

人件費について考えることはとても重要ですね。
人件費率という言葉を知っていますか?経営を考えるうえでとても重要な指標なんです。
訪問看護事業は利用者さんに適切なサービスを提供し、利益を得ています。
その収入から、お給料はもちろん、事務所の家賃や電子カルテ代、ガソリン代などの支払いをしていきます。
収支の構造について学び、適切な人件費の管理をしていくことが重要となります。
今回は訪問看護ステーション経営で最も大きい支出である人件費の割合、人件費率について学んでいきましょう。

目次
人件費率とは
人件費率とは、収入に対してどれくらいの人件費がかかっているのかという指標です。
会社の利益を計算するときに、重要なデータとなります。
まずは人件費についても確認しておきましょう。
人件費が企業全体の費用に占める割合は高く、収益性に大きな影響を与えます。
人件費には従業員に支払われる給与のみでなく、以下のようなものも含まれます。
- 役職手当や通勤手当、残業手当、住宅手当などの各種手当
- 役員報酬
- 賞与
- 法定福利費(社会保険・雇用保険・労災保険など)
- 福利厚生費
- 交通費
- 研修費
- 福利厚生費
- 退職金
人件費には人に関わる様々な費用が含まれています。
従業員にとっては収入となるものですが、経営側にとってはコストとなります。
人件費がどの程度かかっていて、収入における割合はどうかを把握しておくことは、経営管理上とても重要です。
経営者には適切な人件費のコントロールと、その調査分析力し改善する行動力が求められます。
人件費率の計算方法
では、人件費率を実際に計算してみましょう。
人件費率の計算方法は以下のようになっています。
人件費率=(人件費÷売上高)×100
それぞれの事業所の人件費率を計算してみてください。
ご自身の事業所の人件費率は何パーセントだったでしょうか?
訪問看護ステーションの人件費率
訪問看護事業は、私たち看護師やセラピストの稼働により収益が生み出されている仕組みです。
人的リソースを元に収入を生み出しますので、収入に占める人件費の割合は他の事業と比較してかなり高くなってきます。
令和2年度の1事業所当たりの収支額の調査では、訪問看護ステーションの人件費率は77.4~79.6%となっています。
一見似かよった割合に見えるかもしれませんが、訪問件数の100回以下のステーションと、400回以上のステーションでは、4.5%の差があり、金額にすると数十万の収入の差が生まれています。
人件費率が高すぎることによって、その他の支出を残りの収入で払うことができなければ赤字になってしまいます。
赤字に苦しむステーションの多くは人件費率が80%以上に上っていることが多いようです。
例えば人件費率60%などと極端に低ければ、一見収益を多く出しているように思われるかもしれませんが、全体の訪問看護事業の人件費率からみると、きちんと従業員に還元されていない可能性もあります。
人件費率のポイント
人件費率をみるときは以下のようなことをポイントとしていきましょう。
収支のバランス
まずは事業として収入が支出を上回っていないと赤字になってしまいますので、バランスをみていきます。
支出が収入を上回っている場合はその原因を分析しましょう。
例えば訪問件数が少ないのに残業時間が多いなどがあれば改善しなければいけません。
もちろん人件費以外の経費についてもコントロールされているかの確認が必要です。
事業における人件費の割合
訪問看護全体の人件費率の平均や訪問件数別の人件費率と比較し、自己の事業所の人件費率の割合が適正であるか評価をしていきます。
開設当初は人件費率の平均と比較することは難しいので、どの程度の訪問件数があれば人件費率が平均値へと近づくかという計算をして、それを目標として動いていくことが良いでしょう。
従業員への報酬
従業員への報酬が労働に見合ったものであるかをみていきます。
訪問看護事業の収入を生み出している従業員に十分な還元ができていないということは、会社にお金が残ったとしても、スタッフが頑張る意欲、モチベーションを下げてしまうことに繋がります。
モチベーションが下がってしまうとサービスの質の低下を招く可能性もありますので、注意していきたいところとなります。
これらが適正かどうかを確認していきましょう。
何のために利益が必要か、誰のためにサービスの質を向上させるのか、そのためにはどのような行動、どのような成果が必要なのか。
こうしたポイントをスタッフ 1 人 1 人が納得し落とし込んでいくことで、組織の活動に力強さが生まれます。
利益を上げるためにできること
ICTの活用
みなさんの事業所は電子カルテを導入していますか?
紙カルテの整理などの業務に割く時間は、超過勤務や情報収集の非効率を生みます。
業務の整理をして現場の業務がスムーズに進むようにしましょう。
もしまだ電子カルテやタブレットの導入がされていないようでしたら、思い切って導入を考えてもいいかもしれません。
報酬の請求に関しても同様で、請求ソフトの使用は、計算間違いなどの人的ミスを削減できますので、効率化のために重要です。
またデータを分析したり事業計画を立てやすくなりますので、経営を考えるうえで重要なツールとなるでしょう。
電子カルテと報酬請求が一本化されているシステムで、さらなる効率化を図りましょう。
訪問件数の増加
現在訪問に空き枠があるようであれば、依頼件数が増加すれば、1人のスタッフが訪問できる件数が増えます。
営業活動で新規の利用者さんを増やすことはもちろん重要ですが、収入アップの第一歩として、既存の利用者さんの情報を整理してみましょう。
要介護度が適正かどうかを確認、ADLの低下や医療の介入の必要性がでてきていないかを考慮して、サービス追加の見込みのがあれば増回等を検討してみましょう。
無理な訪問スケジュールは良くありませんが、可能であれば訪問件数を増やしていけば、同じ従業員の人数でも収益は増加します。
従業員と訪問件数の多い事業所ほど収入が多い傾向にありますから、訪問件数の増加の見込みが増えてきたら、教育の期間なども踏まえながら、無理のない業務ができるよう従業員の増員を検討しましょう。
上記の表の右列は全国平均の訪問看護1事業所当たりの令和元年度決算の表です。
看護職員の常勤換算数の平均は4.7人看護職員、1人当たり訪問回数は月に71.3回 です。
1人につき20日稼働で計算すると、1日あたりの訪問件数は3.565回、おおよそ3~4件の訪問を平均してこなしていることになります。
業務を効率化、訪問間の移動ルートを負担なくスムーズにする、訪問時間や訪問自体の医療度や介護度の負担を調整することで訪問件数の増加は可能です。
なお、1事業所全体の訪問件数が多くなるにつれ看護職員の訪問件数が多い傾向にあり、月の訪問件数が400回以上の事業所の看護職員1人当たりの1日の訪問件数は約5件となっています。
訪問看護事業の収入源である人的リソースを訪問や営業活動など売上に繋がる活動に割くようにしましょう。
毎月・年単位・中長期の目標を立てる
毎月の訪問数と利益のデータの推移をみるとともに、目標を立てましょう。
人件費率を下げるためには全体の収入を増やす、支出を減らすのどちらかになります。
現在の支出の中に必要なくなっているものや、減額を検討できるものはありませんか?
減らせる支出をまずは見直し、その上で目標の収益にするにはどのような訪問数が必要かを計算で割り出してみましょう。
また年単位の目標を立て実行すること、先を見通して中~長期の経営計画を立て実行・評価・管理をすることは安定した経営をしていくための重要な要素となります。
目標・計画はできる限り具体的に可視化しておき、とりあえず立てる計画・目標ではなく、実際に実行していく具体的な数値が含まれたものにしましょう。
まとめ
みなさん人件費率についてこれまでよりも理解することができたでしょうか?
























