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暴力は医療にも存在する
医療現場における暴力は、訪問看護の利用者さんがする場合だけでなく、看護師やリハスタッフなどの医療従事者がする場合もあります。
暴力は、被害者にとってトラウマになってしまう程の怖い体験ですが、加害者自身も傷ついてしまう体験になります。
その暴力に対して、目には目を歯には歯をというように、暴力で対抗するのではなく、暴力を圧倒できる程の防御力、つまり「防力」を身に付けることが望ましいと思います。
私たち医療者は、「あなたの味方として助けに来たよ」の姿勢で、最も尊重されにくい緊迫した暴力の場面でこそ、徹底した当事者の尊重と人権の保障を考えた方が良いです。
ディエスカレーション
ディエスカレーションとは、心理学的手法を基にした判断や介入により、精神疾患の利用者さんの怒りや衝動性、攻撃性が高まっていかないように収めていき、穏やかな状態に戻すことになります。
つまり、言語的・非言語的コミュニケーションによる交渉術で非身体的な介入になります。
身体的な介入とは、身体拘束や向精神薬による鎮静等の精神疾患の利用者さんの同意を得ず
に行う可能性のある強制性の高い治療になります。
上記を回避するための心理社会的治療が非身体的介入になります。
ディエスカレーションには下図の4つの目的があります。
4つの目的が果たせない時に、身体的介入を検討していきます。
ディエスカレーションの使い方
暴力の段階(下図)は5つに分けられ、それぞれの段階でディエスカレーションのスキルを使い分けていきます。
精神疾患の利用者さんの不安が高まり、暴力が起きそうになっている時
徐々に怒りの感情が高まってきた時
暴力を起こしてしまった時
暴力が収まってきているが、怒りの感情が残っており、再攻撃の可能性がある時
興奮状態から冷静状態へ変化し、暴力をしてしまったことに対して不安や抑うつになっており、虚無感を感じている時
ディエスカレーションの出番は、A・B・C・D・E初期になり、非身体的な介入により精神疾患の利用者さんを落ち着かせるように関わっていきます。
暴力リスクアセスメント
精神科訪問看護では、利用者さんの不安や暴力の兆候などをアセスメントツールを活用したり、暴力の要因や攻撃性の兆候に注目しながら評価を行っていきます。
- HCR-20(吉川監修 2007)
- PCL-R(精神病質チェックリスト)
- 短期予測(broset violence checklist)
- 環境因子:混雑した場所に長時間いることで人は怒りやすくする。湿度。
- 病気の症状
- アルコール/薬物の使用
- 自由の束縛
- 有効な活動の不足:活動がなく退屈になるとイライラしやすくなる。
- スタッフ人員不足(不慣れなスタッフ)
- 食事時間や投薬時間
- ケアプランや処方の変更
- 依頼の拒否
- 挑戦的態度
- 空間の制限:ホールへの出入り禁止など
- 悪い知らせ:近親者の不幸、記念日、貧困など
- パーソナルスペースの侵略
- 拳に力を入れている、筋の緊張感
- 動揺や落ち着きのなさ、脅すような素振り
- いつもと違う行動を取っていたり、活発に歩き回っていたりする
- 大声(叫ぶ)
- 短い(ぶっきらぼう、不作法、早口)会話
- 物を投げるなどものにあたっている
- 噛んだり、ひっかいたりする
- 対面して目と目を合わせ凝視する
- 指の関節を鳴らす動作
ディエスカレーションの4つのSと注意点
ディエスカレーションを行う上で4つのSと注意点を押さえておかなければいけません。
- Safety
:利用者さんも看護師も安全を確保する - Support
:不安に寄り添う、快適かつ、受容的な環境を整え、傾聴する - Structure
:契約(約束事)の確認を行う、今周りから期待されていることや未来について確認する - Symptom management
:症状管理として、呼吸法、リラクゼーション、気分転換、薬物療法を行う
- 暴力リスクを考慮した関わり
- 威嚇・威圧的にならない
- 看護師と利用者さん、看護師と看護師(同僚)と協働する
- 姿勢(距離、位置、視線)
- 指示ではなく交渉する:「~しなさい。」、「~した方が良い」とは言わない
- 看護師自身が落ち着いていられることが大事です。
看護師が感情的になってしまった場合には、いったんその場から離れることも念頭に入れておくと良いと思います。
ディエスカレーションの核となるスキル
ディエスカレーションの核となるスキルは、3つあります。
- パーソナルスペースの確保
:暴力から身を守れる距離を取っておくこと - タイムアウト
:決められた時間になったらその場から離れること - サイドウェイスタンス
:利用者さんの正面の位置に看護師がいるのではなく、やや側方へずれた位置にいること - リミットセッティング
:制限時間を設けること
- 個人の価値を認める、尊厳を保つ
- 傾聴
- 批判しない
- 誠実さ
- 看護師自身を良く知ってもらう事
上記を意識した言葉選びを行いながら、会話してみましょう。
- 自己開示、看護師が味方であると思ってもらう
- 部分的な同意を行う、利用者さんの言葉を一度は受け入れる
- 上品で礼儀正しく、紳士的な議論をする
- 具体的に伝える。
例えば、「5分待ってください。」➡〇、「ちょっと待ってください。」➡×。

ディエスカレーションでは、精神疾患の利用者さんの怒りや衝動性、攻撃性が高まっていかないように収めていき、穏やかな状態に戻すことになります。
「暴力」への不安に対しては、訪問看護師1人で考えたり、悩んだりせず、事前に利用者さんと話し合ったり、同じステーションの仲間ととも意見を出し合いながら、取り組んでいければと思います。
また、ビジケアを活用して相談するのも良いと思います。
動画で学ぶ











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精神疾患のある利用者さんが地域で安心して社会生活を送るためには、訪問看護の役割が重要と考えています。
しかし、利用者さんからの暴力に対して不安を感じている看護師さんも多いのではないでしょうか?
精神科看護では、暴力に対してComprehensive(包括的に)、Violence(暴力)をPrevention(予防)そして Protection(防止)するためのプログラム=CVPPPがあります。
今回の精神科訪問看護講座では、その「CVPPP」を参考にして「暴力」に対する「防力」について紹介します。