- 在宅看護の情報収集について知りたい
- 在宅ならではの視点ってあるのかな?
- 在宅看護を行う上で必要な情報収集項目を教えて!
在宅看護とは、人々が生活している居宅において行われる看護です。
- 予防的ケア
- 健康の維持回復を目指すケア
- 安らかな死に至るまでの終末期ケア
幅広い健康レベルを対象とした看護を行う特徴があります。
在宅看護を行う居宅は人々の生活の場であるため、病気を抱えながらもその人らしく暮らすための「生活を支える看護」が必要です。
当記事では、そんな在宅看護において必要な情報収集項目についてまとめてみました。
- これから在宅看護に携わる方
- 在宅看護に興味のある方
- 看護学生の皆さん
最後まで読めば在宅看護に必要な視点がしっかり理解できますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
ではさっそく解説します。
目次
訪問前に行う在宅看護の情報収集項目
在宅看護における情報収集項目について、「訪問前」と「訪問したとき」にわけて解説していきます。
まず、訪問前に行う情報収集項目としては以下があげられます。
- 疾患(現病歴・既往歴)
- 内服薬の種類
- 主治医
- 医療的処置の有無
- 身体症状(麻痺の有無、認知症の有無など)
- 感染症の有無
- 担当ケアマネージャー
- 介護度
- 介護サービスの利用状況(デイサービス、訪問介護、福祉用具など)
- 訪問看護の介入目的
- 住所や駐車場の位置
- 家族情報(家族構成、同居の有無、関係性) など
疾患や内服薬、身体症状の有無などは病棟看護と共通する項目かと思いますが、介護度や介護サービスの利用状況、住所や駐車場の位置といった項目は在宅看護ならではです。
また、訪問看護の介入目的はぜひ得ておきたい情報です。
その目的のひとつが医療的処置の場合も多く、それについても把握しておきたい情報となります。
その他、利用者さんの具体的状況や人となりが分かる情報があれば得ておくと良いです。
- これまでの生活について(生まれ、仕事、家庭での役割など)
- 価値観や大切にしていること
- 本人の思いや願い
- 家族の思いや願い
- 終末期の希望 など
上記の情報があると、初回訪問時にその情報をもとにコミュニケーションが取りやすく、思いや希望を大切にした関わりを考えることができます。
訪問前の情報収集の方法としては、主に以下があげられます。
- 紹介先から直接聞く
- 訪問看護指示書を確認する
- ケアマネージャーからのフェイスシートを確認する
訪問看護が導入となるきっかけとしては、入院している病院からの依頼や、ケアマネージャーからの依頼が多いです。
訪問診療医からの依頼の場合もあります。
依頼してくださった方がいる場合、その方に直接主な情報を聞くことができます。
加えて、主治医が発行する訪問看護指示書や、ケアマネージャーからいただくフェイスシート等からも情報を得ることができます。
訪問前に十分な情報がないこともよくありますが、その場合は、訪問開始後に徐々に情報収集していきます。
訪問したときに行う在宅看護の情報収集項目
次に、訪問したときに行う情報収集項目です。
訪問では、いよいよ利用者さんやご家族と対面します。
その中で行うべき主な情報収集としては以下があげられます。
- フィジカルアセスメント
- 苦痛症状の有無
- 医療的処置の状況
- 食事・排泄・清潔・睡眠・活動
- 困り事の有無
- 日々や未来に対する思い・希望
- 家族の生活背景や介護力、思い など
口頭や書面では得られなかった生の情報をしっかりキャッチしていきます。
訪問の際の情報収集ですが、これにはコツがあります。
- 「観察」を通して利用者さんの日々の生活を想像する
- 会話の中でさりげなく情報収集をする
実際の生活の場である利用者さん宅には、口頭や書面では得られなかったさまざまな情報があります。
ご自宅に入る前から情報収集は始まり、ご自宅に入ったあとも、目に入るものすべてから情報を得ることができます。
- 玄関までのアプローチ
→歩きやすい道?段差は? - 室内の様子
→片付いている?福祉用具の設置位置は?お風呂場や台所を使っている様子は? - 本人の様子
→身体機能はどれくらい?耳はよく聴こえる?会話は?視力は?匂いは?セルフケア不足からくる尿臭や体臭はない? - ベッド周囲の環境
→整っている?シーツの汚れは?手の届く位置に物がある? - 生活の中で動く導線
→安全に歩けそう?物の位置は?手すりは? - トイレの位置
→ベッドから遠い?広さは? - 部屋に置かれているもの
→オムツが置いてあるからオムツ着用中かな?このコップの水は誰が入れ替えているのかな?植木の水は誰がやっているのかな? - 食事内容
→手作り?レトルト?ゴミ箱に捨てられているものからも情報を得られることも - 飾ってあるもの
→趣味は?大切にしていることは?
観察や想像をせず、すべてを一から根掘り葉掘り聞くのは利用者さんにとって負担となることがあります。
中には「尋問のよう」「この人とは話したくないな」と感じさせてしまい、信頼関係を築く前に訪問を拒否されてしまうことも。
そのため、まずはご自宅の様子や利用者さんの様子をさりげなく「観察」し、その観察したことをもとに会話を繰り広げます。
観察が大切とは言え、あまりにじろじろ観察するのは失礼に当たることもありますので、さりげなく観察しながら生活を想像します。
そして、その観察したことをもとに会話の中で自然に聞きたいことを聞いていき、アセスメントし、必要な看護に繋げていきます。
在宅看護で大切なのは、病気を抱えながらもその人らしく日々の暮らしを営むための「生活を支える看護」です。
利用者さんらしい生活に寄り添う看護が必要です。
- 「利用者さんの日々の生活を想像しながらよく観察し、自然な会話を心がけ情報収集すること」
- 「利用者さんの主体的な生活をサポートするための情報収集をすること」
在宅看護の情報収集をする際のコツとして、上記のことは非常に大切です。
在宅看護では生活を支える視点での情報収集が大切
病気を抱える方を看護する上で必要な情報は病棟看護と共通する部分も多いです。
加えて、ご自宅で生活されている利用者様の看護を行う在宅看護において、「生活を支える視点での情報収集」というのも非常に大切です。
- 日々の暮らしの中で障害になっていることはなにか?
- 住み慣れた我が家で、長く、より良く過ごしていくためにはどのような看護が必要か?
セルフケア能力を大切にしつつ、必要なサポートを行う在宅看護。
とてもやりがいがあり、日々とても学びが多いです。
もし在宅看護に興味がありましたら、ビジケアには在宅看護(訪問看護)にまつわるさまざまな記事がありますので、ぜひいろいろ覗いてみてくださいね。