「利用者さんのリハビリ、40分にするべきか60分にするべきか、いつも何となくで決めてしまっている」——訪問看護からのリハビリ(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問)を担当していると、こうした悩みを抱えている方は少なくないはずです。
40分と60分は、単に「時間の長さ」が違うだけではありません。単位数の算定方法や週あたりの実施回数の上限も変わるため、利用者さんの状態やステーションの運営方針を踏まえた選択が必要です。この記事では、40分・60分それぞれの制度上の違いと、選ぶ際に確認したいポイントを整理して解説します。
- 訪問看護からのリハビリ(訪問看護Ⅰ5)の基本的な単位数の仕組み
- 40分・60分それぞれの週あたりの実施可能回数の違い
- 40分を選ぶ場合・60分を選ぶ場合、それぞれに向いているケース
- 時間設定を検討する際に確認しておきたい項目
目次
訪問看護からのリハビリの基本的な仕組み
訪問看護ステーションから理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問して行うリハビリは、「訪問看護Ⅰ5」として算定されます。基本となる考え方は、1回20分の訪問を1単位とし、1回の訪問でこの単位を組み合わせることで、40分(2単位分)・60分(3単位分)といった時間設定に対応する、というものです。
| 訪問時間 | 単位の考え方 |
|---|---|
| 20分 | 1単位 |
| 40分 | 2単位分 |
| 60分 | 3単位分 |

「40分だから2倍の報酬」というシンプルな話に見えますが、実は週に実施できる回数の上限も、時間設定によって変わってくるんです。ここを見落としたまま組んでしまうと、あとで訪問計画が崩れてしまうことがあります。
単位数から見る40分・60分の違い
単位数は「20分=1単位」を基準に積み上げる考え方のため、40分は20分の2回分、60分は3回分に相当する報酬が算定されます。1単位あたりの単価は改定のたびに見直されるため具体的な金額は本文では明記しませんが、同じ利用者さんに同じ頻度で訪問する前提であれば、時間を長くするほど1回あたりの算定額も比例して増えるという関係になります。
ただし、これは「長時間にすれば売上が増える」という単純な話ではありません。次に説明するとおり、時間を長くするほど週に実施できる回数の上限は少なくなるため、週単位で見た合計提供時間・合計単位数はどの時間設定でもおおむね同水準に収まる仕組みになっています。時間設定は経営上の損得ではなく、あくまで利用者さんに合わせたケアの組み立て方として検討することが基本です。
週あたりの実施回数の違い
訪問看護Ⅰ5には、1人の利用者さんに対して1週間に実施できる回数(単位数換算で週6回相当)の上限があります。この上限は、1回あたりの時間設定によって、実施できる回数が次のように変わります。
| 1回の訪問時間 | 週の実施可能回数の目安 |
|---|---|
| 20分 | 週6回まで |
| 40分 | 週3回まで |
| 60分 | 週2回まで |
1日のうちに複数回の訪問を行い、合計で60分以上(3回分以上)に相当する提供を行った場合は、超えた部分について所定単位数から減算される取扱いがあります。「1回60分」の訪問と「20分の訪問を1日3回」は、制度上の扱いが異なる場合があるため、算定担当者と事前にすり合わせておくと安心です。
40分を選ぶ場合に向いているケース
40分(週3回まで)の設定が向いているのは、次のような場合です。
- 週の中でこまめに介入し、状態の変化をこまめに確認したい
- リハビリの目標・実施内容が明確で、短時間でも効果的に進められる
- 利用者さんの体力・集中力が長時間の訓練に向かない
訪問頻度を確保しやすい一方、1回あたりに取り組める内容は60分に比べて限られます。優先順位を絞った介入計画が求められます。たとえば「今週は歩行訓練を重点的に見る」「来週は自宅内での動線確認を中心にする」というように、毎回のテーマを明確に絞ることで、短い時間でも効果を出しやすくなります。
退院直後で状態が変化しやすい時期や、介護者への指導を段階的に進めたい場合にも、40分・週3回のように接触頻度を優先する設定が適していることがあります。状態の変化を早期に察知しやすく、主治医への報告のタイミングも取りやすくなる点がメリットです。

60分を選ぶ場合に向いているケース
60分(週2回まで)の設定が向いているのは、次のような場合です。
- 介助量が多く、更衣・移乗・入浴等を含めた一連の動作訓練に時間がかかる
- ゆっくりとしたペースでないと訓練を安全に進められない
- 利用者さんの生活状況から、週2回程度の介入頻度で十分な場合
1回でまとまった内容に取り組める一方、週の訪問回数は少なくなるため、状態変化への気づきが遅れないよう、他職種との情報共有をより意識する必要があります。例えば、移乗・入浴介助・歩行訓練など複数の動作を1回の訪問でまとめて評価・訓練したい場合や、準備・後片付けに時間を要する利用者さんの場合は、60分の設定によって落ち着いて対応できるという利点があります。
一方で、週2回という頻度では、体調の急な変化に気づくタイミングが限られるため、訪問看護師による定期的な訪問や、家族・ケアマネジャーからの情報提供とあわせて状況を把握する体制を整えておくことが望まれます。

「時間が長い=良いリハビリ」ではありません。利用者さんの体力や集中力を超えた時間設定は、かえって負担になることもあります。時間ありきではなく、目的から逆算して時間を決める視点が大切ですね。
「1回60分」と「20分を1日3回」は同じ扱いではない
現場でしばしば混同されやすいのが、「1回60分の訪問」と「1日のうちに20分の訪問を3回行うこと」の違いです。前者は1回の訪問時間を長く設定したケースであるのに対し、後者は同じ日に複数回訪問を行うケースであり、両者は制度上まったく別の枠組みで扱われます。
1日のうちに複数回訪問を行い、合計の提供時間が60分相当(3回分相当)を超える場合には、超えた部分について所定単位数からの減算が生じる取扱いがあります。これは、緊急対応等でやむを得ず同日に複数回訪問するケースを想定した仕組みであり、あらかじめ計画された「1回60分」の訪問とは前提が異なります。この違いを事務担当者と共有しておかないと、請求段階で意図しない減算が発生したり、逆に本来算定できるはずの単位数を見落としたりする原因になります。

「1回60分」で計画していたつもりが、記録上は「20分を3回」のように見えてしまうケースもあります。訪問看護記録書に、開始・終了時刻を1回分としてまとめて記載しているか、事業所内で運用ルールを統一しておくと安心ですよ。
時間設定を検討する際に確認しておきたい項目
40分・60分どちらが適切かを判断する際は、次のような項目を担当者間で確認しておくと、後から見直しがしやすくなります。
- 利用者さんの活動量・体力・持久力
- リハビリに対する意欲・目標の明確さ
- 主治医・ケアマネジャー等、他職種からの目標設定の内容
- 週の訪問回数と、他のサービス(訪問診療・訪問介護等)との兼ね合い
一度決めた時間設定も、利用者さんの状態変化に応じて見直すことが前提です。定期的な評価のタイミングで、時間設定が今の状態に合っているかを振り返る習慣をつけましょう。
他職種との連携で気をつけたいこと
訪問看護からのリハビリは、看護職員による訪問看護と組み合わせて提供されることが多いサービスです。時間設定を検討する際は、リハビリ担当者だけで完結させず、次のような視点も含めて多職種で共有しておくと、より一貫したケアにつながります。
- 看護職員が把握している全身状態・服薬状況とのすり合わせ
- ケアマネジャーが作成する居宅サービス計画との整合性
- 訪問診療・訪問リハビリ事業所等、他のサービスとの役割分担
- 訪問看護報告書への記載内容(実施したリハビリの内容を具体的に記録する)
特に、理学療法士等が行う訪問看護については、実施した内容を訪問看護報告書に添付することが求められています。時間設定の理由や実施内容を記録として残しておくことは、算定の妥当性を説明できるようにするためだけでなく、管理者が事業所全体のリハビリの質を把握するうえでも重要です。
よくある質問
40分と60分では、単位数はどのように変わりますか?
1回20分の訪問を1単位として、40分は2単位分、60分は3単位分に相当する形で算定されます。単位あたりの単価は改定により見直されることがあるため、最新の告示・通知でご確認ください。
週に実施できる回数は、時間設定によって変わりますか?
変わります。1人の利用者さんに対する週あたりの実施回数には上限があり、20分の訪問なら週6回、40分なら週3回、60分なら週2回が目安とされています。
1日に複数回訪問して合計60分を超える場合、注意点はありますか?
1日の合計提供時間が60分相当(3回分相当)を超える場合、超えた部分について所定単位数からの減算が生じる取扱いがあります。「1回60分」の訪問とは扱いが異なる場合があるため、算定担当者に事前確認しておくと安心です。
時間設定は途中で変更してもよいですか?
問題ありません。利用者さんの状態は変化するため、定期的な評価のタイミングで時間設定が現状に合っているかを見直し、必要に応じて主治医・ケアマネジャーと相談のうえ変更することが望ましいとされています。
単位数・算定要件は改定のたびに見直されます。実際の算定にあたっては、最新の告示・通知をご確認ください。
まとめ|時間設定は「目的」から逆算して決めよう
40分と60分は、単位数と週あたりの実施回数がセットで変わる仕組みになっています。時間の長さだけで決めるのではなく、利用者さんの状態やリハビリの目的から逆算して選ぶことが、質の高いリハビリ提供につながります。迷ったときは「今この利用者さんに必要なのは、頻度なのか、1回の密度なのか」を基準に立ち返ると判断がしやすくなります。
- 20分=1単位、40分=2単位分、60分=3単位分という組み合わせが基本
- 週あたりの実施回数は、20分なら週6回・40分なら週3回・60分なら週2回が目安
- 40分はこまめな介入、60分はまとまった内容の訓練に向く
- 時間設定は固定せず、定期的な評価で見直す前提で考える
利用者さん一人ひとりに合わせた時間選択と、随時の見直しを心がけましょう。
















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