訪問看護を行っていると、「この施設への訪問看護は可能?不可能?」と悩むことはないでしょうか?
例えば、下記のような内容です。
- この施設は可能?あの施設は不可能?
- 医療保険なら可能?
- 介護保険なら可能?
- 〇〇の条件なら可能? など…。
自宅以外の場所でも訪問看護を提供することができる場所がありますので、しっかりと覚えていきましょう!
では早速、学んでいきましょう!
目次
訪問看護における施設への訪問の可否
一つずつ解説をしていきます。
介護老人保健施設への訪問看護
介護老人保健施設への訪問看護を提供することはできますか?
訪問看護を提供することはできません。
介護医療院への訪問看護
介護医療院への訪問看護を提供することはできますか?
訪問看護を提供することはできません。
特別養護老人ホームへの訪問看護
特別養護老人ホーム入所者へ訪問看護を提供することはできますか?
『末期がん』の方に限り、医療保険での訪問看護の利用が可能です。
当該利用者にサービス提供前30日以内に利用者宅を訪問し、訪問看護療養費を算定した訪問看護ステーションの看護師等が指定訪問看護を実施した場合に限り訪問看護基本療養費を算定できます。
グループホームへの訪問看護
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)入所者へ訪問看護を提供することはできますか?
介護保険での訪問看護は認められていません。
ただし、下記の場合は医療保険で提供が可能です。
- 「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する利用者
- 急性増悪等により頻回の訪問看護が必要と主治医が認め、特別訪問看護指示書が交付された場合
また、グループホームと訪問看護ステーションの契約による訪問看護は可能です。
「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する利用者
「厚生労働大臣が定める疾病等※」に該当する場合疾患名が明記されている訪問看護指示書の交付が必要です。
①末期の悪性腫瘍、②多発性硬化症、③重症筋無力症、④スモン、⑤筋萎縮性側索硬化症、⑥脊髄小脳変性症、⑦ハンチントン病、⑧進行性筋ジストロフィー症、⑨パーキンソン病関連疾患、⑩多系統萎縮症、⑪プリオン病、⑫亜急性硬化性全脳炎、⑬ライソゾーム病、⑭副腎白質ジストロフィー、⑮脊髄性筋萎縮症、⑯球脊髄性筋萎縮症、⑰慢性炎症性脱髄性多発神経炎、⑱後天性免疫不全症候群、⑲頚髄損傷、⑳人工呼吸器を装着している状態
特別訪問看護指示書の交付があった場合
急性増悪等の理由により、主治医から特別訪問看護指示書の交付を受けた場合は、訪問看護ステーションからの医療保険での訪問が可能です。
グループホームと訪問看護ステーションとの契約
グループホームは、訪問看護ステーションとの契約により訪問看護が利用可能です。
グループホームには「医療連携体制加算」が支払われ、訪問看護ステーションへは契約により「グループホームから費用」が支払われます。
小規模多機能型居宅介護への訪問看護
小規模多機能型居宅介護を受けている利用者が自宅にいる時に、訪問看護を提供することは可能ですか?
自宅にいる時であれば、介護保険でも医療保険でも提供することが可能です。
小規模多機能型居宅介護を受けている利用者が宿泊のサービスを受けている時に、訪問看護を提供することは可能ですか?
介護保険での訪問看護は提供することができません。ただし、事業所との契約により訪問することはできます。
ただし、下記の場合は医療保険で提供が可能です。
- 「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する利用者
- 急性増悪等により頻回の訪問看護が必要と主治医が認め、特別訪問看護指示書が交付された場合
ショートステイ中の訪問看護
ショートステイ中に訪問看護を提供することはできますか?
介護保険での訪問看護は認められていません。
ただし、がん末期の場合は医療保険で提供が可能です。
ショートステイに入所しているがん末期の利用者に、当該利用者にサービス提供前30日以内に利用者宅を訪問し、訪問看護療養費を算定した訪問看護ステーションの看護師等が指定訪問看護を実施した場合に限り訪問看護基本療養費を算定できます。
特定施設への訪問看護
特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設への訪問看護は可能ですか?
- 有料老人ホーム
- ケアハウス
- サービス付高齢者向け住宅
介護保険での訪問看護は認められていません。しかし、訪問看護ステーションが特定施設と委託契約を結び、事業者が訪問看護が必要と認めた場合は事業者の負担で訪問できます。
ただし、下記の場合は医療保険で提供が可能です。
- 「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する利用者
- 急性増悪等により頻回の訪問看護が必要と主治医が認め、特別訪問看護指示書が交付された場合
- 精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)および(Ⅲ)
特定施設以外への訪問看護
特定施設入居者生活介護の指定を受けていない施設での訪問看護は可能ですか?
- ケアハウス
- 有料老人ホーム
- サービス付高齢者向け住宅等
このような施設は居宅扱いになるので、介護保険、医療保険どちらでも訪問可能です。