訪問看護の利用者さんの中には、認知症と診断されている方や認知症と診断をされていなくても、認知機能の低下を認める方が多くいます。
今後も、高齢者数の増加とともに認知症を患う方の数は増えると考えられています。
認知症を持ちながら自宅で暮らす人に対して、訪問看護師はどのような役割を担っているでしょうか。
この記事では、認知症に対する訪問看護師の役割を5つ紹介します。
目次
認知症に対する訪問看護師の役割
身体面・精神面の症状変化の把握
訪問看護の利用者さんは、認知症以外にも複数の疾患を患っていることが多く、さまざまな原因で体調の変化をきたす可能性があります。
認知機能が低下すると、自身の体調の変化に気が付くことが遅れたり、気が付いても周囲に伝わるように表出できないことがあります。
バイタルサインや体重などの変動、利用者さんの様子や言動を定期的に観察して、身体症状の変化の早期発見、認知症の状況の把握に努めることは訪問看護師の役割の1つです。
わずかな変化を捉え、その時の状況に応じた支援をすることで在宅生活の継続を支援することになります。
特に季節の変わり目は健康管理のために注意が必要です。
高齢になると体温調整に関わる機能が低下するため、気温が高くなっても暖房をつけ、室温が高い部屋で生活をしていることや、水分摂取をほとんどしない方もいます。
室温計を設置して温度を示したり、生活の中で少しずつ水分摂取量が出来るような工夫が必要です。
日常生活の支援
認知機能の低下の影響で、今まで出来ていた日常生活動作が難しくなり、生活に支障が生じた際、自宅での生活を継続できるように、日常生活の支援を行うことも訪問看護師の役割です。
訪問看護師が支援する内容として以下のようなことがあります。
・正確に内服ができるよう内服薬の管理を行う
・1人では難しい清潔ケアを支援する
・活動量が維持できるようにリハビリテーションを行う
いずれの場合も、利用者さんが出来ることは自身で行ってもらいながら、1人では難しいところをサポートするような支援をしていきます。
精神面のケア
認知症機能が低下し、今まで出来ていたことが出来なくなったり、忘れてしまうことが増えることで利用者さんは大きな不安を抱えることがあります。
精神面のケアをすることも訪問看護師の役割の1つです。
利用者さんが出来ないことだけにフォーカスせずに、今出来ていることを支持して維持できるような支援をします。
その上で、日常生活を送る上で気を付けることや工夫した方が良い点をアドバイスします。
利用者さんが自信を失わずに活動量を維持し、日常の不安を1つずつ解消することができれば、精神面の安定にも繋がります。
家族の支援
認知症の利用者さんを介護する家族の支援も、訪問看護師の大切な役割の1つです。
認知症の利用者さんの見守りや介護を行う家族は、精神的・身体的な負担も大きくなります。
家族の日々の介護を労うことや、相談を受けること、看護師の訪問時に休息を取ってもらうことも家族支援の1つです。
近しい家族であればあるほど、認知症になり今まで出来ていたことが出来なくなっている利用者さんを受け入れられないと感じたり、利用者さんと接することが辛いと感じる方もいます。
利用者さんが変わってしまったのではなく、認知症による変化であることや、利用者さんに起こっていること、感じていることを家族が理解できるように説明します。
その上で、利用者さんへの接し方の工夫など、家族ができることをアドバイスします。
家族の支援をすることは、利用者さんと家族が良好な関係を保つためにも欠かせません。
サービスの提案
身体症状、認知症の状況や家族の状況を踏まえ、適切な医療・看護と福祉サービスを受けることが出来るように提案することも訪問看護師の役割の1つです。
認知症の状況によっては認知症専門医の受診を提案をしたり、主治医への頻回な状況報告などを行います。
家族以外との接点を増やすためや、家族の負担を軽減するために、デイサービスやショートステイの利用を提案することもあります。
サービスを導入する際は、利用者さんの状況や性格に合わせたサービス内容、担当者の選定が必要です。
そのためには、利用者さんに関わる人が利用者さんの状況や性格を理解している必要があります。
専門家としての視点を持ちながら、周囲の人に分かりやすく説明することも訪問看護師の役割です。
まとめ~私が大切にしている役割
認知症における、訪問看護師の役割を5つ紹介しました。
・身体面・精神面の症状変化の把握
・日常生活の支援
・精神面のケア
・家族の支援
・サービスの提案
私が、認知症の利用者さんと関わる際に一番大切にしていることは、精神面のケアに繋がる、「利用者さんが出来ていることを支持して伝えること」です。
認知症になり、周囲から支援を受けるようになったことで「自分が何も出来ない、何でも忘れてしまうと思われているようで悲しい。」と話してくれた利用者さんがいました。
その利用者さんの話しを聞いてから、私はどんな小さなことでもその方ができていることをお伝えするようにしています。
具体的な内容は「看護師の訪問があることを覚えていてくれた」「私の顔を覚えていてくれた」「季節の花を飾っている」「朝起きてきちんと着替えをしている」などです。
利用者さんの家族や周囲の人は、利用者さんを心配するあまり、できないことをサポートしようという視点で関わることが多くなります。
出来ないことにフォーカスするのではなく、出来ていることをお伝えするだけで、利用者さんが安心したように笑顔を見せてくれることが多いと感じています。
利用者さんを取り巻く周囲の状況に合わせて、チームの一員として様々な立場から支援ができると良いですよね。
これからも認知症があっても安心して暮らすことができる社会を支えるために、訪問看護師として出来ることを皆さんと一緒に考えていきたいです!












における-後輩指導のポイント3選-2-485x273.png)












65歳以上の認知症高齢者数と有病率の将来推計についてみると、平成24(2012)年は認知症高齢者数が462万人と、65歳以上の高齢者の約7人に1人(有病率15.0%)であったが、37(2025)年には約5人に1人になるとの推計もある。
引用)平成29年 高齢社会白書第1章第2節3高齢者の健康・福祉より