前回はリテンションマネジメントとは何か、人事管理上の大切さについてご説明しました。
社会環境が変化し、これまでの雇用関係とは変わってきていること、職員に働いてもらうということで具体的に事業にもたらすメリットについてがご理解いただけたかと思います。

目次
リテンション対策のポイント
具体的なリテンションのイメージを描いていただくために、どういったところを着目していけばよいのでしょうか。
訪問看護事業にどのように応用していけばよいかなども交えながらご説明していきます。
①職員それぞれに役割と責任を持たせること
毎日同じ業務が継続するよりも、自分自身で考え、進め・改善していく役割や権限を与えることによって従業員は、やりがいを持ちます。
例えば在庫管理において、数の管理のみでなく、新しい物品の導入についての相談窓口になってもらったり、予算についての権限を一部与えたりしてもよいでしょう。
外部とのやり取りにそれぞれリーダーや担当を付けてもいいでしょうし、勤務表作成なども中堅クラスには順番に担ってもらってもよいかもしれません。
単純作業よりも、考えて行動する、という役割を与えることがよいでしょう。
そしてもう一つ重要なのはそれを適正に評価していくことです。
他者、特に上司から評価されることは、仕事への満足感に大きく影響し、自分が組織へしっかりコミットメントしているという意識を向上させます。
役割をしっかりとこなしてもらうことも大切ですが、慣れないうちは、”役割を果たそうとする意識”にも評価を付けていきましょう。
②「1on1」を実施する
職員一人ひとりの成長に向き合うために、管理者と職員が1対1で対話できる場を設け、相談や意見交換を可能にすることが有効です。
上司が自分の事を理解してくれている、見てくれている、ということは離職防止につながりますし、管理者自体が職員の事を深く理解することに繋がります。
長所、短所を知ることで、個々の能力を活かし、適正な配置や役割分担ができるようになります。
どのような目標を持っているか、どのような看護師、セラピストになりたいと感じているかをうまく聴き取りましょう。
③社内のコミュニケーションの充実
事業を行っていく中で人間関係の問題は切り離せないもの。
管理者との1on1だけでなく、職員同士のコミュニケーションの場を設けましょう。
職員同士のコミュニケーションが取りやすく、行き違いが起こりにくい職場には活気があり、離職が少ないです。
上下関係をあまり意識しすぎず、チームワークのよい職場では人が育ちやすくなりますので、次世代のリーダーを育成することもできます。
自立を促す関わりをできるような体制にしていきましょう。
それぞれの職場の状況に合わせて、定期的な勉強会を当番制で行ったり、症例検討、ミーティングに参加しやすい環境、意見が言いやすい環境を整えることなどができるのではないでしょうか。
④仕事の成果や労働に応じた「対価」の明確化
リテンションマネジメントにおいて役割を与えると同時に重要なのは、その対価を与えること。
訪問看護でいえば、訪問件数や新規の依頼獲得数、またリファラル採用等で成果を数字で表すこと、そして、定期的な人事考課で、評価しましょう。
目に見える数字での評価はさらによいパフォーマンスを出してくれることに繋がります。
そのためには一般的な同業種、競合他社の現状を理解しておくことが大切です。
オリジナリティのある評価方法や手当なども魅力となるでしょう。
⑤職員のチャレンジを推奨・応援する
転職する人の4割近くは、”キャリアアップのため” や “やりたいことがある”を転職理由にあげているといいます。
満足感を得られないため転職を考え、転職先には求めていることがある程度はっきりしています。
こんな看護をしたい、こんなリハビリテーションで生活を豊かにしたいなどという強い思いを持っている人には、可能な限りサポートしていきましょう。
最近では、「副業を認めない企業には行かない」という人が増えており、本業に影響が出ない程度の副業の緩和や柔軟な対応は必要となっています。
キャリアパスを明示して、職員はやりたいことを実現できるという会社側の意思表示により、職員が自分の将来の姿をイメージしやすくすることで、働き続けようという意欲を持たせます。
研修・教育の機会の充実や、勉強会参加の経費補助などの提供もあるとよいでしょう。
リテンションマネジメントは必要不可欠
給与面も申し分なく、残業も少なく、福利厚生も整っており、人間関係も良好で、やりたいポジションに付けていてある程度の裁量を持つことができている職場。

安定して余裕を持った経営を続けていくためには、ご自身の「理想の会社」に近づけていくことが重要です。
リテンション対策を行う際、事業としての規模やステージ、そして個々の職員ごとに合った施策を用意しておく必要があります。
すべての環境を一度に整えることは難しいかもしれませんが、徐々に実現しけると、今度は経営側がいいスタッフを「選ぶ」立場になる事ができます。
従業員に退職せずに、気持ちよく長く会社で働いてもらうためにはどんなことが必要か、今、労働者が何を求めて仕事をしているのか、リテンションマネジメントの視点を持って考えてみましょう。

























後編の今回は、実際の訪問看護の人事管理においてのリテンションマネジメントのポイントについてご紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。