訪問看護で駐車場がない時の対処法|駐車許可証も解説

訪問先の利用者さん宅に駐車場がなく、車をどこに停めればよいか困った経験がある訪問看護師の方は多いのではないでしょうか。

実は、訪問診療や訪問看護等に使用する車両については、警察署長の許可を受けて駐車禁止場所に駐車できる「駐車許可証」の制度が用意されています。この制度は令和7年に運用が全国的に統一され、以前よりも申請しやすくなりました。「以前申請したときは書類が煩雑だった」という印象をお持ちの方も、最新のルールを知っておくと対応がしやすくなります。この記事では、駐車場がない場合の対処法と、最新の駐車許可制度の内容を解説します。

この記事でわかること
  • 訪問先に駐車場がない場合の基本的な対処法
  • 駐車許可証制度の最新の内容(令和7年の運用統一)
  • 駐車許可の対象となる車両・業務
  • 申請の簡素化ポイントと緊急訪問時の扱い
  • 駐車料金の利用者負担に関する考え方

訪問看護で駐車場がない…まず確認したい選択肢

訪問先に駐車場がない場合、主に次のような選択肢が考えられます。

  • 近隣のコインパーキングなど、有料の駐車スペースを利用する
  • 警察署長の駐車許可を受け、駐車禁止場所に駐車する
  • 緊急対応時は、駐車規制からの除外措置の対象にならないか確認する
  • 自転車・バイクなど、駐車の必要がない移動手段に切り替える

このうち、多くの訪問看護ステーションにとって実務的に重要なのが「駐車許可証」の制度です。次の章から、最新の運用内容を詳しく見ていきましょう。

看護師 上妻
看護師 上妻

「毎回コインパーキングを探すのが大変」という声をよく聞きますが、駐車許可証を取得しておけば、対応がぐっと楽になります。

駐車許可証制度の内容|令和7年に全国統一された最新ルール

警察庁は令和7年3月31日付けで「駐車許可の運用の見直しにおける留意点について(通達)」(警察庁丁規発第54号)を発出し、訪問診療・訪問看護・訪問介護等に使用する車両の駐車許可について、全国的に運用を統一しました。これにより、従来の令和6年3月22日付け通達(警察庁丁規発第37号)は廃止され、新しいルールに一本化されています。

対象となる車両・業務

駐車許可の対象となる車両は、次のとおりです。

  • 医師、歯科医師、助産師、看護師等の医療関係従事者が訪問診療等のために使用する車両
  • 訪問介護、訪問入浴介護、居宅療養管理指導、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等のサービス提供のために使用する車両

駐車可能な場所の判断基準が「概ね100メートル以内」に統一

駐車許可の審査では、「駐車可能な場所(路外駐車場・路上駐車場・駐車禁止でない道路部分)が周辺にあるかどうか」が判断材料の一つになります。今回の見直しにより、この確認範囲が「用務先からおおむね100メートル以内」に全国的に統一されました(重量物の積み下ろしや身体障害等により移動が困難な方の輸送で、用務先の直近に駐車する必要がある場合は、その直近が基準になります)。

申請書類の簡素化ポイント

今回の見直しでは、申請者の負担軽減を目的に、次のような簡素化が図られています。

項目簡素化の内容
駐車場所の特定特定の一地点でしか許可できない場合を除き、「訪問先付近」として許可される
周辺見取図必要以上に詳細な記入は不要。既存の地図で位置を示す書面で足りる
用務を疎明する書面訪問計画書や契約書など、既存の書面で対応可能
医師の指示書等個人情報保護の観点から、提出を求めないこととされている
複数の訪問先1枚の図にまとめて記載することが可能
複数警察署にまたがる場合可能な限り、一つの警察署で一括して申請を受理

許可証の有効期間は原則1年以上に統一

反復継続的な用務に使用する車両については、道路環境の変化が予想される場合や用務が短期間である場合等の例外を除き、許可証の有効期間は原則として1年以上とすることが全国的なルールとして定められました。毎年何度も更新申請をしなくて済むよう配慮されています。ただし、許可対象の道路の車線数が減少するなど、道路環境の変化が合理的に予想される場合や、用務そのものが短期間である場合は例外的に短い有効期間が設定されることもあります。

注意

駐車許可は、各都道府県公安委員会が定める規則等に基づき、個々の現場の実情を踏まえて運用されるものです。今回の通達で運用の統一が図られたとはいえ、必ずしもすべての申請が許可されるとは限りません。詳細は駐車する場所を管轄する警察署の交通課にご確認ください。

駐車許可証を取得したあとに知っておきたいこと

無事に駐車許可証の交付を受けたあとも、いくつか押さえておきたい運用上のポイントがあります。

許可証の掲出義務

交付された許可証は、その許可証を使用して車両を駐車している間、見やすい箇所に掲出しておく必要があります。ダッシュボードの上など、外から確認しやすい場所に置いておきましょう。訪問先が複数あり許可場所が別紙になっている場合は、その別紙もあわせて掲出しておく必要があります。

再交付・記載事項の変更手続き

許可証を紛失した場合は再交付を申請できます。今回の見直しにより、再交付申請の際には書類の添付を求めないことも明確化されました。また、事業所の住所変更など許可証の記載事項に変更が生じた場合は、変更を証する書面を添えて届け出る必要があります。

許可証が不要になったときの取り扱い

許可期間の満了や取消しなどにより許可証が不要になった場合は、許可証を廃棄することとされています。廃棄が難しい場合は、管轄を問わずいずれかの警察署に持参すれば、受け取ってもらえる運用になっています。

注意

許可証は、駐停車禁止場所や無余地駐車となる場所では効力を持ちません。また、許可された内容と異なる使い方(許可証の不正使用等)は厳正に対処される対象となるため、許可条件を必ず守って利用しましょう。

緊急訪問時の駐車についての考え方

訪問看護では、あらかじめ許可を受けた日時とは異なる時間帯に、緊急で訪問しなければならない場面もあります。今回の見直しでは、こうした状況にも配慮した対応が示されています。

  • 用務の性格上、正確な駐車日時を特定することが困難な場合があることを踏まえ、「事業所の業務時間内」に加えて「緊急訪問時」を含めた許可が可能とされている
  • 医師の指示を受けた看護師等が、患者さん宅等へ緊急訪問するために使用する車両は、駐車許可とは別に「駐車規制からの除外措置」の対象にもなり得ることが明確化されている
  • 警察署では、宿直執務室に駐車許可対象一覧を備え付けるなど、夜間・緊急時にも迅速に対応できる体制の整備が求められている
看護師 上妻
看護師 上妻

オンコール対応で急に訪問することになったとき、駐車の心配をせずに動けるのは本当に助かります。事業所として事前に申請しておくことをおすすめします。

駐車料金は利用者さんに請求できる?

訪問先の駐車にコインパーキング等の料金がかかった場合、その費用を利用者さんに請求できるかどうかも気になるところです。介護保険の運用上、駐車料金は交通費の一部として扱われ、事業所が定める通常の事業の実施地域内でのサービス提供にかかる交通費は、原則として介護報酬に包括されるという整理が一般的とされています。そのため、通常の実施地域内での駐車料金を、利用者さんから別途徴収することは基本的にできないと考えられています。

一方、通常の事業の実施地域を越えてサービスを提供する場合は、移動に係る費用を評価した加算を算定するか、交通費を徴収するかを選択できる取り扱いとされていることがあります。実際の取り扱いは保険者や事業所の運営規程によって異なる場合があるため、判断に迷う場合は、所轄の都道府県・市町村や国民健康保険団体連合会に確認することをおすすめします。運営規程や重要事項説明書に交通費の取り扱いを明記しておくと、利用者さんとの認識のずれを防ぎやすくなります。

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まとめ|駐車許可証を活用し、安心して訪問できる体制を

訪問先に駐車場がない場合でも、駐車許可証の制度を正しく理解し、事前に申請しておくことで、日々の訪問業務をスムーズに進めることができます。令和7年の運用統一により、申請書類の簡素化や有効期間の長期化など、以前よりも利用しやすい制度になっています。

この記事のまとめ
  • 訪問診療・訪問看護等に使用する車両は、警察署長の駐車許可を受けられる制度がある
  • 令和7年3月31日付けの警察庁通達により、運用が全国的に統一された
  • 駐車可能な場所の判断基準は「用務先からおおむね100メートル以内」に統一
  • 反復継続的な用務の許可証の有効期間は、原則として1年以上に統一
  • 緊急訪問時への配慮も明確化されており、オンコール対応でも活用しやすい

まだ駐車許可証を取得していない場合は、管轄の警察署に相談することから始めてみましょう。制度を正しく理解し、日々の訪問業務に安心して臨める環境を整えることが、結果的にケアの質の向上にもつながります。

よくある質問

駐車許可証はどこで申請すればよいですか?

駐車しようとする場所を管轄する警察署の交通課に申請します。申請する場所が複数の警察署の管轄にまたがる場合は、可能な限り一つの警察署で一括して受理する運用が求められています。詳細は管轄の警察署にお問い合わせください。

駐車許可を申請すれば必ず許可されますか?

必ず許可されるとは限りません。駐車許可は、駐車が交通に与える危険性や、周辺の駐車可能な場所の有無など、個別具体的な事情を踏まえて審査されます。交通量の多い道路や通学路など、状況によっては許可されない場合もあります。

訪問看護以外の職種でも駐車許可の対象になりますか?

はい。医師・歯科医師・助産師・看護師等の医療関係従事者に加え、訪問介護、訪問入浴介護、居宅療養管理指導、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等のサービス提供に使用する車両も対象に含まれています。

コインパーキングを使った場合の駐車料金は経費にできますか?

事業所が利用者さんから直接徴収できるかどうかとは別に、事業所側の経費として計上できるかどうかは会計上の取り扱いの問題になります。詳しくは顧問税理士等にご確認ください。なお、利用者さんへの請求可否については、通常の事業の実施地域内かどうかによって扱いが異なる場合があるため、保険者への確認をおすすめします。

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