切!」です

以下のような「何かがおかしい!」はせん妄のサインかもしれません。

  • この前、受け持ったときより、怒りっぽい・・・
  • ADL自立のはずなのに、日中傾眠で、ほぼ全介助・・・
  • 家族からみて“いつもと違う”もせん妄のサイン(SQiD)

 

Single Question in Delirium(SQID)とは、家族や友人に『●●さんは、いつもと違いますか?』と尋ねることで、せん妄をスクリーニングする方法になります。

 

「せん妄」は意識障害が中核になるため、原疾患の悪化や新たな病態が生じた時に現れやすいくなっています。

例えば、急に昼頃不穏になったために、夕方の急な発熱、CRP上昇、電解質異常が起こるかもしれません。

また、せん妄は敗血症の基準にも含まれています。

訪問看護師は、いつでも頭の片隅に「せん妄」の可能性を入れて利用者さんと関わり、早期発見と早期介入を心がけましょう!

 

せん妄のアセスメントツール

「せん妄」のアセスメントツールは様々ありますが、私がおススメするアセスメントツールは下図の「ICDSC」になります。

 

ICDSCは、24時間以内の情報でアセスメントでき、点数をつけやすいことが特徴になります。

PDFデータのダウンロードはこちら

 

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