作業療法士が考える!利用者さんへの生活リズムの指導方法

利用者さんの生活リズムを、どこまで把握できていますか?

生活への指導が求められる訪問看護ですが、利用者さんの生活への介入はなかなか難しい支援内容になります。

今回は作業療法士が考える利用者さんへの生活リズムの指導方法について、生活を評価する専門家である作業療法士の視点から解説します。

 

生活リズムの評価

 

まずは生活リズムの評価方法についてです。

私がおすすめしている方法は、

1日のスケジュールを時系列に沿って聞いていくことです。

具体的に説明します。

 

起きる時間と寝る時間を聞く

最初に利用者さんに「朝起きる時間と、寝る時間を教えてください」と質問します。

朝が早い人だと、起きてすぐに家事を行わなくてはならない環境にいる可能性があります。

夜寝る時間が遅い人だと、夕食後に家事などのやらなければならないことが多いか、漠然と夜更かしをして、次の日に眠気の強い状態で過ごしているのかもしれません。

起床時間と就寝時間を知るだけでも、利用者さんの生活の特徴が見えてきます。

 

起きてから寝るまでの活動の流れを時系列で聞く

次に利用者さんの起きてから寝るまでの活動の流れを質問します。

具体的には「朝起きてから、最初に何をしますか?」と質問します。

ここで着替える、歯を磨く、洗濯機を回す、など様々な答えが返ってくると思います。

その後は時系列に沿って「〇〇の次は何をされていますか?」と質問を続け、就寝時間までの活動の流れを把握していきます。

注意点としては、1つ1つの活動を掘り下げてしまうと、情報収集に多大な時間を要してしまいます。

時間に余裕のない状況でしたら、まず全体の活動名だけを伺い、活動が出そろったところで細かい内容を掘り下げて行くことをオススメします。

 

予定が多い日と予定が少ない日の違いを聞く

通所サービスを使用されている利用者さんだと、サービスの有無で1日の予定が大きく変わることがあります。

通所サービスがある日、通所サービスがない日それぞれのスケジュールを質問する必要があります。

しかし、それぞれの状況を丁寧に聞きとっていくとかなりの時間を要します。

私の場合は最初に通所サービスなどの予定が多い日について聞いていきます。

そのあとに「では予定がない日(日曜日など)は、どのように過ごされていますか?」と質問します。

このような質問で、相違点だけを聞くようにすることで情報収集の時間短縮を図ります。

 

生活リズムへの介入

次に生活リズムの介入方法についてです。

利用者さんの生活状況を確認すると、安静を守れず過剰に活動してしまう方や、体の問題は少ないのに寝たきりになってしまう方など様々なタイプがあります。

このような方に「今日から動き回るのを止めてください」「明日からは毎日歩きましょう」と指導を行っても、反発されることも少なくありません。

まずは、なぜ今の生活様式をとっているのかを把握する必要があります。

その上で、生活リズムへの介入を進めていきます。

具体的なポイントとしては今の生活に一工夫加えることから始めることをオススメします。

例えば、ほぼ寝たきりになっている利用者さんでも、食事やトイレなど生活の中で体を動かすタイミングがあると思います。

このときに『横になる前に5分間、テレビを見ながら体を起こしておく』『トイレの帰り道に、踵上げを5回だけ行う』など、今の生活を大きく変えるのではなく、生活に一工夫を加えるポイントをお伝えするのがよいです。

反対に、過剰に活動してしまう利用者さんに関しては、生活のペース配分を行う手伝いが必要になります。

例えば、動きすぎると腰が痛くなるから安静にしておくべきなのに、周りの静止を振り切って家事に勤しんでいる利用者さんがいるとします。

このような状況で「安静にしてください」と指導をしても、生活に必要な家事を急に止めることは難しいかと思います。

また指導される側からすると、どの程度安静にすればよいのかの基準も分かりません。

このような状況で行える一工夫としては忙しい時間帯の活動を調整することです。

家事などの活動で忙しい利用者さんに対しては、それらの活動がどの時間帯で、どの程度の所要時間で行われているのかを確認します。

これを確認すると、午前中に忙しい方、午後に忙しい方など、その方の生活の傾向が見えてきます。

この生活の傾向が見えてきた段階で、忙しい時間帯の活動を一つ減らす、もしくは活動を行う時間帯を一つだけ変更する、などの対策を提案します。

利用者さんの決まった生活リズムを崩すことは大変なので、活動を一つだけ変更するなど一工夫からの導入をオススメします。

 

生活リズムに関わる上での注意点

 

最後に、生活リズムに関わる上での注意点として無理強いをしないことをオススメします。

生活リズムの変化については、利用者さんが能動的に行動をしないと何も変わりません。

医療者の特性上、気になることがあれば最善策を伝えたくなりますが、利用者さんに最善策を説得するだけでは、生活リズムへの関わりとしては不十分です。

利用者さんの生活リズムを考えたときに、なぜ現在のような生活になっているのか。

生活の中でどのようなことに価値を感じているのかまで思いを馳せた上で、利用者さん自身が「今の生活を変えたい」と思えたタイミングでの介入が効果的な印象を受けております。

 

まとめ

 

作業療法士が考える利用者さんへの生活リズムの指導方法について、解説させていただきました。

医療職という性質上、生活リズムの指導側としてふるまうことが多くなりがちです。

しかし在宅生活において最終的な意思決定者は利用者さん自身になります。

利用者さんの意向や価値観を踏まえた上で、現実的に実現可能な生活リズム指導を行う手助けに本記事が役に立つことを願います。

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