リーダーシップを考える③ ミンツバーグから学ぶ管理者の10の役割

これまで、リーダーシップについて、

①優れたリーダーの6つのポイント

②フォロワーシップ目線のリーダーシップ5つのポイント

について、お伝えしてきました。

 

 

 

この記事を読まれているみなさんは,リーダーが多方面に対して感度を高め、様々な事柄に対応する能力が必要ということを、日々感じていると思います。

 

Ns山口

ひとつの業務を淡々と担当するということはなく、良好な組織運営に当たっては様々な事を同時に考え、マルチタスクを実行していくことが要求されますよね。

 

今回は、ミンツバーグの管理者研究を参考に、実際にリーダーが担う役割がどんなものかについてお話していきます。

研究に沿って「管理者の役割」としてご紹介していますが、経営者・訪問看護管理者・主任・リーダーなどそれぞれリーダーシップをとるポジションの視点で、そしてこれからその役割を担っていく方たちにも読んでいただけたらと思います。

 

管理者の10の役割

管理者の10の役割とは、経営学者のヘンリー・ミンツバーグ教授が提唱したものです。

経営者や管理職は職業により多様な役割を必要とされています。

ミンツバーグは複数の経営者に密着し、どのような職種にも共通して必要とされる管理者の役割を10にまとめました。

 

 

3つのカテゴリーに分けられる管理者の10の役割

ミンツバーグ教授によると、10の役割は大きく3つのカテゴリー

 

  1. 対人関係
  2. 情報伝達関係
  3. 意思決定関係

 

に分けられます。そしてそのカテゴリーの中に10の役割が割り振られています。

 

カテゴリー①:対人関係

①フィギュアヘッド
社会上、形式上、法律上責任を担っている長。

また権力がある人物として、他者から認識される。

②リーダー
会社・部署・チームのリーダー。

部下の人員配置やパフォーマンスをマネジメントをする責任を負う。

③リエゾン
外部とのコミュニケーションの担い手。

組織にとってプラスとなるようなネットワークを築く。

 

 

カテゴリー②:情報伝達関係

④モニター
会社、業界等の組織と環境の変化を理解する監視役。

生産性と福利厚生が両立するように広範囲に専門情報を探索・受信する。

⑤周知伝達役
外部や社内から受信した情報をメンバーに伝える。

⑥スポークスマン(広報)
組織の計画・方針・措置・結果などについて情報を外部に伝える。

 

カテゴリー③:意思決定関係

⑦起業家
組織の変革と創造をもたらす新しいアイデアを主導。

⑧障害処理者
組織に想定外の出来事が起こったときの是正処置を行う。論争や衝突の調整。

⑨リソース配分者
組織のリソース(資源)を適切に配分されるように決定・承認する。

⑩交渉者
組織、部門、チーム内で発生する重要な交渉にあたって責任を負い、組織を代表する。

 

以上の10の役割です。

それではここからは上記を参考に訪問看護の経営者や管理者の役割をお話していきましょう。

 

3つの役割を訪問看護の視点で考える

①訪問看護のリーダーとしての対人関係

対外的なコミュニケーションは管理者の重要な要素のひとつです。

もちろん集客にも対人関係は不可欠であり、得た繋がりを元に、さらに広げることにも役立ちます。

病院やケアマネジャー、利用者さんやご家族と良好な築くことはメンバーを支援し守る事にも繋がります。

決定権と責任の所在であるリーダーが、内外共に良好な人間関係を築き、業務が円滑に進むように努めることは、万が一何らかのトラブルが起きてしまった場合にも対応の困難さを緩和します。

また、その立場だからこそ得られる人脈がありますので、それを正しく活用して、組織に役立つような動きをすることが必要です。

病院などの組織では、専門職の対人面での仕事の評価は目に見えにくいことが多いのですが、訪問看護では訪問件数やケアマネジャーからの紹介が増加することなどで数字で評価が得られるという特色があります。対人関係の面でリーダーとしてよい動きができているかどうかが評価しやすいのではないでしょうか。

 

 

②訪問看護でのリーダーとしての情報伝達関係

リーダーであるならば、メンバーが気持ちよく働き、事業としても成果が出ていくことを重要と捉えていると思います。

そのためには、看護師やセラピストとしての知識のみでなく、一般的な社会の常識や仕組みを理解することや、どんな情報をスタッフが欲しているかなどあらゆる情報を多方面から理解し、考える必要があります。

また、経営側からの要望や外部からの意見を受けた時にも、メンバーに伝える際に、その内容をすべてをそのまま伝えるようなことはおそらくしないでしょう。

必要な情報をいかにうまく抜き取り、メンバーにわかりやすく伝えるかどうかで、組織全体の円滑な運営にも関わります。

そして、外部へ情報を発することも重要な役割。

訪問看護は原則、定められた法や制度に則って行われるものですから、それを利用者さんやご家族に理解していただくことなどは大変大切です。

医療的なケアについてもプロの私たちが一般の方に理解していただくためには丁寧で分かりやすい説明が必要ですので、わかりやすく伝えること、伝え方を指導すること、も重要な役割です。

 

 

③訪問看護のリーダーとしての意思決定関係

リーダーの組織内での実力や立ち位置は部署全体の環境に大きな影響を与えます。

例えば訪問看護事業単独の事業所ではない場合には、管理者の組織全体の中での立ち位置によって、他部署への発言力や影響力、指示がしっかり守ってもらえるか、の違いも出てくるといっても過言ではありません。

もちろん圧力的な意味ではなく協力・協働関係としてうまく多職種と関わり、立ち回れるかどうかは普段からのリーダーの交渉力や信頼度に左右されるでしょう。

また、訪問看護の世界ではイレギュラーなことが起こるのは日常茶飯事ですから、緊急事態の判断はもちろんリーダーレベルの最重要課題です。

事態が大きくなりすぎないうちにうまく関わり、もしもの場合にもどう処理するかの判断が重要です。

 

 

ここまで、ミンツバーグの提唱したリーダーの10の役割と、それを分類する3つのカテゴリーについて、訪問看護の視点を交えてお話してきました。

訪問看護ステーションに関わる専門職それぞれの看護観や価値観、判断力を尊重しながらマルチタスクを処理するリーダー。

無意識のうちにみなさんはこのような役割を日々こなしていると思います。

職場の組織形態や規模により、リーダーの役割や業務をどのように組み立てるかは十人十色ですが、いかにリーダーが様々な能力を身に付けられるポジションということは間違いないと思います。

 

Ns山口

また、訪問看護の場では、リーダー自身があまりにも前に出て目立ってしまうよりも、メンバーそれぞれを活かすことのできるリーダーシップというものに大変意味があると思います。

メンバーが自分が働いている、裁量を持っている、と感じてもらえると、より安定・自立したチームとなるでしょう。

これから足りない部分をまだまだ伸ばして、利用者さんはもちろんメンバーが活き活きと働ける職場づくりをしていっていただきたいと思います。

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ABOUT US
山口 ゆき
看護師・介護初任者研修講師・心理カウンセラー・ファイナンシャルプランナー/ブログ「カンゴとカイゴにサチアレ」運営/救急医療・ICU等にて8年勤務後、留学先のオーストラリアで在宅医療に関わる。帰国後訪問看護にて管理者として勤務。現在看護師として現場で働く傍ら、法人のブログ執筆やイベント企画・コンサルティングも行う。/愛知県在住