訪問看護で多い疾患は?疾患の構成割合から訪問看護を知る

訪問看護ではどのような疾患を抱えた方が多いのでしょうか?

訪問看護にこれから就職したいと考えている看護師さんや療法士さんから、上記の質問をいただくことがよくあります。

訪問看護は疾患や年齢の制限がなく利用することができるという特徴があります。

では、実際の訪問看護の利用者さんでは、どのような疾患を抱える方が多いのでしょうか。

今回は、訪問看護に多い疾患について、疾患の構成割合を用いて解説します。

これから訪問看護に就職したいと検討している看護師さんや療法士さんは、ぜひ参考にしてください。

 

訪問看護で多い疾患は?

公益財団法人日本訪問看護財団の作成する「訪問看護の現状とこれから2023年版」によると、訪問看護ステーションの利用者傷病別内訳は上記のようになっています。

このように、訪問看護では脳血管疾患を始め幅広い疾患を抱える利用者さんが多くいることがわかります。

 

  1. 脳血管疾患12.9%
  2. 認知症(アルツハイマー病を含む)8.9%
  3. 悪性新生物8.5%
  4. 筋肉骨格系8.4%
  5. 統合失調症5.8%
  6. 糖尿病5.0%
  7. パーキンソン病4.9%
  8. 損傷、中毒症等4.4%
  9. 高血圧系疾患4.4%
  10. 呼吸器系疾患4.3%
  11. 心疾患4.2%

 

では、訪問看護の現場では具体的にどのような関わりをしているのでしょうか。

上位5位までの疾患について、訪問看護での関わりを詳しく解説していきます。

 

脳血管疾患


厚生労働省「令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」より引用

最も多い疾患として上がった脳血管疾患では、脳梗塞や脳出血後の利用者さんを指します。

厚生労働省の調べによると、令和4年の日本の主な死因第4位にあたる疾患です。

訪問看護では、脳梗塞や脳出血を既往に持つ利用者さんに対し、再発の防止に向けた関わりやADLを維持向上するためのリハビリテーションを行っています。

麻痺や高次脳機能障害が後遺症として残る場合も多く、心身の状態を観察し適切な療養を継続できるよう支援します。

また、疾患により認知機能の低下をきたす場合もあり、介護を行う家族を含めた関わりが重要となります。

 

認知症(アルツハイマー病を含む)

訪問看護を利用される方は、高齢者が多く認知症を抱える方も増えています。

認知症の症状は人それぞれであり、進行の度合いも異なります。

そのため、個別性の高い関わりをしていく必要があり、看護を提供する訪問看護師の認知症に対する知識やスキルも求められます。

また、認知症自体が命に関わる疾患でなくても、認知機能の低下により引き起こす疾患は数多くあります。

認知症により、利用者さん本人が自身の自覚する症状を正確に伝えられない可能性もあります。

訪問看護で認知症の利用者さん一人一人が安心して生活を続けられるように、身体状況の変化を十分に観察しています。

療養が長期化することも多く、介護する家族が疲弊して生活が破綻してしまわないよう家族の健康状態にも配慮していく必要があります。

 

 

悪性新生物

国立研究開発法人国立がん研究センターの情報によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性65.5%(2人に1人)女性51.2%(2人に1人)とされています。

がんの診断を受け、訪問看護を利用しながら在宅療養される利用者さんは少なくありません。

がんと一言で言っても、発生する部位により出てくる症状は変わってきます。

症状緩和に向け、主治医と情報共有をしながら迅速な対応を行います。

また、進行の段階によっても支援内容を見直しながら訪問看護を提供します。

治療の継続や今後の療養の方向性などの意思決定支援も、訪問看護師が行う大切な仕事です。

 

筋肉骨格系

訪問看護では、筋肉骨格系の疾患を抱える利用者さんのご依頼も多くいただいています。

訪問看護には看護師だけでなく、療法士も在籍している事業所が増えています。

骨折による治療のため入院していた患者さんが、在宅に戻られる際に訪問看護を導入する場合があります。

筋肉骨格系の疾患の利用者さんの場合、訪問看護師と協働して療法士が介入することが多いです。

受傷によるADLの低下を取り戻すためにも、在宅での継続したリハビリテーションは重要です。

また、転倒を引き起こさないよう福祉用具事業所との連携や環境整備も大切な支援と言えます。

 

 

統合失調症

訪問看護の利用者さんの中で次に多い疾患が、統合失調症です。

統合失調症を抱える利用者さんの場合には、精神科訪問看護での利用が多くより専門性の高い訪問看護サービスを提供します。

一昔前までは精神疾患を抱える患者さんは、精神科病院に長期間入院をしていた経緯がありました。

しかし、現在は精神疾患を抱えていても訪問看護などの支援を受けて在宅復帰する方が多くいらっしゃいます。

訪問看護は精神疾患を抱える利用者さんの自立に向けた支援を行い、疾患の自己管理や就労を目指し関わっています。

 

 

最後に

今回は、訪問看護の利用者さんの中で多い疾患について解説しました。

訪問看護で関わらせていただく利用者さんは、さまざまな疾患の方がいます。

疾患を診ることは大切ですが「その人らしさ」を尊重することが重要です

安心して在宅生活を送っていただけるように、利用者さんの生活スタイルや環境に合わせながら看護やリハビリテーションを提供させていただくことが何より大切です。

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ABOUT US
松村 佑貴理学療法士/ライター
理学療法士/総合病院で4年間勤務後、訪問看護ステーションに転職し現在勤務4年目/2年間エリアリーダーとして活動後、現在は仕事と育児の両立のため常勤スタッフとして勤務。/趣味は読書。Instagramで読んだ本の紹介してます!