
目次
筋肉のエネルギー源はどのように変化するのか
まず筋肉のエネルギー源についてです。
安静にしている時も、私たちの身体はエネルギーを必要としています。
安静時の主なエネルギー源は、脂肪組織から放出される遊離脂肪酸(FFA)です。
このFFAは、脂肪組織から血液中に放出されて、エネルギー源として利用される脂肪分です。
つまり、安静時はこのFFAが主なエネルギー源になります。
では、運動時はどうなるのでしょうか。
運動を始めると、筋肉は安静時の数十倍ものエネルギーを必要とします。
座っている時と走っている時を比べると、明らかに走っている時の方がエネルギーが必要ですよね。
その数十倍必要なエネルギー源が、糖(ブドウ糖)です。
運動時には、
- 筋肉内に蓄えられているグリコーゲンが分解されてブドウ糖として使われる
- 血液中のブドウ糖が利用される
- さらに運動が続くと、肝臓で糖を分解して供給する
という流れになります。
つまり、運動すれば糖が利用されるので、結果として血糖値が下がるということです。
運動時のブドウ糖取り込みのメカニズム
次に運動時のブドウ糖の取り込みについてです。
ここで重要なのが、GLUT4(グルコーストランスポーター4)です。
GLUT4は筋肉内に存在するタンパク質で、血液中のグルコース、つまりブドウ糖を細胞内に取り込む働きをしています。
通常、このGLUT4を活性化させるにはインスリンが必要です。
しかし、運動中は違います。
運動によって筋肉が刺激されることで、インスリンの刺激を受けなくてもGLUT4が活性化されます。
つまり、インスリン分泌が低下している状況でも、運動時には筋肉にブドウ糖を取り込むことができるのです。
これが、「運動すると血糖が下がりますよ」と指導する理由です。
インスリン抵抗性と運動の関係
糖尿病の方の多くは、インスリン抵抗性の状態にあります。
つまり、
- インスリンの分泌が低下している
- インスリンの効きが悪い(インスリン抵抗性)
という状態です。
通常であれば、食後に血糖値が上がるとインスリンが分泌され、約2時間後には血糖値は下がってきます。
しかし糖尿病では、血糖値が下がりにくい状態になります。
そこで運動を行うことで、インスリンを利用せずに糖を取り込むことができます。
さらに、インスリンを“節約”することができるため、継続することでインスリンが効きやすい体づくりにつながると考えられています。
また、運動を続けることで筋肉量を保つことができ、基礎代謝の維持にもつながります。
運動療法の目的
運動療法の目的は大きく3つあります。
- 血糖値の改善
- インスリン感受性の向上
- 体力と基礎代謝の維持
運動によって糖を消費し、血糖値を改善する。
そして、継続することでインスリンが効きやすい状態をつくる。
さらに、筋肉量を維持することでエネルギー消費量を保つ。
これが運動療法の目的です。
実践方法:日常生活活動を運動にする
とはいえ、運動習慣がない方に「週150分の中等度運動をしましょう」と伝えても、なかなか行動には移せません。
そこで重要なのが、日常生活活動を増やすことです。
例えば、
- エレベーターを使わず階段を使う
- 家の掃除や庭仕事を積極的に行う
- 買い物に歩いて行く
- 短い距離は車を使わず歩く
- デスクワーク中に姿勢を正す
こうした日常の動きも運動になります。
ジムに行かなくてもいい。特別なことをしなくてもいい。
まずは日常生活の中で身体活動量を増やすことから始める。
これが運動習慣の第一歩になります。
まとめ
- 安静時の主なエネルギー源は 遊離脂肪酸(FFA) である
- 運動時には 糖(ブドウ糖) の利用が数十倍に促進される
- GLUT4 は運動によって活性化し、インスリンを使わずにブドウ糖を取り込むことができる
- 継続的な運動はインスリンを“節約”し、効きやすい体づくりにつながる
- 特別な運動ではなく、日常生活の中で身体活動量を増やすことが第一歩となる
まずは、日常生活の中で身体を動かすことを意識することから始めてみてください。
日々の小さな積み重ねが、大きな健康につながります。

最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の内容は動画でも解説しています。
図を用いながら、筋肉のエネルギー代謝やGLUT4の働きについて詳しく説明していますので、理解を深めたい方はぜひご覧ください。
それではまた次回お会いしましょう。




















皆さんこんにちは。
看護師の藤井美幸です。
本日は、「今日から今すぐできる生活活動が運動になる方法」についてお話しします。
生活活動が運動になるなんて、そんなことあるの?と思った方、いらっしゃいませんか?
なぜ日々の生活活動を運動にすることができるのか。
その方法と効果について、分かりやすく解説していきます。
運動療法が苦手、運動習慣がないという方にとって、「これならできるかも」と思える内容になっています。
それでは始めていきます。