年末や年度末は節目の時期でもあり、訪問看護を退職したいと考えている、という看護師の方がいるのではないでしょうか。
また、職員から退職を切り出された、という訪問看護管理者の方もいるかもしれません。
看護師の中でも少数である訪問看護師、できる限り離職せずに長く働いてもらいたいですよね。
今回は、訪問看護の退職理由についてまとめてみました。
退職を検討している訪問看護師の方や、訪問看護師の退職を予防したいという管理者の方に知っていただきたい内容です。
目次
看護師の退職理由は何が多い?
看護職員就業状況等実態調査結果によると、看護師の退職理由は以下のような順位になっています。
訪問看護ステーションに限っての調査ではありませんが、訪問看護でも聞く退職理由ではあります。
しかし、この他にも訪問看護ならではと言える退職理由もあります。
訪問看護でよく見られる退職理由① 自分の知識、技術に自信がない

退職を考えているという新人訪問看護師に理由を伺うと、このように答える方が多くいます。
入職当初は先輩看護師に同行訪問をしていても、一定期間同行すると独り立ちになります。
訪問看護は基本的に看護師一人で訪問します。
独り立ち後の訪問でトラブルや緊急事態があると、対応に慣れず自分自身の知識や技術のなさを実感して自信を無くしてしまうことがあります。
こんなときには、管理者は新入職員の独り立ちを急がず、看護師一人一人に合った研修期間を設けることが重要です。
また、同行した看護師は、新入職員の看護師がどのようにアセスメントをしているか、訪問後に考えの過程を確認することも有効です。
間違っていても否定するのではなく、参考書やマニュアルなどステーション内での一定の基準を持っておきます。
すると、独り立ちした後も「わからなくなったらここを確認する」という道順を知っているため落ち着いて行動することができ、また一つずつわからなかったことを解決することで自信にもつながります。
訪問看護によく見られる退職理由② 訪問看護特有のリスク、緊張感による精神的負担

精神的な負担も、退職理由としてはよく聞かれる内容です。
訪問看護では、自宅で医療処置を行いますが、すぐに主治医をベッドサイドに呼んで状態を診てもらうということができません。
一人で訪問し、見落としなく観察し、間違えなく処置を実施し、満足度高くケアを行います。
もうこれだけでもかなり緊張感があるのでないでしょうか。
でも、これは病院でも同じです。訪問看護に転職し、場所を自宅に変えただけで、同じことをするだけです。
それでもやはり、不安や緊張感は生じます。
数年間訪問看護で現場に立ち続けているわたしも、同じように緊張します。
このような精神的な負担を解消するには、いつでも現場から相談を受けられるサポート体制と、息抜きができるメリハリが重要です。
社用携帯やスマホを支給している事業所も多く、訪問先からでも管理者や先輩看護師に相談できる機器は揃っています。
機器を揃えるだけでなく、相談しやすい環境づくりも重要です。
また、休日は仕事を持ち帰らず、リフレッシュできるよう連絡も最低限に留めておきましょう。
休日に仕事を持ち帰らなければならない量の仕事を抱えているのであれば、業務調整が必要です。
訪問看護によく見られる退職理由③ 管理者や職員などの人間関係

直接的には言葉にしないこともありますが、人間関係が原因での退職もあるようです。
訪問看護はさまざまな経験を経て入職する看護師が数多くいます。
そのため、考え方が異なることもよくあることです。
どうしても考え方や看護の方針が合わず、やむを得ず退職を選択することもあります。
訪問看護では、ステーションを出発してしまえば一人での行動も多いです。
ステーションで共に過ごす時間は案外短いです。
そのため、その短い時間でのコミュニケーションや態度により相手に与える印象が強く残ります。
短い時間でも、真剣に相手の話を聞くことや、相手を気遣うことが働きやすい職場を作ります。
忙しいと相手への気遣いができず、わたしも一緒に働く周囲の方に嫌な思いをさせてしまったこともあります。
うまくいかなかったときには、自分を振り返り素直に謝ることも必要ですね。
まとめ
今回は、訪問看護師の退職理由についてまとめてみました。
退職を検討するときには、とてもエネルギーが要ります。
管理者の方は、多忙な業務に追われて実は悩んでいる職員に気付けずにいることもあると思います。
そんなときには、退職理由を元に職員の方が困っていることがないか声をかけてみてください。
また、退職しようと思っている訪問看護師の方は、どのようなことが自分にとって困難なことなのか、それは先輩看護師や管理者へ相談して改善することができないのか、今一度考えてみてください。
短い時間でも、手を止めて真剣に話を聞いてくれる先輩や管理者がいるならば、退職を踏みとどまることも選択肢に入れてみてもいいかもしれませんね。
2位 結婚のため
3位 他施設への興味
4位 人間関係が良くない
5位 超過勤務が多い