病院を退職し、訪問看護に興味はあるけどなかなか一歩が踏み出せなかった私の背中を押してくれたのは、先輩訪問看護師からのこの言葉でした。
今、訪問看護師として働いていて、訪問看護は楽しくて奥が深いと感じています。
次は私が訪問看護に興味がある皆さんの背中を押す番です。
この記事では、訪問看護師が楽しいと感じる瞬間を5つ紹介します。
目次
訪問看護師が楽しいと感じる瞬間
- 利用者さん1人ひとりに向き合うことができる
- 長期的に関わることができる
- 利用者さんの変化を感じることができる
- 利用者さんの意志を尊重することができる
- 訪問中に季節の変化を感じることができる
私が訪問看護を楽しいと感じる瞬間は以上5つです。
1つずつ解説していきます。
利用者さん1人ひとりに向き合うことができる
訪問看護では、利用者さんの話しをゆっくり聞きケアを提供することができます。
病院では、患者さんと話をしていてもナースコールで中断されたり、他の受け持ち患者さんのことが気になって、患者さんとゆっくり話ができないと感じることが多かったです。
訪問看護では、訪問時間は利用者さんと利用者さんの家族に接する時間として使うことができます。
目の前の利用者さんに集中することができるので、体調や日常生活に関することだけでなく様々な話を伺うことが出来ます。
利用者さんの若い頃の話や、趣味の話など雑談のように思える会話の内容から、利用者さんへの理解が深まります。
利用者さんと向き合ってゆっくりと話しを聞くことが出来るのは、訪問看護ならではの楽しさです。
長期的に関わることができる
病院は、入院期間を短縮し早期に退院することを目標としているため、患者さんと関わる時間が数日~数カ月と短くなります。
訪問看護では、長い場合だと年単位で関わることもできます。
1年を通して利用者さんの変化を見ることもできるので、「昨年はこういうことがあったから、今年はここに気を付けましょう。」など長期的な視点で利用者さんに関わることができます。
また、長い期間、定期的に訪問をさせてもらうことで、利用者さんの生活を支える役割を担っていることをより感じることが出来ます。
利用者さんの変化を感じることができる
訪問看護が関わったことで、利用者さんの生活が変わったことを実際に感じることができます。
以下に事例を記載します。
心不全があり、入院を頻回に繰り返していた利用者さん。
訪問看護が介入するようになったことで、体調や体重の変化を定期的に確認できるようになり、利用者さんも浮腫やトイレの回数などを気にして、訪問看護師に伝えてくれるようになった。
体調が悪化する前に医師に報告し、内服薬の調整などができるようになり、入院をせずに過ごすことができた。
家族が入浴を手伝おうとしても、ずっと入浴を拒否していた利用者さん。
訪問看護が介入し、足浴を受け入れてくれるようになった。
足浴に慣れた後、シャワー浴、入浴の順に提案し毎週入浴するようになった。
最終的には、訪問看護師と入浴することを楽しみに待っていてくれるようになった。
関わりを継続することで、利用者さんの変化を感じることが出来ることは、訪問看護の楽しみの1つです。
利用者さんの意志を尊重することが出来る
病院では、治療や入院の目的が達成されることが最優先になるため、利用者さんの意志よりも病院の決まりに従わなければいけないことが多いと思います。
一方で、訪問看護は利用者さんの生活の場に伺うため、利用者さんの「こんな風に生活をしたい」という希望を一番に尊重して看護を提供することができます。
以下に事例を紹介します。
終末期の利用者さん。
最期を自宅で過ごしたいと希望され、病院から退院し訪問看護が介入することになった。
お風呂が大好きだった方で、退院したら入浴をしたいと希望があった。
初回訪問時から、血圧が低くバイタルサインが不安定だったが、入浴をきっかけに体調が急変する可能性を説明したうえで、訪問入浴とともに入浴介助を行った。
利用者さん、ご家族ともに、とても喜んでくれたことが印象に残った。
入浴の翌日にお亡くなりになっため、最後の入浴の希望を叶えることができた経験だった。
利用者さんの意志を尊重しながら、医療従事者としてのアドバイスを伝えるには工夫が必要な時もあります。
その一方で、信頼関係を築きこちらの提案を受け入れてもらえた時の喜びはとても大きいです。
季節の変化を感じることができる
訪問看護では、訪問の移動中に季節の変化を感じることができます。
病院勤務時は、勤務中に外出することがなかったので、天気や気温の変化を気にすることはあまりありませんでした。
雨の日や寒い季節の自転車移動は大変ですが、道端に咲く花や木々が色づいていく様子など、外の景色を見られることは訪問の合間のリフレッシュになります。
リハビリで屋外歩行などを行っている利用者さんは、雨の日は外出が出来ないため、室内で出来るリハビリを行います。
天気や外の気温に合わせた看護が提供できるところも訪問看護の楽しさの1つです。
訪問看護を楽しむために大切なこと
訪問看護師が楽しいと思える瞬間を5つ紹介しました。
どんな仕事も楽しいことばかりでなく大変なことがあるように、訪問看護ももちろん楽しいことばかりではありません。
私は、訪問看護を楽しむためには、利用者さんを理解したいという気持ちを持つことが大切だと思っています。
利用者さんが、今まで生きてきた歴史や生活の背景、家族との関係や今の生活をどう思っているのかなど、様々な情報を知ることで、より利用者さんに合った看護が提供できます。
1人1人に寄り添った看護をしたいと考えている方は、訪問看護で難しさや大変さを超える楽しさを感じてもらえると思います。
ビジケアでは訪問看護での悩みや困ったことの解決のきっかけになる記事もたくさん掲載しています。
訪問看護は楽しい!と思える訪問看護師さんがどんどん増えていくことを願っています。