昨今の介護保険サービスにおいて、第三者による監査対応が重要視されています。
訪問看護においても同様で、職場の働きを振り返り、これを第三者へ開示する形で報告することが求められています。
※日本訪問看護財団 訪問看護の評価指標の標準化に関する調査研究事業報告書
これら第三者が監査対応を行う視点の一つに、サービス利用者満足度があります。
今回は訪問看護における利用者満足度調査について解説します。
目次
訪問看護における満足度調査のポイント
訪問看護運営において、利用者満足度の把握が推奨されています。
サービス提供に対する定期的な満足度の聴取と結果の開示が求められており、これらの対応に事業所として取り組まれているかが一つの評価基準になっています。
利用者満足度調査の中で重視されるポイントについて解説していきます。
説明内容
サービスに対する説明に不備がないかどうかの確認になります。
利用者さんの理解度に合わせて、丁寧な説明を行えているか気をつける必要があります。
このような質問を通して確認しましょう。
サービス内容
訪問看護サービスの内容が適切に提供されているのか、利用者さんに確認をとる必要があります。
提供内容、方法、時間等の視点からサービスそのものの価値が判断されます。
「計画に沿ったサービス内容が提供されていたか」
このように、サービスの具体的内容に関しても確認していきましょう。
職員の対応
訪問看護職員自身の対応に関して、主に礼節等の視点からの評価になります。
訪問時の挨拶、立ち振る舞いから最後の片付けまで、利用者さんの目から職員の態度がどのように映っているのかに気を配る必要があります。
「対応するスタッフから配慮や誠意は感じられるか」
自分自身の振る舞いに今一度注意をしながら、確認を取りましょう。
事業所の体制
職員人数や出勤体制など、事業所全体の体制によっても利用者さんへ提供できるサービスの自由度が変わります。
「担当者へ相談しやすい環境だったか」
「訪問の予定時刻が守られていたか」
時間の余裕がないためにスタッフの焦りが利用者さんに伝わったり、有事の際に予定変更に柔軟に対応できるかどうかも評価すべき点になります。
サービスの効果
訪問看護を利用していただくことで、利用者さんにどのような利益がもたらされたのか、満足感を提供することができたかも一つの指標となります。
「訪問看護サービスの効果が感じられたか」
よくある利用者さんからのご意見
ここからは現場でよくいただく利用者さんからのご意見に関して共有します。
現状よりも利用者満足度を改善するためには、これらの対策が必要になります。
担当者の変更
安定した介入頻度を提供するために、日々の担当者を変更することはある程度避けられません。
しかし、サービスを受ける利用者さんからすると、やはり馴染みのあるスタッフに常に関わって欲しいというのが本音であることも理解できます。
訪問看護担当者の固定が難しい場合は、サービス内容の申し送りを丁寧に行うなど、スタッフに関係なく均一な介入が行えるように配慮する事が重要です。
また、事業所の体制上スタッフの固定が難しいことを説明し、同意をいただく対応を行う事で、より良好なサービス提供関係を築けるのではないかと考えます。
訪問看護の効果を感じない
訪問看護を初めて活用する利用者さんから「思っていたサービスと違っていた」「あまり効果を感じない」「続けて利用する意味があるのか」など批判的な意見をいただくこともあるかと思います。
このような意見は利用者さん本人の希望ではなく、家族やケアマネージャーなど周囲からの薦めで訪問看護利用を始めた方に多い印象を受けます。
このような場合では、まず利用者さん自身が訪問看護にどのようなイメージを持っているのかすり合わせるところから対応する必要があります。
もしかすると、利用者さんは訪問看護に関する事前の説明で「家でマッサージとかをしてくれる」などの不十分な説明を受けているかもしれません。
そのような状況だと、利用者さんがイメージしているサービスと実際に提供される訪問看護内容にギャップが生まれ、不満を訴える原因になりかねません。
利用者さんが求めているニーズをなるべくサービス利用初期のうちに確認し、次に実際に提供できる訪問看護サービスの内容を利用者さんに説明することで合意を得る必要があります。
ここで実際の訪問看護内容と、それによってもたらされる利益を利用者さんと共有しておけると、上記のような不満を訴えられることは少なくなるでしょう。
まとめ
訪問看護における利用者満足度調査について、解説させていただきました。
対人職として少しでも高評価をいただけることは、私たちの仕事に対して励みになります。
しかし、体制や環境の問題で提供できるサービス内容に制限が生じるのも訪問看護の特徴です。
利用者さんのご意見を親身に受け止めつつ、現実的な課題に向き合うポイントとして今回の記事がお役に立ちますと幸いです。
「スタッフの説明は分かりやすいものであったか」