このような疑問をもたれたことはありませんか?
近年、在宅で最期を迎える方も増えてきており、エンゼルケアは訪問看護において必須のケアといえるでしょう。
訪問看護の医療保険、介護保険の料金は一律どこの事業所も同じですが、エンゼルケア料金は事業所によって違います。
訪問看護のエンゼルケア料金の相場やなぜ事業所によってエンゼルケア料金が違うのかなど、エンゼルケア料金に関するあれこれについて解説していきます。
これから訪問看護ステーションの開設を考えている方や事業所のエンゼルケア料金設定に悩まれている方は、参考にしていただける内容となっています。
それでは解説していきます!
目次
訪問看護のエンゼルケア料金の相場は?
病院では看護師がエンゼルケアを行うことが多いですが、在宅では葬儀屋か訪問看護師がエンゼルケアを行う場合が多いです。
では、葬儀屋と訪問看護でエンゼルケアの料金に違いがあるのでしょうか?
エンゼルケアの料金は、葬儀屋は5万円~20万円とプランにより金額の差があるのに対して、訪問看護では1~2万円で設定している事業所が多いようです。
葬儀屋と比べると訪問看護の方が安めといえますね。
では、訪問看護のエンゼルケアはどのようなことをしているのでしょうか?
次に、訪問看護のエンゼルケアについて説明します。
訪問看護のエンゼルケア
利用者さんの死後は、ご家族や近親者から訪問看護師でのエンゼルケアを希望されれば訪問時にそのままエンゼルケアを行います。
エンゼルケアとは?
エンゼルケアは死後に行う処置のことで、「逝去時ケア」とも呼ばれています。
亡くなった利用者さんはセルフケアを行えないため、ご本人に代わり周りの人がセルフケアを行います。
長い闘病や医療処置の関係で、利用者さんの容貌が生前の状態と比べ大きく変わっていることもあります。
なるべく生前の利用者さんらしさに配慮し、美しい容貌に整えます。
利用者さんの死後に、ご家族や近親者の希望に沿いながら次のようなケアを行います。
- 医療機器の抜去や創傷の処置
- 内容物・排泄物の排出
- 全身の保清や洗髪
- 着せてあげたい衣服への着替え
- ひげ剃りやエンゼルメイク
- 身体の冷却
など
訪問看護のエンゼルケアでは、なるべく療養生活を支えてこられたご家族や近親者と一緒に行うことが望ましいでしょう。
それは、一緒にご遺体のケアを行うことでご家族や近親者のグリーフケアにもなるからです。
エンゼルケアは関わりのあった方が心の整理を行う場でもありますので、訪問看護師はご家族や近親者に寄り添いながら利用者さんを偲び労り、心の支援を行います。
グリーフケアとは
死別を経験しますと、しらずしらずに亡くなった人を思い慕う気持ちを中心に湧き起こる感情・情緒に心が占有されそうな自分に気づきます(喪失に関係するさまざまな思い:「喪失」としてまとめます)。
また一方で死別という現実に対応して、この窮地をなんとかしようと努力を試みています(現実に対応しようとする思い「立ち直りの思い」としてまとめます)。
この共存する二つの間で揺れ動き、なんとも不安定な状態となります。同時に身体上にも不愉快な反応・違和感を経験します。これらを「グリーフ」と言います。
グリーフの時期には「自分とは何か」「死とは…」「死者とは…」など実存への問いかけをも行っています。
このような状態にある人に、さりげなく寄り添い、援助することを「グリーフケア」と言います。
(グリーフケア協会より引用)
訪問看護師の役割
エンゼルケアにおいて、訪問看護師は次のような役割があります。
- 亡くなった利用者さんの尊厳を守る
- 感染予防
- 遺されたご家族が死別の悲嘆のプロセスを正常に辿れることを支援する
利用者さんの死後は、漏出する血液や体液や排泄物などでご家族や近親者が感染しないよう処置をすることがまず重要になります。
一緒に療養生活を過ごされてきたご家族や近親者にとって、利用者さんとの死別はとても辛いものです。
ご家族やケアに関わってきた人たちとエンゼルケアを行うことで、利用者さんの生前の面影や意向を尊重しながら感謝や労いの気持ちを確認し、死を受け入れるサポートになります。
エンゼルケアは、利用者さんが関わってきた人たちへのグリーフケアの意味合いが強く、非常に専門性の高いケアといえますね。
エンゼルケア料金は保険適応か?
訪問看護は医療保険と介護保険適応ですが、エンゼルケアは利用者さんが亡くなった後のケアとなるため介護保険や医療保険の適応にはなりません。
介護保険や医療保険対応にならないということは、訪問看護のエンゼルケア料金は自費となります。
エンゼルケア料金は事業所ごとに設定してもよいことになっていますので、事業所によって料金が違います。
詳しくは厚生労働省の「指定訪問看護等と連続して行われる死後の処置の取扱いについて」をご参照ください。
エンゼルケアは課税?非課税?
訪問看護で適応される介護保険と医療保険は非課税です。
では、エンゼルケア料金は課税なのか非課税なのかどっちなのでしょう?
答えは、訪問看護のエンゼルケア料金は課税対象です。
エンゼルケアは、亡くなった方のケアとなるため医療保険も介護保険も適応外となり自費となるため、エンゼルケア料金には消費税がかかります。
利用者さんのご家族はエンゼルケア料金について分かりづらいと思いますので、看取りの話が出た際や契約時にはきちんと説明をしておくことをおすすめします。
のちのちトラブルにならないようにしておきましょう。
訪問看護エンゼルケアQ&A
Q【その他の利用料等を請求する時の消費税の取り扱いについて】
以下のものは非課税、課税のどちらにあたるのか。
① 医療保険による訪問看護の休日料金
② 医療保険による訪問看護の時間超過のオプション料金
③ 在宅人工呼吸器使用患者支援事業による訪問看護
④ 死後の処置費用
⑤ グループホームとの委託契約料
A①②③ 非課税、 ④⑤ 課税
[2021年度版 訪問看護関連報酬・請求ガイド]
(熊本県看護協会より引用)
まとめ
今回は「訪問看護のエンゼルケア料金」について解説しました。
この記事のまとめは次の通りです。
- 訪問看護のエンゼルケア料金の相場は1~2万円
- 葬儀屋のエンゼルケア料金よりも安め
- エンゼルケア料金は事業所で自由に設定してもよい
- 訪問看護のエンゼルケアは保険適応外なので全額自己負担(自費)
- エンゼルケアは課税対象である
エンゼルケアは、在宅の現場ではよくあるケアのひとつです。
訪問看護師は、ご家族や近親者にエンゼルケアの必要性や料金についてきちんと説明ができるように、エンゼルケアの料金についてぜひ知っておきましょう!