訪問看護ステーションでは、様々な公費負担医療制度に出会います。
公費負担医療制度は、訪問看護を含めた医療費を多く利用する必要がある患者さんにとって、自己負担を軽減するために欠かせない制度です。
今回は訪問看護ステーションで利用することのある公費負担医療制度について、算定の優先順位を解説していきます。
訪問看護の利用者さんが最大限に公費を利用できるよう、訪問看護ステーションの従事者の皆様も十分に理解を深めていきましょう。
目次
公費負担医療費制度とは?
公費負担医療制度とは、医療が必要な心身の状態の人に対し、国や各自治体が医療費を負担することで該当者の医療費の自己負担を軽減するための制度です。
訪問看護ステーションは医療機関の一つであり、該当する患者さんが訪問看護ステーションを利用した際には公費負担医療制度を使うことができます。
訪問看護で利用できる公費負担医療制度とは?
訪問看護ステーションで利用できる公費負担医療制度は以下のものがあります。
公費負担医療制度によりそれぞれ、都道府県等の申請・指定が必要です。
公費負担医療制度を活用した訪問看護の利用をしていただく前に、必ず申請の手続きをしておきましょう。
参考:厚生労働省資料「訪問看護療養費請求書等の記載要領」
法別番号とは、公費負担医療制度の種類ごとに定められた番号です。
各受給者証に記載された公費負担者番号の頭2桁に、この法別番号が記載されています。
各公費の詳細については別の記事で解説していますので、ご確認ください。
公費負担医療費制度の優先順位とは?
では、公費負担医療制度の優先順位はどのようになっているでしょうか。
公費には、①公費優先の公費負担医療制度と、②保険優先の公費負担医療制度に分けることができます。
また、複数の公費負担医療制度を利用して算定することもあります。
公費優先の公費負担医療制度
保険優先の公費負担医療制度
公費負担医療制度には、全国公費(全国で有効な公費)と地方公費(市区町村が実施している公費)があります。
複数の公費負担医療制度を利用できる方は、医療・介護保険>全国公費>地方公費>生活保護の優先順位で算定を行います。
事例紹介
それでは、上記の内容を踏まえ、訪問看護ステーションでよくある事例をご紹介いたします。
事例1
Aさんは、筋萎縮性側索硬化症の診断にて人工呼吸器を使用しており、医療的ケアを要するため訪問看護を利用することになった。
訪問看護は厚生労働省の定める疾病(別表7)に該当するため、介護保険より医療保険を優先して利用する。
医療保険の自己負担割合は3割である。
Aさんは難病法による特定医療(指定難病)受給者証及び重度心身障害者医療費受給者証を持っている。
特定医療は自己負担1,000円を上限とする。

Aさんの場合には、保険優先の公費負担医療費制度を利用できる。
そのため、医療保険で利用料の7割を負担する。
残りの3割のうち、自己負担分の1,000円以外は特定医療による公費負担となる。
また、残りの1,000円は重度心身障害者医療費受給者証にて公費負担となる。
よって、Aさんの自己負担分は0円となる。
このように、複数の公費負担医療制度を利用できる場合には、全国公費>地方公費という優先順位があります。
そのため、都道府県が管轄となる特定医療が優先して利用され、市区町村が管轄となる重度心身障害者医療制度で残った自己負担分を公費負担制度で賄うことになります。
事例2
Bさんは、生活保護を受けて独居で生活している。
脳血管疾患発症後であり、独居のため服薬管理が困難であることから訪問看護を利用することとなった。
介護保険は申請しており、要介護3の認定が下りている。
介護保険の自己負担割合は1割である。

Bさんの場合には、保険優先の公費負担医療費制度を利用できる。
そのため、介護保険で利用料の9割を負担する。
残りの1割は生活保護法による介護券を使用する。
よって、Bさんの自己負担分は0円である。
このように、生活保護受給者の場合には利用できる保険や公費負担医療制度が優先されます。
生活保護法で扶助される介護券や医療券による自己負担分の公費負担は、最後の利用になります。
Bさんが介護保険の他に利用できる公費負担医療制度がある場合には、介護券より優先して利用することになります。
まとめ
今回は、公費負担医療制度の優先順位について詳しく解説しました。
公費の活用により、訪問看護サービスは自己負担を少なく利用することができます。
公費負担医療制度を受ける利用者さんやケアマネジャーなど関係者の方にわかりやすく説明できると、事業所への信頼もさらに高まることと思います。
訪問看護従事者の皆様の業務にお役立ていただけたら幸いです。























