- 訪問看護を開業することで得られる年収の目安
- 訪問看護の開業に必要な準備
- 訪問看護の開業を成功させるポイント
こうお考えの看護師やセラピストの方は多いのではないでしょうか?
訪問看護は、医療・介護保険を利用して、利用者さんの自宅で療養生活をサポートするお仕事です。
近年、高齢化や医療・介護ニーズの多様化により、訪問看護の需要は高まっています。
そこで気になるのが、訪問看護を開業した場合の年収です。
今回は、訪問看護を開業した際の年収の目安や、開業までの準備、成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
目次
訪問看護ステーションを開業したら年収はどれくらいになる?
訪問看護ステーションの経営者の年収に関する統計的なデータは見当たりませんでしたが、約「400〜1000万円」といわれているようです。
理由としては、以下の様な要素によって大きく左右され、各ステーションで状況が大きく異なるからです。
- 事業規模: 利用者数、スタッフ数
- 地域性: 都市部か地方か
- 経験: スタッフの訪問看護の経験年数
- 経営スキル: 経営センス、マネジメントスキル
- 営業力: 利用者獲得の力、地域での認知度
- スタッフの質: スタッフのスキル、モチベーション
訪問看護ステーションの経営者の年収は、訪問看護事業の収入から事業の支出(人件費、設備費など)を差し引いた、収支差(利益)の中から決まります。
例えば、訪問看護の1年間の収入が1億円あったとして、収支差率(利益率)が6%だとすると、
100,000,000円×6%=6,000,000円
上記の様に、利益(年収)は600万円となります。
(収支差率の参考:令和5年度介護事業経営実態調査結果,p6,第6表 訪問看護 1施設・事業所当たり収支額,収支等の科目)
経営形態によって経営者の受け取る報酬額は変わりますが、おおよその参考としてとらえてください。
以上の様に、事業の収入と支出がどれくらい出ているかによって、年収はかなり異なります。
年収を上げていくためには開業前にしっかりと準備を行い、事業を成功させることが重要です。
訪問看護ステーションの経営者と管理者は必ずしも同じでは無い
訪問看護ステーションを運営する場合、経営者と管理者は必ずしも同じ人物である必要はありません。
兼任することもできますが、役割分担することで、事業運営を効率化することができます。
経営者と管理者は役割が異なるため、それぞれ必要なスキルや経験も異なります。
訪問看護ステーションの経営者は、事業所の運営責任者であり、経営全般を担当します。
一方、管理者は、看護業務の責任者であり、利用者へのサービス提供やスタッフの指導などを担当します。
年収を上げることを考えると、経営者の立場になるか、看護師としての能力を伸ばして管理者として働くか、どちらの働き方を選択するか検討してみましょう。
訪問看護ステーションを開業するための準備
訪問看護ステーションを開業するためにはどんな準備が必要なのでしょうか。
下記の3つについてみていきましょう。
- 手続きや工程
- 開業/運転資金
- 収益が出るまでの期間
手続きや工程
訪問看護ステーションの開業の手続きでは、以下の工程が必要になります。
- 法人を設立する
- 指定基準を満たす
- 開設資金を確保する
- 市場の調査
- 情報共有ツール・電子カルテ・請求ソフト準備
- 賠償責任保険に加入する
- 指定申請手続きや運営規定等作成
- 書類を整備する
- 備品の準備をする
- 加算等の体制の届け出をする
- 業務管理体制の届け出をする
- 事業を開始する
※上記項目は、以下記事より引用
各項目ごとの詳細なやるべきことについてはこちらの記事を参照ください。
開業には数ヶ月から数年の準備期間がかかる場合があります。
工程が多く大変ですが、一つずつ計画を立てて準備していきましょう。
開業/運転資金
立ち上げの資金は多ければ多い方がよいですが、およそ「数百万〜一千万円以上」必要とされています。
訪問看護ステーション開設に必要な設備資金の内訳は以下を参照ください。
- 事務所の家賃
- 携帯電話やタブレット等の機器
- 自動車・自転車
- 求人広告・宣伝費
- デスクやコピー機などの備品
- 指定申請手数料
- 会社設立費用
- 人件費(給与や社会保険、福利厚生費等)
- 車の燃料費
- 各種保険
- 消耗品・雑費
開業当初は利用者さんの数も少ないことが考えられるので、収益が上がりにくい状況になることがほとんどです。
しかし、事業所の家賃や従業員への給料、車の維持費などのランニングコストが発生するため、準備資金がとても重要になります。
資金調達方法は自己資金や金融機関からの融資を受けることが中心になると思いますが、助成金などの制度を活用できる場合もあります。
資金の使い道と調達方法まで、具体的な資金計画を立てましょう。
開業資金/運転資金についてはこちらの記事も参照してみてください。
収益が出るまでの期間
訪問看護ステーションを開業してから収益が出始めるまでの期間は一概にいえません。
開業当初は利用者数が少なく収益が出にくい状態になるので、経営が軌道に乗るまで「数ヶ月〜数年」かかる場合もあります。
収益を左右する要因としては以下のような理由があります。
- 個人の経営、営業スキル
- 経営における資金繰り
- 利用者数
- 地域の特性、地域からの信頼
- サービスの質
地域やステーションの運営状況によって大きく異なるため、利用者さんとの信頼関係を築き、地域に認知されるには時間と努力が必要です。
開業前に十分な準備を行い、計画的に進めていきましょう。
訪問看護ステーションの開業を成功させるコツ
訪問看護ステーションの開業は、準備不足で失敗してしまうケースも多く見られます。
ここでは訪問看護ステーションの開業を成功させるための3つのコツを紹介します。
地域に根ざしたサービスで信頼を獲得
地域によって抱える課題は異なり、その地域に応じたサービスを提供することが大切です。
下記の様に、都市部と地方でも抱える課題に違いがあります。
- 高齢者独居世帯や高齢夫婦世帯の増加
- 住居や交通網が密集し、建物の老朽化やバリアが多い
- 地域のつながりの希薄化により、近隣からの見守りが難しい
- 認知症高齢者が増加しており、家族やキーパーソンの介護負担が大きい
- 人口減少や高齢化の進行
- 交通インフラが十分でないため、高齢者の移動が大変
- 医療資源が乏しく、専門的な医療処置を要する利用者への対応が難しい
- 離れて暮らす子供世帯からの介護が受けにくい
各々の地域で居住する住民のニーズを分析し、地域に応じた最適なサービスが提供できる体制を考えましょう。
また、医療機関や介護施設、行政などの関係機関とも連携を密にはかり、連携を強化していくことが大切です。
地域コミュニティのイベントに参加するなど、交流を通じて地域の関係各所との信頼関係を築いていくこともよいでしょう。
利用者さん一人ひとりに寄り添ったケア
訪問看護の一番の目的は、利用者さんが自宅で安心して暮らし続けていけるよう支援していくことです。
利用者さんの想いや希望を尊重し、丁寧なコミュニケーションと必要なサービスを丁寧に行うことが大切になってきます。
また利用者さん本人だけでなく、家族も不安を抱えていることも多いため、コミュニケーションを積極的に取りましょう。
職員が働きがいを感じられる環境作り
開業初期は職員が働きがいを感じられる環境作りも大切です。
訪問看護ステーション開業初期は利用者数が少なく、収益も上がりにくいことが多いです。
そんな苦境を乗り越えるためには専門職としての働きがいが大切になります。
そのためには明確な理念や職員が共感できるビジョンを掲げ、職員のモチベーション向上に繋げていきましょう。
また定期的な面談やミーティングを設定し、職員同士でのコミュニケーションを促してチームワークを強化し、日々の業務に対する感謝を伝えることも大切です。
職員の動きや様子をしっかり確認し、人員配置や業務の分担を行い、一点に負荷がかかりすぎないよう、ICT(情報通信技術)の導入や勤怠管理も検討しましょう。
訪問看護ステーションの開業は準備をしっかり!
訪問看護ステーションを開設してからの年収は、経営状況によって変わってきますが、おおよそ「400〜1000万円」となることが多いようです。
また、開業には様々な準備を並行して進めることが必要になるので、立ち上げメンバーで協力して運営開始に向けて準備をしましょう。
ビジケアでは、訪問看護の経営・運営サポートをおこなっており、訪問看護ステーションを立ち上げ、共に学んでいる仲間も多く所属しています。
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