訪問看護で複数名訪問をする理由とは?複数名訪問看護加算の算定要件を解説します!

訪問看護で複数名での訪問を行う理由ってなんだろう?

上記のように、複数名での訪問看護を行う理由について疑問を抱く看護師さんは少なくないのではないでしょうか。

訪問看護では、基本的に看護師1人での訪問を行います。

しかし、一定の要件を満たす場合には、複数名での訪問が可能になります。

その際には基本料金に加え、加算を算定することができます。

今回は、複数名での訪問看護の加算を算定する際の要件についてわかりやすく解説していきます。

 

本記事でわかること

複数名訪問看護加算の算定要件

実際に複数名訪問看護加算を算定したケース

 

複数名訪問看護加算について詳しく知りたい訪問看護関係者の方はぜひ見ていってください。

さらに現在1人での訪問時にお困りの方はこの加算の算定条件に当てはまれば解決の糸口が見える可能性があります。

日々の訪問看護業務でお役に立てれば幸いです。

 

複数名での訪問看護で算定する加算とは?

 

訪問看護で複数名での訪問をする際には、一定の要件を満たすことで加算を算定することができます。

介護保険、医療保険、精神科訪問看護における医療保険の3種類で、算定要件が異なります。

それぞれの算定要件を理解してくださいね。

 

介護保険の場合

 

介護保険での訪問の場合に算定する加算の報酬と要件は以下のようになります。

 

 

医療保険の場合

 

医療保険での訪問の場合に算定する加算の報酬と要件は以下のようになります。

 

 

医療保険(精神科訪問看護)の場合

 

精神科訪問看護の場合に算定する加算の報酬と要件は以下のようになります。

 

 

このように、使用する保険や訪問看護指示による若干の差はありますが、複数名の訪問を必要とする要件は概ね共通しています。

 

補足:看護補助者とは?

厚生労働省の資料によると、看護補助者とは、訪問看護を担当する看護師の指導の下に、療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動等)の他、居室内の環境整備、看護用品及び消耗品の整理整頓等といった看護業務の補助を行う者のことで、資格は問わないとされています。

秘密保持や医療安全等の面から、算定する訪問看護ステーションに雇用されている必要があります。その際の従事者の変更届の提出は不要です。

 

複数名での訪問看護の加算算定時の注意点

 

複数名での訪問看護の各加算を算定する際には、以下のような注意点があります。

  • 利用者さん、ご家族から同意を得る必要がある
  • 同行訪問は複数名訪問の加算の算定はできない
  • 指定医療機関としての申請が必要である

 

上記の3点について、詳しく解説していきます。

 

1)利用者さん、ご家族から同意を得る必要がある

 

複数名訪問加算、複数名訪問看護加算、複数名精神科訪問看護加算のいずれも算定するためには利用者さん、ご家族への説明と同意が必須です。

同意書にサインをいただく、同意を得た旨を訪問看護記録に記載するなど同意を得たことをカルテに残す必要があります。

 

2)同行訪問は複数名訪問の加算の算定はできない

 

新入職員との同行や新規利用者さんへの同行など、同行訪問を行うことがあります。

この際には事業所都合での複数名訪問であり、加算算定要件には当てはまりません

 

3)指定医療機関としての申請が必要である

 

複数名訪問加算、複数名訪問看護加算、複数名精神科訪問看護加算ともに指定医療機関としての申請が必要です。

なお、健康保険法での指定医療機関の申請が済んでいる場合には、介護保険法での指定医療機関の申請は省略が可能です。

 

実際に複数名での訪問看護加算を算定した理由とは?

case1.医療依存度の高い利用者さんの場合

別表第7に該当する疾患のため医療保険で介入していた利用者さんに、複数名での対応を行っています。

人工呼吸器の管理を行いながらのケアを行うため、より安全に配慮して看護師2名での訪問スケジュールを組んでいます。

利用者さんからの同意を得ているため、医療保険での「複数名訪問看護加算」4,300円を週に1回算定します。

 

case2.精神状態の悪化のある利用者さんの場合

精神科訪問看護を提供している利用者さんに、複数名での対応を行っています。

利用者さんの精神症状の悪化に伴い自傷他害のリスクがあり、日によっては興奮する様子が見られます。

主治医に相談し、複数名での訪問指示が出されました。

ご家族に同意を得て、「複数名精神科訪問看護加算」を算定しています。

 

case3.身体症状により看護師1人での訪問が困難な場合

認知症により介護保険で訪問している利用者さんに、複数名での対応を行っています。

訪問看護では入浴介助を行っていますが、大腿部頸部骨折による術後であり、良肢位を保って生活する必要があります。

中等度の認知症により安全な入浴動作を取ることが困難であり、看護師と看護補助者により安全にケアが行えるよう介入しています。

ご家族の同意を得ており、ケアマネジャーにはケアプランに複数名での訪問が必要なことを記載していただいています。

週に2回の訪問時に、「複数名訪問加算Ⅱ」を算定しています。

 

まとめ

 

今回は、訪問看護で複数名訪問をする理由について解説しました。

訪問看護では1人での訪問となるため、利用者さんの状態によっては重いケアを1人で行う場合もありますが、「自分の技術が未熟だから。」と個人で抱えてしまうことも少なくありません。

今回の算定要件に当てはまる利用者さんの場合には、お互いの安全を確保するため複数名での訪問が必要なこともあります。

ぜひ1人での訪問が困難であると感じている訪問看護師さんは、複数名での対応も検討してみてくださいね。

ビジケア公式LINEに登録すると、訪問看護に関する最新情報(診療報酬や介護報酬改定を中心とした内容)が月に2回無料で配信されます。

最新セミナー情報やお得なご案内も配信していますので、よろしければ登録をお願いします。

友だち追加

 

ABOUT US
石澤 明日香
埼玉県在住/看護師/急性期総合病院にて6年勤務後、訪問看護ステーションで5年半勤務。令和4年9月に訪問看護ステーションアスエイドを開設、代表取締役兼管理者を務める。そのほか重度訪問介護事業所にも所属し介護士として障害を抱える方への支援や訪問看護に特化したブログ「ウチくる看護」の運営を行う。/趣味は料理とホームパーティ