- 医療連携加算について
- 加算の対象となる障害福祉サービス
- 訪問看護ステーションの障害福祉サービスへの介入のポイント
認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)への訪問看護の介入に関する記事はこちらです。
目次
医療連携体制加算と訪問看護ステーション
医療連携体制加算は、医療機関等と介護福祉事業所の連携により医療機関等から看護職員が訪問し、利用者に看護を提供した場合や、認定特定行為業務従事者に対し喀痰吸引等に係る指導を行った場合に算定することができる加算です。
つまり、訪問看護ステーションから看護職員が算定要件の事業所に訪問する場合にも算定することができます。
訪問看護ステーションと障害福祉サービスの連携で算定
訪問看護ステーションから算定要件の事業所に看護職員が訪問した場合に医療連携体制加算が算定されます。
まずは連携型の看護職員に関わる障害福祉事業所を確認していきましょう。
訪問看護の介入で医療連携体制加算の対象となるサービス
障害福祉サービスの中で医療連携体制加算の対象となるのは以下のサービスです。
- 短期入所(福祉型)
- 重度障害者包括支援
- 自立訓練(生活訓練)
- 就労移行支援
- 就労継続支援(A型、B型)
- 共同生活援助
- 児童発達支援(重心以外)
- 放課後等デイサービス(重心以外)
短期入所(ショートステイ)
居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設、児童福祉施設等への短期間の入所を必要とする障害者等につき、当該施設に短期間の入所をさせて、入浴、排せつ及び食事の介護その他の必要な支援を行います。
通常は看護師配置がない福祉型短期入所でも、高度な医療的ケアを必要とする者の受入れが可能となるよう、新単価(8時間以上2000単位)が今回の改定で創設されました。
重度障害者等包括支援
常時介護を要する障害者等であって、意思疎通を図ることに著しい支障があるもののうち、四肢の麻痺及び寝たきりの状態にあるもの並びに知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有するものにつき、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助及び共同生活援助を包括的に提供します。
自立訓練(生活訓練)・就労継続支援
障害者につき、障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所に通わせて当該障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所において、又は当該障害者の居宅を訪問して、入浴、排せつ及び食事等に関する自立した日常生活を営むために必要な訓練、生活等に関する相談及び助言その他の必要な支援を行います。
就労移行支援
就労を希望する障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれるものにつき、生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために必要な相談その他の必要な支援を行います。
就労継続支援A型
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち適切な支援により雇用契約等に基づき就労する者につき、生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。
就労継続支援B型
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち通常の事業所に雇用されていた障害者であってその年齢、心身の状態その他の事情により引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。
共同生活援助
障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において行われる相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の必要な日常生活上の援助を行います。
児童発達支援、放課後等デイサービス
学校教育法規定している学校(幼稚園及び大学を除く)に就学しており、授業の終了後又は休業日に支援が必要と認められた障害児が生活能力向上のために必要な訓練、社会との交流の促進など必要な支援を提供する施設。
放課後等デイサービスへの訪問看護についての詳しい記事はこちら
以上の障害福祉サービスが加算の対象になります。
訪問看護ステーションの報酬について
訪問看護ステーションが直接医療連携体制加算を算定するのではなく、障害福祉事業所から委託を受け、契約しを結びます。
- 訪問看護ステーションと障害福祉サービスの委託契約
- 医師の指示により看護職員が看護サービスを提供
- 障害福祉事業所が医療連携体制加算を算定
- 訪問看護ステーションは障害福祉事業所との契約に従い報酬を受け取る
このような流れで、訪問看護ステーション側には報酬が発生します。
医療連携体制加算の内容(令和3年度報酬改定)
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定により以下のように加算の見直しが行われました。
医療・看護について、医療的ケアを要するなどの看護職員の手間の違いに応じて評価を行うようになり、医師からの指示は原則、日頃から利用者を診察している主治医から個別に受けるものとすることが明確化されました。
- 医療・看護について、医療的ケアを要するなどの看護職員の手間の違いに応じて評価を行う。
- 医師からの指示は、原則、日頃から利用者を診察している主治医から個別に受けるものとすることを明確化する。
- 福祉型短期入所について、特に高度な医療的ケアを長時間必要とする場合の評価を設ける。
- 共同生活援助における看護師の確保に係る医療連携体制加算について、看護師1人につき算定できる利用者数の上限(20名まで)を設ける。
参考・引用)令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容
上記の図のように医療連携体制加算はⅠ~Ⅶまでの項目に分かれており、サービスごとに算定される単位や要件が異なります。
非医療的ケアでない方への介入(Ⅰ~Ⅲ)と、医療的ケアの必要である方(Ⅳ~Ⅵ)に対しての介入についての明確な区別がついたことが今回の改定の大きなポイントとなっています。
医療的ケアと非医療的ケアの解釈
厚生労働大臣が定義する医療的ケアとは以下のものとなります。
- 気管切開の管理
- 鼻咽頭エアウェイの管理
- 酸素療法
- ネブライザーの管理
- 経管栄養
- 中心静脈カテーテルの管理
- 皮下注射
- 血糖測定
- 継続的な透析
- 導尿
- 排便管理 (消化管ストーマの管理又は摘便、洗腸若しくは浣腸)
- 痙攣時における座薬挿入、吸引、酸素投与または迷走神経刺激装置の作動等の処置
上記の項目以外の処置が基本的に「非医療的ケア」と定義されます。
医療連携体制加算の算定のポイント
障害福祉サービスに訪問看護ステーションから訪問するときには以下の点に注意しましょう。
①事前に加算の届出をすること
障害福祉サービス事業所が事前に医療連携体制加算の届け出をしていることが必要です。
②事業所と医療機関等との委託契約締結
③医師から看護職員が看護の提供に関する指示を受けている
④医療機関等から利用者の情報提供を行う
事業所は同意を得たうえで保護者や主治医から利用者に関する情報を入手し、連携する医療機関等に提供します。
⑤医療的ケアが必要ない場合の滞在時間
医療的ケアを必要としない利用者の場合は、利用者それぞれについて、直接に看護を提供した時間となります。
⑥運営規定や重要事項説明書への記載
委託契約先の施設・事業所等で業務している時間を除くと、訪問看護ステーションの常勤換算数が2.5人を下回る場合は、委託契約を受けることができませんので注意しましょう。
医療連携体制加算のまとめ
訪問看護ステーションの介入により、福祉事業者側が受け入れられる利用者さんの幅が広がったり、安心して日々の運営が行える事業所も増えると考えられます。
このように、医師の指示のもと訪問看護ステーション等から看護師が障害福祉事業所を訪れ、看護行為を行うことで、事業所側が医療連携体制加算加算を算定できます。
管轄の都道府県や市等の自治体によっては解釈が異なる場合も多くありますので、実際に適用される際には事前に管轄の自治体に確認して下さい。