
目次
症例の情報
- 訪問看護介入まで、1年以上寝たきりで入浴拒否していた
- 現在は、バルブロサンを調整し、入浴やケアは最低限可能も、ADLは寝たきり
- 体位変換や食事時のベッドアップを促しているが、本人の拒否が強く、20~30分のベッド座位20~30度が限界という状況
- 褥瘡に対する、その他の介入として栄養マネジメント、体位変換を行なっている
- 部位:背部〜腰部の脊柱あたり
- 大きさ: 2.5 × 3.8 cm(広がり移動なし。感染兆候なし。滲出液あり。)
- 現在の処置:エスアイエイドを貼付し、週3回のペースで交換
- 今後の処置:主治医に相談し、デュオアクティブに変更する指示が出ている


褥瘡評価
DESIGN-R
- DESIGN-R= d2 – e3 s6 i0 g1 n0 p0 : 10点
- Size(サイズ): たて 2.5cm × よこ 3.8cm = 9.5cm

DESIGNーRは10点と評価しました。滲出液の量は、1点(少量)にするか迷いましたが、3点(中等量)にしました。
滲出液の量は、正確な評価が難しいと言われており、さらに深掘りしていきます。
滲出液の評価
滲出液は、ドレッシング剤の種類によって吸水量が異なることから評価が難しいと言われています。
さらに在宅の現場では、週に2〜3回ペースの訪問で、滲出液の量を観察をしている状況が多く、評価しにくいのが現状です。


今後使いやすい評価指標があれば、追って皆様にお伝えしていきたいと思っています。
続いて、創傷被覆剤の交換頻度を検討します。
創傷被覆剤の交換頻度の検討
創傷被覆剤の交換頻度は、「固着性」と「吸水量」の2点から考えることが大切です。
固着性はなるべく高くないものを選択します。
創傷被覆剤の固着性が強いと、創傷を治すための細胞が創傷被覆剤にくっついたり、在宅で過ごす高齢者の皮膚トラブルを助長する可能性があるからです。
吸水量は、以下のガイドラインを参考に、滲出液の量に合った創傷被覆剤を選択します。
*引用)日本皮膚科学会の「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―1 P21」より
深達度からの考察
今回の症例の褥瘡の深達度は写真から、d2(真皮までの損傷)と判断しました。
d2(真皮までの損傷)の状態に大切な観察ポイントは、毛包の有無を確認することです。
毛包から表皮細胞が形成されるため、毛包が有れば、治癒過程に入っていると判断できるからです。
皮膚の解剖図を見ると、毛包が真皮レベルにあることが確認できます。
(毛包の見た目は、どなたでも見たことがある、手や顔にある毛穴のようなものです。)
今回の症例では、褥瘡が2ヶ月間変化しなかった状態であったため、褥瘡部に毛包があるかどうか観察することで、より具体的な評価が行うことができます。
処置材料の選択
WBPとTIMEコンセプト

処置材料の選択は、WBPとTIMEコンセプトという概念を元に行なっています。
今回は、これらの概念について紹介だけしておきます。
WBPとは?
創面環境調整(Wound Bed Preparation)の略のこと。
生体が有する創傷治癒能力を引き出すための環境づくりという概念のこと。
TIMEコンセプトとは?
WBPの概念をもとに、難治性慢性創傷における問題点を発見し、解決・改善しようとする概念のこと。
- Tissue non-viable or deficient : 壊死組織・活性のない組織
- Infection or inflammation : 感染または炎症
- Moisture imbalance : 湿潤の不均衡
- Egde of wound –non advancing or undermined epidermal margin : 創辺縁の表皮進展不良あるいは表皮の巻き込み
創傷被覆剤について
- 創面を閉鎖し、湿潤環境を形成する
- 乾燥した創を湿潤させる
- 浸出液を吸収し保持する
- 感染コントロール
- 肉芽形成や上皮化を促す
- 油脂性:油分による創面の保護
- 乳剤性:乾燥した組織に水分を与える
- 水溶性:浸出液を吸収する

*引用)日本皮膚科学会の「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―1 Page115」より
その他の褥瘡ケア
褥瘡に洗浄剤は必要か
日本褥瘡学会のガイドラインでは、褥瘡洗浄の際に、洗浄剤を使用するかどうかは、明示されていません。
- 褥瘡は生理食塩水か飲用に適した水で洗浄する(エビデンスの強さ=C,推奨度=1)
*引用)日本褥瘡学会の「褥瘡の予防と治療:クイックリファレンスガイド 日本語版 2014年Page 41 1.1」
- 弱酸性洗浄剤による洗浄を行ってよい(推奨事項)
*引用)日本褥瘡学会の「褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)2015年Page11 発生後ケアCQ8.6」

エアマットの検討
今回の症例において、寝たきりや介護力などの情報から、「自動体位変換機能付きエアマット」の使用も検討が必要です。
本人の拒否が強いこともあり、総合的に見て、ケアを考えて行く必要がありますね。
まとめ
- 今回の症例では、結果的に医師の指示で、処置材料がデュオアクティブになった。
- 病院とは違い、家族の介護力や経済面、訪問看護師と主治医との連携などによって、薬剤、創傷被覆材、処置方法など一気に変えることは難しい。一つずつ変更して評価して褥瘡管理をしていく。
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褥瘡の洗浄方法について、「石鹸等の洗浄剤」を使用するかどうかは未解決である。
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今回は、「在宅における看護師特定行為研修について【皮膚褥瘡関連~第3回~】」です。
ビジケアの会員様より質問いただきました、実際に褥瘡がある方の症例について解説していきたいと思います。