訪問看護は入院日・退院日に入れる?介護保険と医療保険の算定ルール

「利用者さんが今日退院するけれど、退院当日に訪問看護を入れてもいいのか」「ショートステイの退所日は算定できるのか」——入退院・入退所のタイミングは、訪問看護ステーションのスケジュール調整でも算定でも、最も判断に迷う場面のひとつです。

結論から言うと、入院日・入所日と、退院日・退所日では算定の考え方がまったく異なり、さらに介護保険と医療保険でもルールが変わります。この記事では、入院日・退院日、ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)の入退所日について、介護保険・医療保険それぞれの算定ルールと例外条件を整理し、一覧表でいつでも確認できる形にまとめました。

この記事でわかること
  • 入院日・入所日と、退院日・退所日で算定ルールが変わる仕組み
  • 介護保険・医療保険それぞれの入退院時の訪問看護の可否
  • 「退院支援指導加算」が算定できる3つのケース
  • 短期入所生活介護と短期入所療養介護で異なる退所日の扱い
  • 訪問後に緊急入院となった場合の算定の考え方

訪問看護は入院日・退院日に入れる?介護保険と医療保険で結論が異なる

入退院・入退所のタイミングで訪問看護を算定できるかどうかは、「入る日か、出る日か」と「介護保険か、医療保険か」の2つの軸で判断します。おおまかな傾向として、入院・入所する日は訪問看護を提供しやすく、退院・退所する日は原則として算定できないというのが基本形です。ただし、この基本形には複数の例外があり、特に医療保険では「退院支援指導加算」という別建ての加算で対応する仕組みになっているため、単純に「入れる・入れない」で覚えると実務でつまずきます。

POINT

入院・入所日は「その日の途中まで在宅にいた」とみなせるため訪問看護を提供しやすく、退院・退所日は「病院・施設からその日に戻ってくる」段階のため、原則として訪問看護費本体は算定できません。まずこの大枠を押さえておくと、各保険の例外条件が理解しやすくなります。

介護保険の訪問看護|入院日・入所日は算定可能、退院日・退所日は原則不可

介護保険の訪問看護の場合、ルールは比較的シンプルです。

  • 入院日・入所日:訪問看護費を算定できる
  • 退院日・退所日:原則として訪問看護費を算定できない

ただし、退院日・退所日であっても、利用者が特別管理加算の対象者である場合、または主治医がその日の訪問看護が必要と判断した場合は、例外的に算定できます。特別管理加算は、気管カニューレ・留置カテーテル・在宅酸素療法など、医療的なケアが常時必要な状態の利用者に算定される加算で、こうした利用者は退院・退所直後の状態変化に対応する必要性が高いため、例外が設けられていると理解しておくとよいでしょう。

看護師 上妻
看護師 上妻

介護保険は「入りやすく、出にくい」というイメージで覚えると混乱しにくいですよ。退院・退所日に訪問したい場合は、特別管理加算の対象かどうかをまず確認し、対象でなければ主治医に「その日の訪問看護が必要」という判断をもらえるか相談する、という順番で動くとスムーズです。

医療保険の訪問看護|入院日は原則不可、退院日は「退院支援指導加算」で対応

医療保険の訪問看護は、介護保険よりもルールが複雑です。まず大原則として、入院中の患者に対しては訪問看護費(訪問看護基本療養費・訪問看護管理療養費)を算定できません。退院日もまだ「入院している日」の扱いになるため、この基本療養費・管理療養費は退院日当日には算定できず、算定できるのは退院翌日以降の初回訪問からになります。

注意

「退院日には訪問看護がまったく入れられない」というわけではありません。退院日当日に在宅療養上の指導を行った場合、後述する「退院支援指導加算」を算定できる仕組みになっています。基本療養費本体と、退院支援指導加算は別物として整理しておきましょう。

また、訪問看護を提供したあとに利用者が計画外に体調悪化などで緊急入院となった場合、その訪問自体は入院前の訪問として通常どおり算定できます。これは「入院日に訪問した」のではなく「訪問した後に入院が決まった」という順序の違いによるものです。

退院支援指導加算が算定できる3つのケース

退院支援指導加算は、保険医療機関を退院する利用者に対し、退院日当日に訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)が在宅療養上必要な指導を行った場合に、退院翌日以降の初回訪問看護の際に1回に限り算定できる加算です。対象になるのは、次の3つのいずれかに該当する利用者です。

区分対象
別表第7厚生労働大臣が定める疾病等(末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、人工呼吸器を装着している状態など)に該当する者
別表第8厚生労働大臣が定める状態等(在宅酸素療法指導管理、気管カニューレ使用、留置カテーテル使用、人工肛門・人工膀胱の設置など特別な管理が必要な状態)に該当する者
その他退院日の訪問看護が必要であると医療機関の医師等が認めた者

別表第7・別表第8の詳しい対象疾病・状態の一覧、および急性増悪時に交付される特別訪問看護指示書との関係は、下記の記事でさらに詳しく解説しています。

ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)の入退所日はどうなる?

ショートステイには「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類があり、入退所日の訪問看護の扱いも、この2種類・介護保険と医療保険の組み合わせで細かく分かれます

医療保険の場合|入所日・退所日とも算定不可

医療保険の訪問看護は、短期入所生活介護・短期入所療養介護のいずれについても、入所日・退所日ともに訪問看護費を算定することができません。ショートステイ利用中の医療保険の訪問看護自体が、末期がん等の限られた例外を除き認められていないため、入退所日も同様の考え方になります。

介護保険の場合|生活介護と療養介護で扱いが異なる

介護保険では、短期入所生活介護と短期入所療養介護で退所日の扱いが異なります。

  • 短期入所生活介護:入所日・退所日とも訪問看護費を算定できる
  • 短期入所療養介護:入所日は算定できるが、退所日は特別管理加算を算定している利用者、または医師が必要と判断した利用者に限り算定できる

訪問後に緊急入院・入所になった場合の扱い

「訪問看護を提供した直後に、利用者の状態が悪化して緊急入院・入所になった」というケースは現場でよく起こります。この場合、訪問した時点ではまだ入院・入所していないため、その訪問自体は通常どおり算定できます。算定できないのはあくまで「入院・入所している間」の訪問であり、訪問後に結果として入院・入所が決まった場合まで遡って算定不可になるわけではありません。

一方で、外泊時の訪問看護のように、入院中でも特別に訪問が認められる別のケースもあります。入院・外泊時の訪問看護の可否について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

【一覧表】入院日・退院日・ショートステイ入退所日の訪問看護 早わかり表

ここまでの内容を、一覧表で整理しました。実務で確認する際は、まずこの表で当たりをつけてから、該当する見出しの詳細条件を確認する使い方がおすすめです。

場面介護保険医療保険
入院日算定可能算定不可(訪問後に緊急入院となった場合の訪問自体は算定可)
入所日算定可能算定不可
退院日原則不可(特別管理加算対象者・主治医が必要と認めた場合は可)基本療養費は不可(退院支援指導加算は3条件のいずれかに該当すれば可)
退所日原則不可(特別管理加算対象者・主治医が必要と認めた場合は可)不可
短期入所生活介護(入所日)算定可能算定不可
短期入所生活介護(退所日)算定可能算定不可
短期入所療養介護(入所日)算定可能算定不可
短期入所療養介護(退所日)特別管理加算対象者・医師が必要と判断した場合のみ可算定不可

訪問看護ステーションが実務で気をつけたいポイント

看護師 上妻
看護師 上妻

退院・退所の連絡は当日や前日にバタバタと入ることが多いので、①退院日か退所日か、②特別管理加算の対象かどうか、③別表第7・別表第8に該当するか、④主治医の判断がもらえそうか、の4点を確認する流れをスタッフ全員で共有しておくと、算定漏れも算定ミスも防ぎやすくなりますよ。

  • 退院・退所日の依頼を受けたら、まず利用者が特別管理加算の対象かどうかをカルテ・ケアプランで確認する
  • 医療保険の場合は、別表第7・別表第8への該当有無を訪問看護指示書の記載で確認する
  • 該当しない場合は、退院日の訪問看護の必要性について主治医・医療機関に早めに相談する
  • 退院支援指導加算は1回のみの算定である点を、記録・レセプトの両方で確認する
  • 短期入所生活介護と短期入所療養介護は名称が似ているため、契約書・利用票でどちらのサービスかを必ず確認する
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入退院・入退所の判断とあわせて、施設全体への訪問看護の可否も整理しておくと、依頼を受けたときの判断がさらにスムーズになります。

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まとめ|入退院・入退所日の訪問看護は「保険の種類」と「例外条件」で判断する

入院日・入所日は訪問看護を提供しやすく、退院日・退所日は原則不可というのが基本形ですが、介護保険では特別管理加算や主治医の判断、医療保険では退院支援指導加算という形で、それぞれに例外の道が用意されています。ショートステイについても、短期入所生活介護と短期入所療養介護で扱いが異なる点を取り違えないようにしましょう。

よくある質問(FAQ)

介護保険の訪問看護は入院日に算定できますか?

算定できます。介護保険の訪問看護は入院日・入所日であれば通常どおり訪問看護費を算定できます。算定が原則できなくなるのは退院日・退所日です。

医療保険の訪問看護は退院日に算定できますか?

退院日当日は、訪問看護基本療養費・訪問看護管理療養費は算定できません。ただし、退院日当日に在宅療養上の指導を行った場合は、退院支援指導加算を退院翌日以降の初回訪問の際に1回に限り算定できます。

退院支援指導加算とはどんな加算ですか?

保険医療機関を退院する利用者に対し、退院日当日に看護師等(准看護師を除く)が在宅療養上必要な指導を行った場合に算定できる加算です。対象は、厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)、厚生労働大臣が定める状態等(別表第8)、または退院日の訪問看護が必要と医療機関の医師等が認めた者のいずれかに該当する利用者です。

短期入所生活介護と短期入所療養介護で、退所日の訪問看護の扱いは違いますか?

違います。介護保険の場合、短期入所生活介護は入所日・退所日ともに訪問看護費を算定できます。一方、短期入所療養介護は入所日は算定できますが、退所日は特別管理加算を算定している利用者、または医師が必要と判断した利用者に限り算定できます。

訪問看護を提供した後に緊急入院になった場合、その訪問は算定できますか?

算定できます。訪問した時点ではまだ入院していないため、通常の訪問看護として算定可能です。算定できなくなるのは、入院・入所している期間中の訪問です。

この記事のまとめ
  • 介護保険は、入院日・入所日は算定可能、退院日・退所日は原則不可(特別管理加算対象者・主治医の判断で例外あり)
  • 医療保険は、入院日・退院日ともに訪問看護費本体は原則不可。退院日は「退院支援指導加算」で対応する
  • 退院支援指導加算の対象は、別表第7・別表第8・退院日の訪問看護が必要と認められた者の3パターン
  • 短期入所生活介護は退所日も算定可能、短期入所療養介護は退所日に例外条件がある点で扱いが異なる
  • 訪問後に緊急入院・入所になった場合、その訪問自体は算定できる

入退院・入退所のタイミングは連絡が急に入ることが多いため、判断フローをあらかじめステーション内で共有しておくことが、算定ミスを防ぐ一番の対策です。

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