令和8年台風24号・大雨の災害特例|訪問看護対応

令和8年台風第24号及び前線による大雨の被害を受け、鹿児島県の一部地域(9月5日)に加え、愛知県の一部地域(9月9日)にも災害救助法が適用されました。これを受け、厚生労働省老健局・保険局から介護報酬等の柔軟な取扱いや被保険者証提示の特例に関する事務連絡が相次いで発出されています。

訪問看護も対象に含まれており、指示書の有効期限に関する特例など、事業所として押さえておきたいポイントがあります。この記事で整理します。

この記事でわかること
  • 災害救助法が適用された地域と適用日
  • 介護報酬等の柔軟な取扱い(基準緩和等)の内容
  • 訪問看護指示書の有効期限に関する特例の具体的な要件
  • 被保険者証の提示がなくてもサービスを利用できる特例

何が決まったのか

厚生労働省老健局は、令和8年9月5日付で事務連絡「令和8年台風第24号及び前線による大雨に伴う災害に係る介護報酬等の柔軟な取扱い(基準緩和等)について」を発出しました。その後、令和8年9月9日付で対象地域を拡大し、鹿児島県の一部地域に加えて愛知県の一部地域も災害救助法の適用対象となったことを踏まえた事務連絡(被保険者証提示等について/被災した要介護高齢者等への対応について)が追加で発出されています。

内容の詳細

柔軟な取扱いの対象は幅広いサービスに及びますが、訪問看護に関わる主なポイントは次のとおりです。

項目内容
訪問看護指示書の有効期限一定の条件下で、有効期限を超えていても訪問看護費の算定が可能
人員基準・加算算定要件職員数の変動等でやむを得ず満たせなくなった場合、当面の間柔軟な取扱いが可能(人員基準欠如減算も適用しないことが可能)
被保険者証の提示氏名・住所・生年月日・負担割合の申立てにより、提示なしでもサービス利用が可能
要介護認定の申請・更新被保険者証の提示ができなくても申請を受理できる取扱い。更新期限が過ぎても継続扱い可
処遇改善加算の実績報告書都道府県等の判断により提出期限の延長が可能

特に訪問看護について、事務連絡は次の3条件をすべて満たす場合に、指示書に記載された有効期間を超えても訪問看護費の算定が可能としています。

  • 災害発生以前に主治医の指示書の交付を受けている利用者であること
  • 保険医療機関等が被災地域に所在し、被災のため主治医と連絡がとれず指示書の交付を受けることが困難であること
  • 訪問看護ステーションの看護師等が利用者の状態から訪問看護が必要と判断し実施したこと

この場合、訪問看護計画書・報告書を主治医に提出できないときも算定は可能ですが、柔軟な取扱いにより実施した旨を訪問看護記録書に記録しておく必要があります。

看護師 上妻
看護師 上妻

指示書の期限切れを理由に訪問を止めてしまうと、かえって利用者さんの状態悪化を招きかねません。3条件を満たすかどうかを確認したうえで、記録をきちんと残しておくことが大切ですね。

訪問看護ステーションへの影響

該当地域(鹿児島県・愛知県の一部)の訪問看護ステーションは、被災による職員不足・利用者対応の変化があっても、柔軟な取扱いにより加算算定要件や人員基準の一時的な充足困難を理由にした減算を避けられる可能性があります。該当地域以外の事業所でも、被災地域からの避難者を受け入れた場合は同様の取扱いが適用される点に注意が必要です。

注意

今回の事務連絡は「例示であり、その他の柔軟な取扱いを妨げるものではない」とされています。個別の状況に応じた取扱いは、まず保険者(市町村)や都道府県の窓口に確認することが必要です。

今からやるべき実務対応

  1. 自事業所・利用者の被災状況を確認鹿児島県・愛知県の該当地域に事業所または利用者がいるか確認する。
  2. 指示書の有効期限を確認期限切れの利用者がいる場合、3条件に該当するか確認し、該当すれば訪問看護記録書に柔軟な取扱いによる実施である旨を記録する。
  3. 被保険者証を提示できない利用者への対応氏名・住所・生年月日・負担割合の申立てで対応できることを利用者・家族に案内する。
  4. 保険者・都道府県への確認人員基準・加算要件の柔軟な取扱いの適用可否は、個別に保険者・都道府県の窓口に確認する。
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よくある質問

災害救助法が適用されたのはどの地域ですか?

令和8年9月5日に鹿児島県の一部地域、その後令和8年9月9日に愛知県の一部地域が追加で災害救助法の適用対象となりました。具体的な市区町村は、各都道府県・厚生労働省の発表をご確認ください。

訪問看護指示書の期限が切れていても訪問看護費は算定できますか?

被災前に指示書の交付を受けていること、被災により主治医と連絡が取れず指示書の交付を受けることが困難であること、看護師等が訪問看護の必要性を判断して実施したこと、の3条件を満たす場合は算定可能です。柔軟な取扱いにより実施した旨を訪問看護記録書に記録してください。

該当地域以外の事業所も対象になりますか?

被災地域以外の事業所であっても、被災地域からの避難者を受け入れた場合や、被災地域に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足した場合は、同様の柔軟な取扱いの対象になります。

まとめ|台風24号・大雨の災害特例、訪問看護は指示書期限の特例に注意

この記事のまとめ
  • 鹿児島県・愛知県の一部地域に災害救助法が適用され、介護報酬等の柔軟な取扱いが認められた
  • 訪問看護は3条件を満たせば、指示書の有効期限を超えても算定可能
  • 被保険者証の提示がなくても、申立てによりサービスを利用できる
  • 該当地域以外でも、避難者受け入れ・職員派遣の場合は同様の取扱いが適用される

該当する利用者・職員がいないか、まずは事業所内で確認してみましょう。

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ABOUT US
上妻 裕弥看護師/MBA取得
株式会社ビジケア代表取締役/看護師・MBA取得。これまで200社以上の訪問看護事業所へ経営コンサルティング・BPOサービスを実施。経営者・管理者のサロン等も含めると500社を超える。単月黒字化から複数拠点展開、事業承継まで支援し、看護師の視点で「続く経営」をつくる。別法人にて自身でも全国に訪問看護ステーション展開している。