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認知症高齢者と痛み
認知症高齢者の痛みに関する看護で重要なのが、「医療者が痛みに対する感度を上げること」です。
下記は、一般的な高齢者と、認知症高齢者の痛みに対する比較です。
| 一般的な高齢者 | 認知症高齢者 |
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認知症高齢者は痛みの認識や、訴えが難しくなる傾向があります。

看護師は、認知症高齢者の痛みを見つけて、アセスメントやケアをする必要があります。
高齢者の多くは痛みを抱えて生活している
在宅高齢者の慢性痛有症率は、60〜70%と言われています。
「痛みを訴えないから痛くない」「検査をしても異常がないから痛くない」というわけではありません。

高齢者の中には「痛みを訴えるのがみっともない」と考える方もいます。こちらから痛みに対する声かけは必須です。
アルツハイマー型認知症の方は痛みに強いのか
下記は、アルツハイマー型認知症の人と、一般の人の痛みの感じ方の違いを示す調査です。
痛みに対して、「痛み止め(アセトアミノフェン)の使用量」や、「痛みの閾値の違い」を表しています。
この調査によると、アルツハイマー型認知症があると、アセトアミノフェンの使用量が少なくなっています。
また、電気刺激に対する痛みや駆血帯による虚血の痛みにも、アルツハイマー型認知症の人の閾値は高く、耐性があるのが分かります。

ただ、痛みには強いですが、痛み自体が無いわけではありません。看護師が、痛みを見つけて対処するのは重要です。
認知機能低下のある高齢者の痛みのアセスメント方法
では、痛みのアセスメント方法を解説します。
- 本人に聞くときのポイント
- 観察のときのポイント
ポイント別に見てきましょう。
本人に聞くときのポイント
本人に聞く際のポイントは下記です。
- 軽度・中等度の高齢者には、本人に直接聞く
- 思い出すのが難しいため、「現在の痛み」に対する質問に留める
- いつから、何をしたときに痛くなったかではなく「今どうか」に注目する
- 一回ではなく、時間や場所を変え、何度か聞いて訴えが同じか確認する
認知症高齢者の痛みの訴えは、聞くたびに部位が変わるケースもあります。

時間を空けて、同じ訴えが続く場合は、本当にそこが痛むと考えられますよ。
観察のときのポイント
観察のときのポイントは下記です。
- 表情:顔をしかめる
- 声を上げる:うめき声/わめき声
- しぐさ:落ち着かない/体の一部をかばう
- 行動:急に動かなくなる/今までしていたことをしなくなる

「イスに座れって本を読んでいたが、急にできなくなった」など、行動の変化もアセスメントするポイントです。
痛みの評価
痛みの評価で重要なのが、評価スケールです。
また、スケールでは確認できない場合は、ボディマップの使用も有効でしょう。
- 評価スケール
- ボディマップ
詳しく見ていきます。
評価スケール
よくある痛みの評価スケールは下記です。
- 言語描写尺度(VDS)
- 数字評価尺度(NRS)
- フェイススケール
- 視覚アナログ尺度(VAS)
病院でよく使われるのは、数字評価尺度(NRS)です。
しかし、認知症高齢者に対しては、適応範囲の広い言語描写尺度(VDS)が使いやすいでしょう。
言語描写尺度(VDS)は、MMSE(※)で、10点以下の方でも、60%が回答可能とされています。
そのほかのスケールの場合は、20%程度とされており言語描写尺度(VDS)が、認知症高齢者の痛みの評価に有用なのが分かります。
MMSEは、認知症を評価するスケールです。
質問に対する回答により、10〜15分ほどで認知症の評価を行います。
| 軽度 | 21点以上 |
| 中等度 | 11〜20点 |
| 重度 | 10点以下 |
なお、言語描写尺度(VDS)は、下記の7段階で痛みを評価します。
- 痛みなし
- かすかな痛み
- 軽い痛み
- 中くらいの痛み
- 強い痛み
- 非常に強い痛み
- 想像できる最も強い痛み

この言葉通りでなくて良いので、相手にわかるように伝えて、どれくらい痛いのかを確認しましょう。
ボディマップ
認知症の方は痛みの場所をうまく、伝えられない場合があります。
そのケースでは、下記のようなボディマップで「痛いところを指さしてください」と、痛みの場所を聞くのも良いでしょう。
痛みのケア
痛みのケアは大きく分けて、「薬物療法」と「非薬物療法」に分かれます。
どちらも重要ですが、特に看護師の腕が試されるのが「非薬物療法」です。
- 薬物療法
- 非薬物療法
それぞれ見ていきましょう。
薬物療法
認知症の人の痛みのケアでは、痛みを早期発見し、状況に応じて鎮痛薬を使用します。
よく第一選択に用いられるのが、アセトアミノフェンです。
また、NSAID(ロキソニンや、ジクロフェナクなど)を使っている場合は、副作用の消化器症状に注意しましょう。
腹痛、食指不振、嘔吐などがある場合は、痛み止めの種類の変更を、医師へ提案するのも良いでしょう。
なお、薬物療法の目標は、痛みの消失ではありません。

あくまでも、完全に痛みを消失させるのは難しいため、痛みをコントロールして、ADLやQOLの低下を防ぐことが目標となるのを理解しておきましょう。
非薬物療法
非薬物療法では、痛みから気をそらすことが重要です。
具体的な方法の例は下記です。
- タッチングを活用する
- 傾聴により良好な関係を築く
- 痛みの原因を取り除く
- やりたいことを探せるよう支援する
- 音楽を聴く/マッサージをする
- 家族と過ごす時間を作る
- 痛みのことばかり話題にしない
痛みがあると、看護師も痛みについて確認したくなります。
しかし、痛み以外のことを話題にし、痛みばかりに集中しないよう関わるのも大切です。

適度な運動や、活動ができるよう支援して、安静にしすぎないことも重要ですよ。
高齢者は言わないだけで痛みを抱えている
本日は、認知症高齢者の痛みについて下記を解説しました。
- 高齢者は言わないだけで痛みを抱えている
- アルツハイマー認知症は痛みに強くなるが本当は痛い
- スケールなどを用いてしっかり痛みを評価する
- 薬物療法・非薬物療法で痛みをコントロールする
非薬物療法が看護師の腕の見せどころです。

特に、訪問看護師の場合は、訪問時や、コミュニケーションをとっているときは痛みを忘れられるような関わりをしましょう。




















相手の主観であり、観察が難しいのが「痛み」です。
本記事は、訪問看護の場面を中心に、「認知症高齢者の痛み」について解説します。
本記事は、痛みの対応への苦手意識を改善するきっかけになります。
ぜひ最後までご覧ください。