訪問看護師がよく行う医療処置を8つ紹介します

訪問看護の仕事をしてみたいと考えている看護師さんの中には、訪問看護ではどのような医療処置が多いのか、詳しく知りたいと思っている方が多いのではないでしょうか。

  • 訪問看護ではどのような医療処置の技術が必要なのだろう
  • 経験したことのない医療処置ができるか不安
  • 経験はあってもしばらく行っていないので不安

 

そのような不安を抱いている方でも不安なく訪問看護師として活躍できるよう、実際に訪問看護師がどのような医療処置を行っているかを詳しく解説します。

利用者さんのご自宅で行う訪問看護ならではの特徴がありますので、ぜひ参考にしてみてください

 

訪問看護師がよく行う医療処置8つ

 

 

近年の早期退院の流れや医療の進歩により、在宅療養の中でも医療的な処置を必要とするケースが増えています。

訪問看護の医療処置にかかる看護内容は、介護度が高くなるにつれ「浣腸・摘便」「褥瘡予防・褥瘡処置」「胃瘻の管理・経管栄養」などの実施割合が高くなります。

こちらの記事では、訪問看護での仕事内容がイメージできるよう、訪問看護師がよく行う医療処置を8つ紹介していきます。

 

浣腸・摘便

 

在宅療養されている利用者さんには、排泄の悩みを抱える方が多く、排便処置は訪問看護で最も頻度の多い医療処置です。

利用者さんの排便周期に合わせて訪問看護での排便処置が計画されていることもあります。

その中で、利用者さんの元々の排便習慣や意向に合わせてアセスメントし、ケアを行います。

なるべく自然な排便が得られるよう、利用者さん・ご家族とともに食事や水分の調整について話し合い、主治医をはじめとする多職種と協力して支援します。

 

褥瘡予防・褥瘡処置

 

要介護度の高い利用者さんは、寝たきりの状態で療養されていることが多く、褥瘡を予防するかかわりが重要です。

利用者さんの状態や生活状況など必要な情報を収集してアセスメントしましょう。

介護者となるご家族やヘルパーさんなどの介護関係者に除圧やポジショニングについてわかりやすく助言します。

適切な福祉用具を導入するようかかわることも大切です。

褥瘡ができてしまい、その処置のために訪問看護に介入依頼があったり、重度の褥瘡処置を行うこともあります。

訪問看護師と医師が連携を図り処置を進めますが、医療機関によっては皮膚・排泄ケア認定看護師からケア方法などの助言をもらう場合もあります。

 

服薬管理

 

現代は、認知症を抱えている独居世帯や夫婦世帯で在宅療養されている方が多くなっています。

定期的に服薬できるよう支援することは、訪問看護だけで完結できる問題ではありませんが、多職種の中で訪問看護師が指導的にかかわることが重要です。

利用者さんの状態や生活状況を他職種と共有し、正しく服薬できるための方法を検討します。

また、緩和治療中には麻薬を使用する場合もあり、安全な管理についてのアセスメント・ケアも必要です。

 

胃瘻の管理・経管栄養

 

在宅では様々な疾患により胃瘻を造設している利用者さんが療養しています。

利用者さんの生活状況にあった経管栄養の提案や、実現可能なケア方法をアセスメントし、ご家族への介護指導を行います。

季節や環境、体調により必要な水分量は変わってくるため、医師と連携して水分量の調整を行います。

 

気管カニューレ・人工呼吸器の管理

 

気管切開している利用者さんや、人工呼吸器を使用している利用者さんが安全に自宅療養できるよう、訪問看護師が中心となって管理を行っていきます。

医療機器の定期点検やメンテナンスは医療機器メーカーの専門員が行いますが、日々のケアと観察は訪問看護師が行います。

異常時にすぐ対応できるよう、あらかじめ医療機器メーカーとの連絡方法を確認し取り決めをしておき、停電時など急な対応に備えます。

 

カテーテル・ドレーンの管理

 

病院でしか行えない治療を終え急性期の段階を過ぎると、近年ではドレーン挿入状態で退院してくるケースも増えています。

そのため、ドレーン管理を在宅で行う機会が増えています。

退院時にドレーンが挿入されている部位や管理方法の申し送りを受け、在宅療養の中で医療的な管理を続けます。

また、腎瘻や膀胱留置カテーテルなど、長期間の留置となるカテーテルもあります。

感染や抜去のリスクがあるため、そのリスクに対し予防的にかかわることが訪問看護師の役割です。

 

吸引

 

要介護度が上がり自己排痰が困難になると、吸引での介助が必要となることがあります。

訪問看護で吸引を行うことはもちろんですが、在宅においてはご家族や吸引資格を持つヘルパーさんへの吸引指導も、訪問看護師の大切な役割です。

 

点滴・注射

 

訪問看護では医師の指示により点滴や注射を行うことがよくあります。

点滴方法は、末梢静脈点滴、鎖骨下や鼠径部から挿入した中心静脈カテーテル、CVポート、PICC、皮下点滴など幅広く行います。

医療機関によって使用されている器具に違いがありますので、利用者さんごとに使用されている器具や取り扱い方法を必ず確認します。

正しく取り扱い、正しく実施できるよう、毎回学びながら実施します。

 

まとめ

 

 

こちらの記事では、訪問看護師がよく行う医療処置を8つ紹介しました。

現在の訪問看護では、多くの医療処置がご自宅で継続できます。

しかし、大切なのは適切な自己管理です。

そして、本当に必要な処置かどうかということです。

在宅では生活の一部に医療がありますので、利用者さんやご家族が望む生活を優先できるよう、医療処置をどう生活に組み入れていくか考えていきます。

訪問看護師の仕事は幅広い分野にわたりますので、特定の医療処置を一定期間行わない時期というものもあります。

普段慣れないことを行うときは、誰しもが不安です。

未経験の医療処置や不安がある医療処置を行う訪問には、上司や同僚に協力を仰ぎ同行してもらいましょう。

現在は様々な看護技術を動画などで、いつでもどこでも学ぶことができますし、訪問看護ステーション全体で勉強会を行うこともとても有効です。

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ABOUT US
甲谷 多恵子看護師/ライター
看護師/急性期の総合病院で血液内科、レジデントの研修(内科混合)病棟等の病棟・外来勤務を経験。総合病院で15年間勤務後、訪問看護ステーションに転職。新規立ち上げからの管理者経験あり/デンマーク研修機会に恵まれたことを機に、訪問看護の可能性を再確認、多職種連携の中で専門性を発揮できるよう何事も勉強の毎日/北海道在住