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日本のストレス(12歳以上)
厚生労働省 国民生活基礎調査(2019)による日本のストレスは以下のようになります。
平均すると日本人の約50%がストレスを感じており、年を重ねる事にその割合が増加する傾向があります。
そして、働き盛りの30~50代になると約60%の日本人がストレスを抱え、その後、減少傾向に転じます。
また、男女別で見てみると男性に比べて女性がストレスを感じやすいことが分かります。
しかし、日本の自殺者は女性に比べて男性の割合が約2倍になるという報告があり、男性がストレスに対して鈍感で対処が下手であり、女性がストレスに敏感で上手に対処する能力が高いとも捉えられます。
ストレスを感じやすいことは悪いことでなく、心身にとって大切な能力になります。
ストレスとは
ストレスの由来はラテン語 districtus から派生した言葉であり、英語では distressとなります。
元々は物理学/工学の用語で「物体に外力が作用した時に物体が生じる歪み」という意味を持っており、それが転じて「苦悩、逆境、困難、苦痛」などの意味を持つようになりました。
そのため、よく話し言葉で耳にする「ストレスがたまる」というのは間違いになり、正しくは「ストレスがかかる」、「ストレスが増える」などになります。
ストレスがかかる状態について、下記の図で解説します。
ボールを押さえつける力(ストレッサー)がストレス要因、ボールが精神、ボールの歪みがストレスに対する精神反応、ボールの弾力性(レジリエンス)がストレス耐性を示しています。
騒音や寒冷などの物理的ストレッサー、薬物などの科学的ストレッサー、アレルギーや炎症などの生物的ストレッサー、不安や怒りなどの心理的ストレッサーの4つに分類される。
ストレスがかかる状態では、同じストレッサー(ボールを押さえつける力)であっても人それぞれ精神の感じ方(ボールの歪み方)が異なるだけでなく、歪みから元の状態に戻るまでの様子も異なります。
また、ストレッサーにより精神的に影響(ボールが歪んでいる状態)であっても、精神状態への気づきが乏しく、身体的に影響が出るまでストレスを放置してしまう人もいます(アレキシサイミア)。
ストレスがかかることで、良い方向にも、悪い方向にも身体・行動・気持ち・考えの変化を及ぼします。
例えば、先輩看護師に怒られるというストレッサーでも、「怒られて辛い、、、」と考えてしまい、消極的な行動になってしまう事もあれば、「よし、頑張ろう!」と考え、積極的な行動を取るようになる事もあります。
つまり、ストレスは使い方や捉え方によって心身に様々な影響を与えることになります。
ストレスの歴史と研究
「ストレス」は、内部環境の恒常性(C.Bernard)、ホメオスタシス(W.Cannon)のバランスを失わせる刺激として研究が進められてきました。
C.Bernardの提唱した考えをW.Cannonが発展させてホメオスタシスとなった。
ホメオスタシスとは、自律神経、内分泌、免疫がバランス良く作用し、外の環境が変化しても身体の内部環境を一定にすることで健康を維持する働きである。
W.Cannonは、疼痛や情緒によるストレスによる身体の反応として「緊急反応」「闘争-逃走反応」を提唱したことでも有名です。
その後、さらに研究は進み、「汎適応症候群」(GAS) H.Selye、「社会的再適応評価尺度」(SRRS) H.Rahe、「心理学的ストレスモデル」R.Lazarusのように、様々な研究者がストレスの捉え方について提唱しています。
「ストレス」を知る上で重要になる「緊急反応」「闘争-逃走反応」、「汎適応症候群」、「社会的再適応評価尺度」、「心理学的ストレスモデル」について以下で解説します。
緊急反応 闘争-逃走反応
ストレス刺激に対してホルモンによる生体反応があることが発見されました。
人間は、強いストレスを感じ、感情的な興奮や苦痛、怒り、恐怖を感じると交感神経が亢進し、アドレナリンの分泌が増加します。
この身体変化を「緊急反応」と言います。
緊急反応が起こると、戦うか逃げるかの状況に追い込まれるため、心拍や血圧を上昇させ、素早く体を動かせるように身体が反応するのです。
例えば、”窮鼠猫を嚙む”ということわざは、「緊急反応」「闘争・逃走反応」になります。
いつも猫から追いかけられて逃げ回っている(逃走反応)ネズミでも、逃げ場が無くなり窮地に追い込まれた時には、猫にかみつき(闘争反応)必死に反撃します。
汎適応症候群
人間がストレスを受け続けた時に、どのようなストレスであっても一定の過程を辿ることを「汎適応反応」と言います。
上図は、人間がストレスを受けた際の時間的経過を示しています。
汎適応症候群の反応は、大きく3つに分けられます。
- 警告反応期
- 抵抗期
- 疲憊期
①警告反応期
人間がストレスを受けて抵抗力が低下してしまう時期になります。
この時期は、ショック相と反ショック相に分けられます。
ショック相は、血圧や血糖値の低下、筋緊張の抑制などの現象により、一時的に思考や行動ができなくなります(=ショック状態)。
反ショック相は、一時的なショック状態から立ち直り、ストレスへの適応を始めていきます。
そのため、血圧や血糖値が上昇したり、筋緊張が高まったりしていきます。
②抵抗期
ストレスに対する抵抗力が高まってくる時期になります。
ストレス刺激と抵抗力のバランスが保たれた状態が続き、ストレスをうまく対処できれば、健康状態を取り戻すことができます。
しかし、ストレスを対処できずに抵抗力を使いすぎるとやがて限界を迎えてしまいます。
③疲憊期
持続するストレス刺激に対して抵抗できなくなる時期になります。
ショック相と同様の血圧や血糖値の低下、筋緊張の抑制が生じ、思考や行動ができなくなってしまい、疲弊状態が続いてしまうと不健康=病気になってしまいます。
社会的再適応評価尺度
社会的再適応評価尺度とは、ストレス測定法の1つであり、ストレスイベントをランキング形式で示したものになります。
この尺度はアメリカで行われた研究をもとに作成されてるので、日本人にとっては共感しにくいストレスイベントがあるかもしれません。
しかし、人間がストレスを感じやすいイベントには、上記のようなものがあることを念頭に入れておくと良いと思います。
心理学的ストレスングスモデル
心理学的ストレングスモデルとは、人間がストレスを受けると必ずしも心身へ影響を与えるのではなく、認知評価とコーピングにより、心身へ与える影響があったり、なかったりするという考え方になります。
認知的評価とは、ストレスに対する個人的な受け止め方になります。
つまり、上司に注意されたことをポジティブに解釈する人もいれば、ネガティブに解釈してしまう人もいるため、同じ注意された体験でもその後の気分やストレス反応の生じ方が異なります。
認知評価にてストレスフル(強いストレスであると感じる)であると判断されると、情動反応(急性ストレス反応)が起こり、コーピングを行います。
コーピングとは、ストレスへの対処行動になります。
このコーピングを行ってもうまく対処できず、慢性的にストレスを感じている状態になると心理面や身体面、行動面へ悪影響が出てしまい、最悪の場合はストレス関連疾患になります。

ストレスについて少しイメージできるようになりましたか?
心理学的ストレングスモデルは、現代におけるストレスの考え方になっています。
次回の精神科訪問看護講座では、ストレスコーピングについて詳しく解説していきますね!
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現代社会はストレスまみれで、みんなが抱える社会問題ですよね。
しかし、「ストレスとは何か?」と聞かれると、意外と知らないのではないでしょうか?
今回は、「ストレス」について紹介します。
よろしくお願いします。