みなさん、普段の訪問看護は時間内に終わっていますか?
訪問看護が時間内に終わらないという悩みを抱えている訪問看護師さんもいらっしゃると思います。
今回はそんな悩みを抱えている訪問看護師さんに、訪問看護が時間内に終わらない原因と対策について解説します。
是非参考にしてください!
目次
訪問看護が時間内に終わらない原因と対策5選
訪問看護が時間内に終わらないのは、さまざまな原因があります。
筆者も毎回試行錯誤して、なるべく時間内に終えるよう心がけています。
また事業所単位でのルールはあると思いますが、訪問時間内に記録を終えることも理想であると考えています。
ここからは、訪問看護が時間内に終わらない原因を対策と合わせて解説します!
手技が未熟
一番多い理由が、手技が未熟なことです。
経験の浅い看護師さん、臨床経験はあっても訪問看護を始めたばかりの看護師さんにとっては、在宅でのケアに戸惑われることも多いと思います。
訪問看護の現場は、病院のように物品が揃っている環境ではありません。
同じケア内容であっても、利用者さんごとにルールが異なり、一から覚えなくてはいけないこともあります。
家の広さや物の配置によっても、ケアにかかる時間が変わってくると思います。
では、どのように対策したら良いのでしょうか。
- 先輩と同行して、手技やケアの工夫の仕方を見る
- 利用者さん、家族へ確認し、写真や動画を撮らせてもらう
- 図面を使用した、マニュアルを作成する
文章と写真を使用したマニュアルはよく見るのですが、文章だと頭に入りにくいですよね。
実際、利用者さん宅で文章を読みながらケアをしていると、さらに時間がかかってしまいます。
そこで、さらに有効な手段として、③図面を書くという作業をおすすめします。
ここで言う図面とは、利用者さんの家全体の図面になります。
図面の中に、物品の場所やケア内容を書けば、空間でとらえることができるので、イメージしやすいですよね。
ケアを詰め込み過ぎている
利用者さんの要望に応えようと、本来のケアとは異なることをやってしまうと、時間がかかってしまいます。
また、そういった看護師さんは、他の利用者さんから見ても要望を伝えやすいので、いつも同じ人がこの悩みを抱える傾向があります。
要望を伝えやすい、不安を打ち明けやすいというのは、利用者さんにとっては信頼があることになりますね。
そして、普段得られない情報を得ることもできるので、とても良いことです。
ただ、同時に利用者さんが看護師に対して、依存に繋がってしまうことがあります。
そうなると、看護師自身の疲労にも繋がり、訪問看護が持続しにくくなってしまう可能性があります。
では、対策をみていきます。
- 訪問看護でするべきケア内容を具体的にする
- サービス担当者会議等を通じて、利用者さんとケアチームで共有する
- 介入時間変更、他のサービス導入を検討する
まずは、管理者さんや先輩に相談し、訪問看護でするべきケア内容を具体的にしておきます。
その上で、関わっている職種間で訪問看護の内容について共有すると良いでしょう。
サービス担当者会議等を通じて、訪問看護の内容について、利用者さんを含めて全員で共有するとより良いですね。
さらに新たな要望が出てくる場合は、介入時間の変更や訪問介護などのサービス導入を相談しましょう。
要望がたくさんある場合は、何が訪問看護でできる内容で、何を優先するべきかを具体的にすることで解決しやすくなります。
まずは、1人で抱え込まずに相談することが大事です。
時間配分ができていない
1つのケアにどのくらい時間がかかるのか、時間を計ってみたことはありますか?
訪問看護の時間の中で、できることは限られています。
特に時間配分が難しいケアは、入浴介助等の保清に関するケアです。
特に介入して日が浅い利用者さんは、時間配分が難しく大幅に時間がかかってしまうこともありますよね。
対策は、以下になります。
- 1つのケアにかかる時間を把握する
- タイムスケジュールを作る
- 先輩に相談する
まずは、どのケアに時間がかかっているのかを把握しましょう。
時間がかかってしまいやすい入浴介助を例に挙げます。
- 移動
- 脱衣
- 洗髪
- 洗体
- 浴槽に浸かる
- 浴槽から出る
- 着衣
- 軟膏塗布
- ドライヤー使用 など
入浴介助と言っても、具体的にケアを挙げるとたくさんありますね。
細かくケアを分けて時間がかかってしまう原因を探りながら、タイムスケジュールを作成します。
そして、管理者さんや先輩に相談しつつ、回数をこなしていきましょう。
家族ケアの時間がある
訪問中、利用者さん本人よりも、家族と話している時間の方が長いことがあります。
家族が同居の場合、家族からの情報を得ることはとても大事なことです。
特に認知症や医療依存度が高いためにコミュニケーションが取りにくい方の場合、ご家族からの情報は重要です。
また老々介護、認認介護と言われる時代になり、高齢者同士で支え合い生活している家庭も多くなりました。
利用者さんだけでなく、家族自身のケアが必要と感じる場面もありますよね。
中には、ただおしゃべりな利用者さんや家族もいて、時間がかかることもあるかと思います。
では、対策をみていきます。
- 指示書やケアプランや看護計画書に家族ケアを盛り込む
- 家族ケアも入れた、タイムスケジュールを組む
- ケアマネジャーや主治医に相談し家族自身のサービスも検討する
家族ケアが必須な場合は、ケアマネジャーや主治医に相談し、ケアをするチームで共有しましょう。
その上で、ケアプランや指示書などに家族ケアを盛り込んでもらい、看護計画も立てるようにします。
家族ケアにどれくらいの時間があれば良いのか、合わせて検討すると良いですね。
家族自身にケアが必要と感じる場合は、できるだけ早急にサービスに繋げられるよう動きましょう。
筆者も何件か、ケアマネジャーに繋げて、夫婦で介入することになった事例があります。
おしゃべりが好きな方への対応方法など、こちらの記事も参考にしてみてください!
イレギュラーな事態の発生
訪問看護では、イレギュラーな事態の発生はつきものです。
病院とは異なり、1人で対処しなければいけないことが多く悩みの種だと思います。
イレギュラーな事態とは、以下のようなことがあります。
- いつもと様子が違う
- バイタルサインに異常がある
- 転倒していた
- 失禁していた
- 家にいない(鍵が開いていないため入れない)
- 道に迷った 等
筆者も訪問が詰まっているのにも関わらず、イレギュラーな場面に遭遇し、困ったことが何回もあります。
焦らず対処できるようになるための対策は、以下になります。
- 常に報連相を心掛ける
- 利用者さんの情報を整理しておく
- 早めに行動と訪問スケジュールの見直し
イレギュラーな事態が起きた時は、利用者さん、家族、管理者、関係各所への報連相が重要です。
特に、訪問看護では1人の現場となることが多いです。
利用者さんに何かあった場合は、速やかに管理者への報連相をすることが重要ですね。
焦っていると頭が真っ白になってしまうこともあるので、まずは管理者や先輩に連絡すると良いかと思います。
利用者さんに関する情報は、常に整理して事業所内で共有しておくと、緊急時にスムーズに対応ができます。
- 主治医など医療機関の情報
- 病歴
- 内服薬(頓服薬含む)
- 家族関係
- 緊急時の対応方法や連絡先
- 普段の様子(バイタル、生活の様子等)
訪問診療が入っている場合は、臨時往診の依頼や口頭での指示をもらうなど、対応は早いと思います。
しかし、外来通院の場合は、受診時の付き添う家族の存在、その場での救急搬送の判断等、悩むことがありますよね。
また、発熱の時は、頓服で対応するのかなど内服薬に関しても情報が必要です。
日頃から利用者さんの情報を整理し、緊急時の対応についてイメージしておくと、冷静に対応できるようになります。
これらの情報は、事業所内で共有しておくと、事業所一体で対応ができます。
早めの行動は、個人で心掛けることはもちろん大事ですが、全体の訪問スケジュールにもよりますよね。
訪問スケジュールに関しては、こちらの記事を参考にしてください!
時間内にケアを終えるために
今回は訪問看護が時間内に終わらない原因と対策について、5つ解説しました。
慣れないうちは意識していても、時間内に終わらないことが多くなりがちです。
また、イレギュラーな事態の対応で、難しさを感じることがあるかもしれません。
どれも準備しておくことが大切で、少しでも自身が焦らないようにするための対処方法です。
さらに、経験することで必ず動けるようになります。
そして、一人で悩まないことも大事ですので、管理者さんや先輩に相談していきましょう。