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現在の精神科訪問看護
精神科訪問看護は、ある程度の精神科疾患へのケアを経験していたり、知識を持っていなければ、難しいものとして取り扱われています。
そのため、精神科医療に訪問看護を行うスタッフには、一定の条件があります。
- 精神科経験1年以上
- 精神疾患を有する者への訪問看護経験1年以上
- 精神保健センターや保健所等で精神保健業務経験1年以上
- 精神科訪問看護の研修を受け、修了証を授与された者
上記の4つの条件のうち1つ以上の条件を満たさなければ、精神科訪問看護を行うことはできません。
詳しくは、下記の記事も参照ください。
現在の精神科病院の入院形態
精神科病院への入院は精神保健福祉法によって定められた、①任意入院、②医療保護入院 、③措置入院、④緊急措置入院、⑤応急入院の5つの入院形態に分かれています。
それぞれについて下記で解説していきます。
精神疾患を持つ方が、入院治療の必要性や期間を判断して入院する形態になります。
任意での入院のため、本人の意思で退院することもできます。
医師の判断で入院が必要と判断された時に、本人の同意がなくても家族等の同意の下で入院する形態になります。
任意入院された方で医師が入院継続を必要と判断しているにも関わらず、本人が退院を希望された場合、医療保護入院へ切り替えることもあります。
精神保健福祉法に基づく家族等とは、以下になります。
①配偶者
②親権を行う者
③扶養義務者(直系親族、兄弟姉妹又は3親等内の親族で家庭裁判所が選定した者)
④後見人または保佐人
精神疾患があり自傷他害の恐れがある場合で、警察官等の通報や届出によって精神保健指定医2人の診察を行い、診断結果が一致し入院の必要性があると判断されて入院する形態になります。
この入院では、本人・家族等の同意は不要になります。
精神疾患があり自傷他害の恐れがある場合で、正規の措置入院の手続きがとれず、急を要する時に、精神保健指定医1人が診察し入院の必要性があると判断されて入院する形態になります。
急速な入院が必要な時の強制的な入院処置であり、期間は72時間が限度になります。
精神疾患があり自傷他害の恐れがあるほどの症状ではないが入院の必要性がある場合、家族等と連絡が取れない方や入院に同意しない身元不明の方などを対象として入院する形態になります。
医療保護入院に近い入院形態ですが、期間は72時間が限度になります。
精神保健2020年データを基に入院形態を多い順に並べると、①任意入院52.1%、②医療保護入院 46.8%、③措置入院0.57%となり、自傷他害の恐れにより入院する精神疾患の方はわずかになっています。
精神疾患がある方とそうでない方を比べても、犯罪を犯す確率は変わらないというデータもあります。
精神科医療と法律の歴史
精神科医療は、4つの時代の移り変わりとともに、法律が制定されていきました。
それぞれの時代について以下に解説します。
私宅監置時代では、明治33年に治安を守るために制定された精神病者監護法が根付いていた時代になります。
私宅監置とは、精神疾患を持つ方を自宅の一室や物置小屋などの専門の部屋に閉じ込めておくことです。
大正8年になり、都道府県に精神科病院を設置し、精神科疾患を持つ方が入院できるように精神病院法が制定されましたが、病院設置はほとんど進まなかったようです。
その後、都道府県の精神科病院設置を義務化し、措置入院や保護者同意による入院ができるように昭和25年に精神衛生法を制定され、私宅監置が廃止されました。
私宅監置が廃止され、精神疾患を持つ方は入院することが常識となり、昭和30~40年になると民間の精神科病院が大増設されていきました。
日本の精神科医療においては、都道府県の病院ではなく、民間の精神科病院が担うことが多くなっています。
昭和40年には、緊急措置入院や通院医療費公費負担制度が新設されたり、各都道府県に精神衛生センターが設置されました。
この時代では、入院患者が不当な扱いを受けないようにするための整備が始まったり、任意入院と応急入院が創設されたりと、人権擁護に対して考えられるようになりました。
昭和62年になると精神保健法が制定され、法の目的や責任に社会復帰促進が明記され、入院医療中心の治療体制から地域におけるケアを中心とする体制へ変革を始めています。
そして、社会復帰制度の創設、地域生活援助事業(グループホーム)の法制化を経て、平成5年に障害者の自立および社会参加の支援等のための施策に関し、基本的理念を定めた障害者基本法が成立しています。
入院医療中心の治療体制から地域におけるケアを中心とする体制にするために、平成7年に精神保健法から精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に改正されました。
精神保健福祉法は、精神障害者の自立と社会参加の促進を目的としており、新たな施策が多数誕生しました。
以下に代表的なものを紹介します。
- 社会適応訓練の法制化
- 精神障害者福祉手帳の創設
- 入院告知義務の徹底
- 公費負担医療の保険優先化
- 精神保健指定医の役割強化
- 医療保護入院の要件の明確化
- 就労や障碍者年金などの精神障害者の保健福祉の充実 など
その後、障害者自立支援法が施行され、社会的入院の解消や地域医療体制の整備などを進めることで、地域におけるケアを中心とする体制に移せるように取り組まれています。
最近の法・制度の流れ
最近の法・制度の流れについて、3つ紹介します。
保護者制度が廃止され、医療保護入院の要件を精神保健指定医1名の診断と家族等のいずれかの者の同意に変更しました。
これにより、保護者が亡くなったために入院できないのようなことがなくなり、医療保護入院が行いやすくなりました。
また、病院の管理者に退院後生活環境相談員の設置等の義務が新たに課されました。
国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的としてます。
デパス、アモバンが向精神薬指定に変更になりました。
それまでは、肩こりがある方にはデパス、不眠の方にはアモバンが使われることが多かったのですが、この薬剤は依存性が高いため、精神科医としての経験がないと処方できなくなりました。

日本における精神科医療の歴史や法律については、以上になります。
過去に自宅や病院に閉じ込められていた精神疾患の方は、現在は入院期間の短縮、地域への移行が積極的に行われるようになっています。
地域で精神疾患の方が生活する上で、訪問看護の活躍が期待されています。
次回は、日本と海外における精神科医療の歴史的変遷について紹介していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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精神科の訪問看護について紹介させていただいています。
第3回の講座では、日本における精神科医療の歴史や法律について解説します。
現在の精神科医療は、入院から地域へと移行が始まっており、訪問看護の活躍が期待されています。
精神科医療の歴史的変遷を学ぶことで、精神科訪問看護のあり方について考えやすくなると思います。