訪問看護の管理者の仕事内容を徹底解説!大切なのはチーム力!

新人訪問看護師

訪問看護ステーションの管理者ってどんな仕事をしているの?

 

訪問看護に初めて入職する看護師さん、療法士さんは訪問看護の管理者がどのような仕事をしているのかイメージが湧かない方も多いのではないかと思います。

また、管理者をしてみたいと考えている看護師さんは、実際の業務の内容についてお知りになりたいのではないでしょうか。

訪問看護では、必ず正看護師の資格を持つ管理者を1名設置する必要があります。

訪問看護ステーションでの管理者が行う仕事は、多岐にわたります。

全てを管理者1人で賄うには限界があるため、看護師や療法士、事務員に業務分担して運営していく必要があります。

今回は、訪問看護の管理者の仕事内容について詳しく解説します。

これから訪問看護に入職する看護師さん、療法士さんや、今後訪問看護の管理者を目指している看護師さんはぜひ参考にしてください。

 

訪問看護の管理者の仕事とは?

訪問看護の管理者の仕事は、上記の図のように幅広い知識と応用力が必要となります。

また、全体を見渡す広い視野を持ち、スタッフを率いて事業所を運営しています。

訪問スタッフの急な休みやトラブルに対して穴埋めをしたり、事務員さんがレセプト請求で困ったときには確かな知識で手助けをしたり、オールマイティに業務を行います。

訪問看護の管理者の業務は、事業所の体制によりばらつきがあります。

事務員が在籍していない事業所では、管理者がレセプト業務を担っている場合も多くあります。

また、管理者がオンコールを毎日担っている事業所もあり、上記の図はほんの一例です。

看護師である管理者は、他のスタッフと同様に「一日中利用者さんの訪問をしたい」と考えることもあるかもしれません。

しかし、訪問看護事業を円滑に運営していくために、スタッフとは異なる管理者にしかできない業務を担う必要もあるのです。

では、訪問看護の管理者が率先して行う必要のある業務を解説していきます。

 

訪問看護の管理者の仕事内容

訪問看護の管理者が率先して行う必要のある業務は、以下の6つが挙げられます。

 

  • スタッフマネジメント
  • ケアの質の管理
  • 経営データ分析
  • 新規利用者対応
  • スケジュール管理
  • 苦情対応

 

次項より詳しく解説していきます。

 

スタッフマネジメント

訪問看護では、2.5人以上の看護師が必要です。

訪問看護の管理者は、スタッフの仕事やそれぞれの役割をマネジメントしていく必要があります。

特に訪問看護に集まる看護師や療法士は、さまざまな現場で働いてきた経緯がある方や、ブランクのある方など一人一人に合った関わり方を求められます。

場合によっては外部または内部の研修を設定したり、定期的に個別面談を行って目標設定していくこともあります。

スタッフマネジメントを効果的に行うためには、まずはスタッフとコミュニケーションを図りスタッフ自身のことをよく知ることが大切です。

管理者は広い目で組織を運営するだけでなく、スタッフが最大限の力を発揮できるよう一人一人の能力を把握する力が必要です。

 

ケアの質の管理

訪問看護では、利用者さんの居宅に看護師または療法士が1人で伺いサービスを提供します。

そのため、実際に行われているサービスやケアの質は管理者が全て把握することは難しいと言えます。

また、前項でもあるようにスタッフ一人一人の能力に差があることが多いです。

管理者は、提供するケアの質の管理を行い、利用者さんに安定的なケアを提供できるよう努める必要があります。

事業所として提供できるケアや不足する知識、技術を洗い出し、ケアの質を統一できるよう研修や同行訪問を行います。

医療は年々進化し、看護技術の基礎も変更されることもあります。

最新の医療や看護の情報にもアンテナを立て、根拠のあるサービスを提供できるよう情報発信する役割も担います。

 

経営データ分析

医療機関や介護施設で勤めていた際にはあまり着目しなかった経営についても情報も、訪問看護の管理者は意識して運営していく必要があります。

訪問看護事業でかかる出費といえば人件費が多くを占めますが、社会保険料、税金、固定費など給与明細に載っている金額以外にもかかるものはたくさんあります。

また、訪問看護での診療報酬や介護報酬が実際に手元に入るまでには2ヶ月ほど期間が空くため、特にオープンしたばかりの頃は経営が難しいのが現状です。

自身の事業所ではどのくらいの訪問を回れば必要な売上に到達するのか、新規利用者さんの獲得に向けどのような取り組みが必要となるのか、など考えることはたくさんあります。

経営者と管理者がそれぞれ異なる訪問看護事業所も少なくないため、雇用されている管理者は経営の詳細に触れないこともあるかもしれません。

しかし、コスト管理を行っていくためにもぜひ経営者と二人三脚で経営について考えていただけるとより事業所の発展につながると思います。

 

新規利用者対応

新規の利用者さんをお迎えするときには、管理者が契約や事業所の説明を行うことが多いです。

もちろんスタッフの方が契約を行う場合もあり、必ず管理者が行わなければいけないという決まりはありません。

しかし、新規利用者さんの開始時は初めてのサービスやこれからの療養生活に対し不安もあることが多いです。

そのため、訪問看護利用開始時には管理者が出向き、どんなことに困っていてどのようなサービスを提供できるのか具体的にお話しすることで安心して訪問看護を利用していただけます。

 

スケジュール管理

訪問看護の管理者は、訪問が円滑に進むようスケジュール管理も行います。

利用者さんの居宅から居宅までの移動時間やルートを考慮するのはもちろんのこと、ケアの重症度も含めてスケジュールを作ります。

利用者さんは他にもサービスを利用していることが多く、スケジュール管理に慣れるまでは難しいと感じるかもしれません。

以下の記事ではスケジュール管理について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

苦情対応

訪問看護の管理者の仕事の一つに、苦情対応があります。

悪気があって行ったことでなくても、結果的に利用者さんに不安や不快な思いをさせてしまうことがあります。

そのような場合には、管理者がきちんと謝罪し、今後の対応をどのようにしていくのか示すことが大切です。

何か事業所として問題点がある際に利用者さんやそのご家族が声を上げるのは、実はほんの一部の場合に限られます。

多くの場合は声を上げずに我慢しているか、他の理由をつけて利用を終了することもあります。

利用者さんやご家族からご意見をいただくことは、事業所のサービスの質を見直すチャンスでもあります。

管理者は謝罪の対応だけでなく、苦情により浮き彫りになった問題とその要因を分析し、事業所のサービス提供を修正・改善します。

失敗は誰にでもあることです。

その後の対応によって、信頼される事業所であるかどうかが判断されるため、管理者は迅速かつ真摯に苦情に向き合う必要があるのです。

 

訪問看護で大切なのはチーム力!

今回は、訪問看護の管理者の仕事内容について詳しく解説しました。

訪問看護の管理者の仕事は、序章で述べたとおり多岐にわたります。

今回紹介した内容は、管理者の仕事の一部であり、管理者が抱えようとするのならば多すぎる業務に疲弊してしまうのは明らかです。

訪問看護の管理者は責任感の強い看護師さんが抜擢されることが多く、責任感が強いが故に自身で抱えすぎてしまう傾向もあります。

訪問看護の管理者を担う際には、他のスタッフに分担できる業務は指揮監督のみとして任せてみることをお勧めします。

そして、管理者が優先して行うべき業務に注力することで事業所は更なる飛躍を望めます。

訪問看護で大切なのは、管理者とスタッフがお互いを理解し助け合うチーム力です。

ぜひ管理者を担う看護師さんは、周囲の人の助けを受け無理なく力を発揮し、より良い事業所を存続して行ってくださいね。

ビジケアでは、全国の訪問看護管理者や経営者が集い、日々お悩み相談をしたり交流をするためのコミュニティがあります。

訪問看護の管理者の皆さんは、1人で悩まずぜひご参加いただければと思います。

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ABOUT US
石澤 明日香
埼玉県在住/看護師/急性期総合病院にて6年勤務後、訪問看護ステーションで5年半勤務。令和4年9月に訪問看護ステーションアスエイドを開設、代表取締役兼管理者を務める。そのほか重度訪問介護事業所にも所属し介護士として障害を抱える方への支援や訪問看護に特化したブログ「ウチくる看護」の運営を行う。/趣味は料理とホームパーティ