訪問看護のサービス内容とは?訪問看護で行われている実際のサービスをご紹介します。

訪問看護では、どのようなサービスを提供していますか?

 

次の転職で訪問看護の仕事を始めようと考えている看護師さんは、訪問看護のサービス内容について詳しく知りたい方が多いのではないでしょうか。

今回は訪問看護の実際のサービス内容について、詳しく解説します。

訪問看護に初めて携わる看護師さんだけでなく、訪問看護を開業する経営者の方にも知っていただきたい内容になっていますので、ぜひ参考にしてくださいね。

 

訪問看護のサービス内容とは?

看護師の業務内容は、①診療の補助、②療養上の世話とされています。

訪問看護も同様に、医師の診療の補助である医療行為と、利用者さんの療養上の世話が主なサービス内容です。

 

訪問看護でよく行うことのある医療行為

 

訪問看護では、主治医が交付する訪問看護指示書に基づき医療行為を含む看護の提供を行います。

事業所の特色により医療処置を行う必要のある利用者さんが多い場合や、反対に医療処置がほとんどない場合もあります。

令和2年8月に厚生労働省が調査した資料によると、訪問看護で行われる医療処置の要介護度別での割合は以下のようになっています。

 

 

訪問看護でよく行うことのある医療行為

 

  • 浣腸・摘便
  • 褥瘡予防・褥瘡処置
  • 服薬管理
  • 胃瘻の管理・経管栄養
  • 気管カニューレの管理
  • 人工呼吸器の管理
  • カテーテル・ドレーンの管理
  • 吸引
  • 点滴・注射

 

 

 

では、それぞれの医療処置について詳細を見てみましょう。

 

浣腸・摘便

在宅療養をする上で排泄の悩みを持つ利用者さんは多く、浣腸や摘便を行う機会があります。

訪問看護は週に1〜2回の訪問を行うことが多く、便秘傾向にある利用者さんの場合には訪問のたびに排泄のケアが必要になることがあります。

利用者さんのご家族とともに食事や水分の調整、服薬でのコントロールを図り、なるべく自然な排便が得られるよう支援します。

 

褥瘡予防・褥瘡処置

 

要介護度が高くなると、寝たきりの状態で療養している利用者さんがほとんどです。

在宅では病院のようにマンパワーが整っているわけではないため、祉用具の導入や介護者のできる範囲での除圧を行い、褥瘡形成を予防します。

褥瘡ができてしまったと訪問看護に介入依頼があることもあり、かなり深くなった褥瘡処置を行うこともあります。

訪問看護師と医師が連携を図り処置を進めますが、医療機関によっては皮膚・排泄認定看護師の方も一緒にケア方針を検討していただける場合もあります。

 

服薬管理

定時処方の自己管理が困難な場合には、訪問看護により服薬管理を行うことがあります。

定時処方通りに訪問するわけではないため、訪問看護が訪問していない時間帯を確実に服薬するための方法を検討します。

また、医療用麻薬を使用する場合もあり、自宅で紛失などの事故が起こらないよう十分に注意して服薬管理を行う必要があります。

 

 

胃瘻の管理・経管栄養

 

在宅では様々な疾患により胃瘻を増設している利用者さんが療養しています。

利用者さんの生活状況に合った経管栄養の提案や、家族介護指導を行います。

季節や体調により必要な水分量は変わってくるため、医師と連携して水分量の調節も行います。

 

気管カニューレ・人工呼吸器の管理

 

気管切開をしている利用者さんや、人工呼吸器を使用している利用者さんが安全に自宅療養を行えるよう訪問看護に管理を任されることもあります。

医療機器のメンテナンスは医療機器メーカーの専門員が行いますが、日々のケアや異常の早期発見は訪問看護が行います

 

カテーテル・ドレーンの管理

 

近年の早期退院の流れにより、ドレーン管理を在宅で行う機会が増えています。

また、腎瘻カテーテルや膀胱留置カテーテルなど、長期間に渡り体内に留置することとなるカテーテルもあります。

感染や抜去のリスクがあり、医療的な管理を行い利用者さんが安全に過ごせるよう支援します。

 

吸引

 

要介護度が上がるにつれて自己排痰が困難になると、吸引での介助が必要となることがあります。

訪問看護では、訪問時の吸引はもちろん行いますが、看護師が24時間利用者さんのそばについていられるわけではありません。

そのため、ご家族や吸引資格を持つ訪問介護の職員さんへの吸引の指導も行います。

 

点滴・注射

一般的には広く知られていないようですが、訪問看護では医師の指示により点滴や注射を行うことがよくあります。

点滴方法についても、抹消静脈点滴をはじめ、鎖骨下や鼠径部から刺入した中心静脈カテーテルやCVポート、PICCからの点滴皮下点滴など幅広く行います。

カテーテル管理と同様に感染や抜去の予防に努め、実施後の症状の観察までを十分に行い医師に報告します。

 

 

訪問看護でよく行うことのある療養上の世話

 

訪問看護では、医療行為以外にも看護を提供する場面は数多くあります。

令和2年8月に厚生労働省が調査した資料によると、訪問看護で行われる看護の要介護度別での割合は以下のようになっています。

 

 

訪問看護でよく行うことのある看護

 

  • 病状観察
  • 本人の療養指導
  • 家族等の介護指導・支援
  • 排泄の援助
  • 身体の清潔保持の管理・援助
  • 認知症・精神障害に対するケア
  • 資源の活用の支援
  • リハビリテーション

 

 

 

それでは、それぞれの看護の内容について詳しく見ていきましょう。

 

病状観察

全ての利用者さんに対し、病状の観察は行います。

状態の変化が合った際には主治医に報告し、指示を仰ぎます

利用者さんの抱える疾患や病状は様々であり、細かい指示をいただくことでスピーディに対応することができます。

 

 

本人の療養指導

 

在宅療養では、1日のうちほとんどの時間を利用者さんによる自己管理や、ご家族などによる介護により生活を維持しています。

そのため、訪問看護では「在宅での生活を維持するために訪問時以外の時間をどのように過ごすか」と利用者さんとよく話し合い、より良い選択ができるよう情報提供を行います。

終末期にある利用者さんの場合には、希望する療養ができるように意思決定支援を行います。

 

家族等の介護指導・支援

上記と同様に、ご家族などによる介護により在宅生活を維持できている利用者さんは数多くいます。

病状の悪化により、介護の練習をする余裕もなく介護未経験で介護を行うこととなった介護者の方もいます。

訪問看護では、ご本人だけでなく介護をされる方も含めて生活の維持ができるよう支援し、介護力や生活状況に合わせた介護指導を行います。

 

排泄の援助

 

在宅療養を行う利用者さんへの訪問看護では、排泄ケアを行う機会がよくあります。

排泄動作の評価や環境設定、おむつ類の選定や介護指導も含めて排泄のケアを行います。

排泄のケアがうまくいくと、褥瘡形成リスクを軽減できることや家族の介護力を高めることができ在宅での生活がより安定します。

 

身体の清潔保持の管理・援助

訪問看護では、入浴やシャワー浴の介助、清拭や陰部洗浄、洗髪、足浴など状況に合わせた清潔ケアを実施します。

リハビリのセラピストと連携して入浴動作の評価をしたり、福祉用具の選定を行うこともあります。

自宅の浴室は利用者さんごとに異なるため、安全に介助が実施できるようトータル的にアセスメントしていく必要があります。

 

認知症・精神障害に対するケア

 

認知症や精神障害を抱える利用者さんを受け入れる事業所も多くあります。

認知症を除く精神疾患を患う利用者さんの場合には、精神科訪問看護を行うことがあります。

精神科訪問看護のサービス提供をする場合には、訪問できる看護師に一定の条件を満たす必要があります。

 

 

資源の活用の支援

 

在宅療養において、社会資源の活用は重要です。

利用者さんの持つ疾患や障害により利用できる社会資源は幅広くあります。

訪問看護では自己負担を最小限にしたり、生活をよりよくするための資源について情報提供を行います。

 

 

リハビリテーション

訪問看護事業所では、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が在籍することができます。

それぞれのセラピストは、訪問看護の一環としてリハビリテーションを提供します。

また、看護師が利用者さんに対しリハビリテーションを実施することもあります。

リハビリテーションの提供により、利用者さんの機能回復や健康維持を図ります。

 

 

まとめ

 

今回は、訪問看護のサービス内容について詳しく解説しました。

訪問看護のサービス内容を把握し、ぜひ訪問看護にチャレンジしてみてください。

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ABOUT US
石澤 明日香
埼玉県在住/看護師/急性期総合病院にて6年勤務後、訪問看護ステーションで5年半勤務。令和4年9月に訪問看護ステーションアスエイドを開設、代表取締役兼管理者を務める。そのほか重度訪問介護事業所にも所属し介護士として障害を抱える方への支援や訪問看護に特化したブログ「ウチくる看護」の運営を行う。/趣味は料理とホームパーティ