
厚生労働省の調べによると全国の訪問看護ステーションで働く看護師は、全体の看護師の4.2%との結果が出ています。
看護師の中でもごく少数の訪問看護師。
情報量も少なく、上記のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
わたしも病院に勤めていた時には、訪問看護ってどういうものなのか想像もつきませんでしたので、とても共感します。
今回は、現役訪問看護師のわたしが、訪問看護とはどういうものなのか、わかりやすくご説明いたします!
目次
訪問看護とは?わかりやすくお答えします

訪問看護とは、「疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等が行う療養上の世話又は必要な診療の補助」とされています。
保健師助産師看護師法で定められた看護師の業務といえば、「療養上の世話」と「診療の補助行為」ですが、在宅でも同様の役割を担うといえます。
訪問看護では、医師の指示のもとでご利用者さんの住まいに出向き、在宅生活に合わせた清潔ケアや生活指導を行い、生活していく上で必要な治療を継続できるよう支援します。
もちろん注射や点滴、人工呼吸器の管理や創処置など医療行為も行います。
つまり、簡単にいうと訪問看護とは、病院から自宅に場所を移しただけで求められる看護業務は変わらないということですね。
訪問看護で働く人はどんな人?

訪問看護ステーションでは、正看護師が管理者を務めます。
そして、正看護師(保健師)、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護補助職員、事務員が一緒に働いています。
ステーションの規模によりますが、少なくとも3人以上の看護師が在籍します。
看護師や療法士の資格があれば、特別に必要な資格はありません。
病院での実務経験がある看護師さんが多いですが、国家資格取得後未経験で訪問看護ステーションに就職する看護師さんもいます。
訪問看護を利用する人はどんな人?

訪問看護は、医師の指示があれば全ての年齢の方が利用できます。
また、疾患もさまざまで病院のように専門科に分類されているわけではありません。
重症度についても限定されず、ADLが自立している方から寝たきりの方まで幅広く利用します。
医療的な介入が必要であれば、どなたでもご利用いただけるのが特徴です。
訪問看護の役割

では、訪問看護はどのような役割を持っているのでしょうか。
訪問看護師は、在宅療養をするご利用者さんが、望む生活を継続できるよう支援する役割があります。
例えば…

がん末期で最期までの時間を自宅で穏やかに過ごしたいと望むご利用者さんがいたとします。
訪問看護師は、ご利用者さんがどのように過ごしたいか詳しく聴取し、その希望に近づけられるよう介入していきます。
疾患による症状緩和を図るため、ご利用者さんの日々の症状を観察して医師へ報告します。
医師に指示により症状に合わせた服薬管理や点滴、注射、酸素投与、処置などの医療的ケアを行います。
また、ADLの低下により皮膚トラブルを起こしやすくなるため、療養環境の調整も必要です。
ケアマネジャーと連携を図り、適切な療養環境を作ります。
自宅では24時間看護師がその場にいるわけではないので、家族の協力が必要となることもあります。
家族への介護指導や精神的な支援も行います。
そして、訪問時以外に状態の変化があった際にすぐに対応ができるように、ステーション内で情報共有をして緊急時に備えます。
看取りに向けて家族が不安なく過ごせるよう医師とともに説明を行い、最期の時をご利用者さんの希望の通り過ごせるよう支援します。
「在宅療養をするご利用者さんが、望む生活を継続できるよう支援する」と一言に言っても、支援する内容は多岐にわたります。
訪問看護に役割は、生活を支えることです。
一人のご利用者さんが安心して生活するためには、たくさんの人が関係します。
看護師の視点で観察した情報を他職種と共有し、どうしたら望む生活を継続できるのかをともに考えることが、訪問看護師の最大の役割といえます。
まとめ
訪問看護ステーションでは看護師やリハビリ職員が働いている
訪問看護を利用する人に制限はない
訪問看護師の役割はご利用者さんの生活を看護師の視点で支えること
今回は、訪問看護とはどんなものなのか解説しました。
想像している訪問看護との差はありましたでしょうか?
訪問看護師としてご利用者さんを支えるために特別な資格や経験は要りません。
必要なのは、目の前にいるご利用者さんを「現状より安心・安全・安楽に過ごせるようにしてあげたい!」と思う気持ちです。
ぜひ訪問看護師としてご利用者さんを見てみてください。
きっとあなたの力でよりよい療養生活を整えることで、ご利用者さんから心からの「ありがとう」をいただけると思いますよ。