前回の記事では、訪問看護の運営における休日・休暇の概要について解説しました。
今回は引き続き、訪問看護における法定休暇である「年次有給休暇」について詳しく解説していきます。
近年働き方改革により追加になった制度もあり、訪問看護の運営においては十分に理解しておく必要があります。
経営者の皆様はぜひ参考になさってください。
- 年次有給休暇とは?
- 年次有給休暇の付与対象
- 年次有給休暇の付与日数
- 有給休暇の年5日取得義務とは
- 有給休暇の時期変更
- 有給休暇は前倒しで付与できる?
- 退職前の有休消化は拒否できる?
- 有給休暇のルールに違反するとどうなる?
目次
年次有給休暇とは?
年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のことをいいます。
年次有給休暇の付与対象
年次有給休暇は、以下の2つの要件を満たした労働者に付与される休暇です。
条件を満たしていれば、常勤職員だけでなく、非常勤職員を含む全ての労働者に対し付与されます。
(1)雇い入れの日から6か月経過していること
(2)その期間の全労働日の8割以上出勤したこと
年次有給休暇の請求権の時効は2年であり、前年度に取得されなかった年次有給休暇は翌年度に与える必要があります。
事業主は労働者ごとに「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保存しなければなりません。
年次有給休暇の付与日数
年次有給休暇は、「通常の労働者」と「週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者」で付与日数が異なります。
付与日数については、以下の表を参考にしてください。
有給休暇の年5日取得義務とは
労働基準法の改正により2019年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、事業主が時季を指定して取得させることが義務付けられました。
事業主は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。
また、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。
既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。
有給休暇の時期変更
年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えることとされています。
労働者が具体的な月日を指定した場合には、以下の「時季変更権」による場合を除き、その日に年次有給休暇を与える必要があります。
時季変更権とは?
事業主は、労働者から年次有給休暇を請求された時季に、年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季に年次有給休暇の時季を変更することができます。
例えば職員が同じ日に休みを希望したため業務に支障が出る場合など、希望者全員に休暇を付与できない場合に日をずらして休暇を与えることができます。
有給休暇は前倒しで付与できる?

有給休暇は前倒しで付与することができます。
ただし、前倒しで10日以上の年次有給休暇を付与した場合には、その日から1年以内に年5日取得義務で定められている5日の年次有給休暇を取得させる必要があります。
また、前倒しで一部の有給休暇を付与した場合(例えば入社日に5日し、数ヶ月後に残りの5日を付与した場合)には、10日以上を付与した日から1年以内に5日の年次有給休暇を取得させる必要があります。
退職前の有休消化は拒否できる?

事業主は、労働者が希望する有休消化は拒否することができません。
ただし、有給休暇の時期変更は可能です。
退職前に有休消化の希望があった場合には、引き継ぎなどを含め余裕のあるスケジュール調整を行いましょう。
有給休暇のルールに違反するとどうなる?

有給休暇のルールに違反すると、以下のような罰則が課されることがあります。
このように、労働基準監督署の監督指導において法違反が認められた場合は、原則としてその是正に向けた指導により改善を図ります。
まとめ
今回は、年次有給休暇について詳しく解説しました。
働き方改革により、さまざまなルールが追加されています。
訪問看護の保険制度とともに、労働法の改定にも目を光らせてくださいね。
参考
厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf
厚生労働省リーフレット「有給休暇の付与日数は法律で決まっています」https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf
























