精神科訪問看護における自立支援医療(精神通院医療)制度とは?

訪問看護ステーションでは、さまざまな公費を利用することができます。

その一つが「自立支援医療制度」です。

今回は、精神科訪問看護を行う際に出会うことの多い制度である、自立支援医療制度について詳しく解説していきます。

 

 

この記事でわかること

自立支援医療費助成制度の概要

自立支援医療制度の訪問看護での取り扱い

自立支援医療制度でのレセプトの注意点

 

 

精神科訪問看護を行う訪問看護ステーションの管理者の方や、精神疾患を抱える利用者さんを担当する訪問看護師の皆様にわかりやすくまとめています。

それではさっそく詳しい内容を解説していきましょう!

 

 

目次

自立支援医療制度とは?

自立支援医療制度の目的

自立支援医療制度における3種の対象者

精神通院医療とは?

精神通院医療で対象となる医療機関とは?

自立支援医療の申請の手順

自立支援医療での医療費自己負担上限額

訪問看護での自立支援医療制度とは?

指定医療機関となる訪問看護ステーションとは?

指定訪問看護の更新

自立支援医療制度のレセプトとは?

自立支援医療制度のレセプトで必要な情報

自立支援医療制度のレセプトの注意点

まとめ

 

 

自立支援医療制度とは?

 

自立支援医療制度の目的

自立支援医療制度とは、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。

 

自立支援医療制度における3種の対象者

 

自立支援医療制度には、対象者の年齢や状態に応じて以下のように3種類の分類がされます。

精神通院医療:精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者

更生医療:身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)

育成医療:身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)

 

主に精神科訪問看護の利用で使われる公費は、自立支援医療制度の精神通院医療です。

 

精神保健福祉法第5条とは?

第5条…この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。

 

 

精神通院医療とは?

自立支援医療(精神通院医療)制度は、平成18年4月1日に創設された制度です。

統合失調症やうつ病などの精神疾患により、通院による継続した治療を受ける場合に、医療費の負担が多くなることがあります。

自立支援医療制度は、そのような精神疾患の継続治療のためにかかる医療費の軽減を図るものです。

この自立支援医療(精神通院医療)制度を受けることで、訪問看護の自己負担分も軽減できます。

 

精神通院医療で対象となる医療機関とは?

精神通院医療で対象となる医療機関は、病院(診療所)、薬局、訪問看護、精神科デイケアです。

ただし、医療機関は都道府県又は政令市から自立支援医療機関の指定を受けている必要があります。

また、利用する医療機関は自立支援医療制度の申請を行い、認定を受けた際に交付される「自立支援医療受給者証(精神通院医療)」に記載してある機関に限ります。

 

自立支援医療制度の申請の手順

 

自立支援医療制度の申請は、利用者の住まいのある市区町村の担当窓口で行います。

各自治体の担当窓口に次の書類を提出します。

埼玉県ホームページ 自立支援医療制度について」より引用

新規申請の場合、指定医療機関の主治医より医師の意見書(診断書)を提出する必要がありますが、精神障害者保健福祉手帳を持っている利用者さんは意見書の提出を省略できる場合があります。

申請を行い、認定を受けられると「自立支援医療受給者証(精神通院医療)」と「自己負担上限額管理表」が交付されます。

継続(更新)申請は1年ごとで、有効期限の3か月前から申請できます。

その際、主治医の意見書(診断書)の提出は原則2年に1回となっています。

自立支援医療受給者証(精神通院医療)に「今回の申請書への意見書(診断書)の添付の有無」という欄があります。

その欄が「有」になっている場合には、次の継続(更新)申請の際に主治医の意見書(診断書)は不要となります。

 

新型コロナウィルス感染拡大に伴い、令和2年3月1日から令和3年2月28日までの間に有効期間が満了する自立支援医療受給者において、原則として1年間延長することとなりました。
※厚生労働省からの資料はこちらをクリック

 

自立支援医療制度での医療費自己負担上限額

 

自立支援医療制度の自己負担上限額は以下のとおりです。

また、自立支援医療制度の自己負担割合は原則1割になります。

厚生労働省 自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み」より引用

 

 

訪問看護での自立支援医療制度とは?

指定医療機関となる訪問看護ステーションとは?

自立支援医療制度を受けて訪問看護を利用する場合には、訪問看護事業所が都道府県または市区町村に対して指定医療機関の届け出を行う必要があります。

都道府県、または市区町村に指定自立支援医療機関指定更新申請書を記載して窓口に申請します。

 

指定訪問看護の更新

 

指定訪問看護ステーションとして申請が受理された場合、6年ごとに更新の手続きが必要になります。

 

 

自立支援医療制度のレセプトとは?

自立支援医療制度のレセプトで必要な情報

自立支援医療制度のレセプトを作成する際には、以下の情報収集が必要になります。

健康保険証

自立支援医療受給者証(精神通院医療)

自己負担上限額管理表の当月の累積額

前項でも記載していますが、利用する医療機関は自立支援医療制度の申請を行い、認定を受けた際に交付される「自立支援医療受給者証(精神通院医療)」に記載してある機関に限ります。

自立支援医療制度を使って訪問看護を利用することが決まった際には、必ず都道府県または市区町村の担当窓口にて受給者証に訪問看護ステーションの事業所名を記入してもらいましょう。

この段取りを踏まなかったために、自立支援医療制度を利用できなかったという事例がありますのでご注意ください。

 

自立支援医療制度のレセプトの注意点

 

レセプト作成時には、保険情報と合わせて、「21」で始まる自立支援医療受給者証(精神通院医療)に記載された受給者番号を記載する必要があります。

また、訪問看護の利用料金の自己負担分については、上限額までの料金を訪問看護ステーションから利用者さんへ直接請求します。

毎月末には自立支援医療の自己管理表を確認し、自己負担上限額に達しているか、達していない場合には残りの請求額はいくらになるのか確認する必要があります。

また、そのほかの公費(例えば生活保護の医療費扶助、重度心身障害者医療費助成制度など)と併用が可能です。

そのほかの公費の受給者証を合わせてお持ちでないか、確認してみましょう。

生活保護受給者の場合には利用者の自己負担はありませんが、レセプトの第1公費欄には自立支援医療制度の、第2公費欄には生活保護の情報を記載する必要があります。

 

まとめ

 

今回は、自立支援医療制度の精神通院医療について解説しました。

精神科訪問看護の利用者さんは、自立支援医療制度の申請や更新に手助けが必要なこともあります。

訪問看護の管理者さんや職員の看護師さんが活用できる制度を知っておくことは重要です。

ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

ビジケア公式LINEに登録すると、訪問看護に関する最新情報(診療報酬や介護報酬改定を中心とした内容)が月に2回無料で配信されます。

最新セミナー情報やお得なご案内も配信していますので、よろしければ登録をお願いします。

友だち追加

 

ABOUT US
石澤 明日香
埼玉県在住/看護師/急性期総合病院にて6年勤務後、訪問看護ステーションで5年半勤務。令和4年9月に訪問看護ステーションアスエイドを開設、代表取締役兼管理者を務める。そのほか重度訪問介護事業所にも所属し介護士として障害を抱える方への支援や訪問看護に特化したブログ「ウチくる看護」の運営を行う。/趣味は料理とホームパーティ