
厚生労働省の報告では、日本で生活保護を受けている人は、約214万人います。(平成29年時点)
また、その半数近くが65歳以上の高齢者です。
生活保護を受けている方も、訪問看護を利用することができます。
今回は、訪問看護での生活保護受給者の取り扱いについてまとめました。
生活保護受給者への訪問看護を提供するために必要な届出や、算定方法など詳しく記載しましたので、ぜひ参考になさってください。
- 生活保護受給者とはどのような人?
・生活保護制度とは?
・生活保護受給者が受けられる扶助とは? - 訪問看護での生活保護受給者の取り扱いとは?
・生活保護受給者にサービスを提供できる訪問看護ステーションとは?
・指定訪問看護ステーションの届出はどこにする?
・指定訪問看護ステーションの届出の更新期間は? - 生活保護受給者への訪問看護の算定は◯◯券が必要
・医療保険での訪問看護
・介護保険での訪問看護
・40歳から64歳の介護が必要な生活保護受給者の場合は? - 生活保護受給者の訪問看護利用時の算定方法
・医療保険での算定
・介護保険での算定
・公費の優先順位

目次
生活保護受給者とはどのような人?
生活保護制度とは?
生活保護制度は、資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。
生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
(厚生労働省 生活保護制度より引用)
生活保護とは、年金や手当などを駆使しても生活に困窮する方を対象として設けられた制度です。
生活保護法に基づいて、必要と認められた方に最低限の生活を営むための費用が支給されます。
生活保護は公費の一つであり、公費には法別番号が決められています。
法別番号は、公費の受給者証に記載されている公費番号の頭につく2桁の番号です。
生活保護受給者の公費番号は、「12」の法別番号で始まる8桁の数字を組み合わせたものです。
生活保護受給者が受けられる扶助とは?
生活保護受給者は、以下のように生活を営むために必要な扶助が支給されます。
訪問看護は、医療サービス及び介護サービスの費用の項目に該当します。
| 生活を営む上で生じる費用 | 扶助の種類 | 支給内容 |
| 日常生活に必要な費用 (食費・被服費・光熱費等) |
生活扶助 | 基準額は、
特定の世帯には加算があります。(母子加算等) |
| アパート等の家賃 | 住宅扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
| 義務教育を受けるために必要な学用品費 | 教育扶助 | 定められた基準額を支給 |
| 医療サービスの費用 | 医療扶助 | 費用は直接医療機関へ支払 (本人負担なし) |
| 介護サービスの費用 | 介護扶助 | 費用は直接介護事業者へ支払 (本人負担なし) |
| 出産費用 | 出産扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
| 就労に必要な技能の修得等にかかる費用 | 生業扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
| 葬祭費用 | 葬祭扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
厚生労働省 生活保護制度より引用
訪問看護での生活保護受給者の取り扱いとは?
では、生活保護受給者にサービスを提供できるのは、どのような訪問看護ステーションなのでしょうか。
生活保護受給者にサービスを提供できる訪問看護ステーションとは?
生活保護受給者に医療を提供するためには、都道府県知事、指定都市市長または中核市市長から指定された医療機関である必要があります。
訪問看護ステーションも医療機関です。
生活保護受給者に訪問看護を提供するには「指定訪問看護ステーション」となるための申請を行います。
また、申請するには健康保険法の指定医療機関の申請がされていることが必要です。
指定訪問看護ステーションの届出はどこにする?
指定訪問看護ステーションとして登録するためには、事業所の所在地を管轄する福祉事務所への届出が必要です。
地域ごとに定められた「指定申請書」と「誓約書」を提出し、受理されると指定訪問看護ステーションとして生活保護受給者の訪問看護を提供することができます。
指定訪問看護ステーションの届出の更新期間は?
指定医療機関は原則6年毎に更新が必要です。
所定の更新申請書を記載し、手続きを行ってください。
また、訪問看護ステーションの廃止や休止及び再開時にも届出が必要となりますのでご注意ください。
生活保護受給者への訪問看護の算定は◯◯券が必要
では、実際に生活保護受給者の訪問看護の依頼を受けた場合、どのようにサービスを開始し算定を行うのでしょうか。
医療保険での訪問看護
ほとんどの生活保護受給者は、医療費が全額医療扶助によって賄われます。
ただし、医療費の公費負担がある場合や社会保険の被保険者または被扶養者においては、各制度で給付されない部分が医療扶助の給付対象になります。
生活保護受給者に対し医療保険での訪問看護を行う際には、「医療券」という書類を用いて算定を行います。
指定医療機関となる病院の医師が「訪問看護要否意見書」を福祉事業所に提出すると、福祉事業所から訪問看護ステーションへ「医療券」が交付されます。
「医療券」は訪問看護を利用している期間に、毎月1枚ずつ交付されます。
介護保険での訪問看護
65歳以上の生活保護受給者は、介護保険の対象者になります。
生活保護受給者であっても65歳以上の方は介護保険料を納付する義務があります。
介護保険料は通常年金などから天引きされますが、生活保護受給者の場合は生活保護費の生活扶助によって賄われます。
生活保護受給者に対し介護保険での訪問看護を行う際には、「介護券」を用いて算定を行います。
指定居宅介護支援事業所のケアマネジャーが「居宅支援計画書(ケアプラン)」を福祉事業所に提出すると、福祉事業所から訪問看護ステーションへ「介護券」が交付されます。
「介護券」も医療券と同様に、毎月1枚ずつ交付されます。
40歳から64歳の介護が必要な生活保護受給者の場合は?
通常40歳から64歳の要介護者の場合は、厚生労働省の定める16の特定疾病に該当する場合には第2号被保険者として介護保険の認定を受けることができます。
生活保護受給者の場合も、16の特定疾病に該当する場合には介護保険サービスを利用することができます。
しかし、生活保護受給者の場合は第2号被保険者としてではなく、「みなし2号」と分類されます。
通常、介護保険の第2号被保険者(40歳以上64歳未満で16の特定疾病に該当する人)の場合は、医療保険料から天引きされる形で介護保険料を納付しています。
40歳から64歳の生活保護受給者は、医療保険には加入しておらず「医療券」で医療費を扶助されているため、本来医療費から天引きされる介護保険料を支払うことができません。
そのため、みなし2号の場合には介護保険の被保険者としては扱われないため、生活保護の介護扶助により全額が賄われます。
生活保護受給者の訪問看護利用時の算定方法
医療保険での算定
医療保険で訪問看護を利用した場合、「医療券」に記載された8桁の公費番号をレセプトに記入して社会保険診療報酬支払基金に提出します。
生活保護以外の公費適応がある場合には、その公費が優先されます。
年金などの収入がある生活保護受給者の場合には、自己負担がある場合があります。
「医療券」に自己負担額が記載されている場合には、訪問看護ステーションから利用者さんへ自己負担分を徴収します。
介護保険での算定
介護保険で訪問看護を利用した場合、「介護券」に記載された8桁の公費番号をレセプトに記入して国保連合会に提出します。
介護保険での利用に場合も、生活保護以外に公費適応がある場合には、それらの公費が優先となります。
生活保護受給者でも年金などの収入がある際には、自己負担がある場合があります。
「介護券」に自己負担額が記載されている場合には、訪問看護ステーションから利用者さんへ自己負担分を徴収します。
公費の優先順位
公費には、全国公費(全国で有効な公費)と地方公費(市区町村が実施している公費)があります。
生活保護以外に公費を利用できる方は、医療・介護保険>全国公費>地方公費>生活保護の優先順位で算定を行います。
まとめ
今回は、訪問看護での生活保護受給者の取り扱いについて解説しました。
コロナウィルス感染症の拡大により、生活保護受給者は増加傾向にあります。
訪問看護でも、生活保護を受けている方の依頼が増えて来ることが予測されます。
生活保護法における訪問看護について知識を深め、適切な請求業務を行っていきましょう。





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