今回は、小児の発達段階の中から「幼児期(1歳頃〜6歳頃)」に焦点を当て、その特徴と関わり方について詳しく解説していきます。
人間としての成長が著しい「幼児期」とは?
まず、幼児期とは一般的に1歳頃から小学校に入学する6歳頃までの期間を指します。
今回はこの幼児期を「前期」と「後期」に分けて、それぞれの特徴と関わり方のポイントを解説していきます。
この記事を通して、子どもたちの心と体の成長を理解し、日々のケアに活かせるヒントをお伝えできればと思います。
目次
幼児期前期(1歳~3歳頃)
この時期は、まだまだ親の存在を必要としながらも、自分の足で自由に歩き、言葉を話し始め、人間としての基礎が驚くべきスピードで築かれていきます。
できることが飛躍的に増え、活動性や好奇心が高まる中で「〇〇したい!」という自我が芽生えるのが大きな特徴です。
また、保育園や幼稚園といった家庭外の社会へと人間関係を広げ、自我と社会性を同時に育てていく、非常に重要な時期と言えます。
この時期の子どもたちを理解する上で最も大切なキーワードは、「誇り高き幼児期」であるということです。
見た目に影響されやすく、他者の視点に立って物事を考えることがまだ難しいため、「自己中心性」が強く現れるのです。
認知的発達
認知的発達の面では、「象徴的思考」によって周りの世界を認識できるようになります。
これは、今目の前にないものでも頭の中でイメージしたり、別の物で置き換えたりする力のことです。
この力が発達する結果として、
- 泥団子をハンバーグに見立てて遊ぶ
- 頭を傾けて、眠ったふりをする
- 絵を描く
といった「ごっこ遊び」や「絵を描く」が可能になります。
言語の面でも、1歳頃に意味のある言葉が出現し、1歳半には「ワンワン、きた」のような二語文、2歳頃には三語文以上の文章を話せるようになっていきます。
心理社会的発達
心理社会的発達の側面では、幼児前期は「自律性 対 恥・疑惑」の段階にあります。
- 自由に歩ける
- おむつがとれる
- スプーンで食べられる
など、「自分でできること」が増える時期で、この「自分自身を自由にコントロールできる感覚」が、子どもの「自律性」につながっていきます。
自分がイメージした通りに体を動かすことができ、そのことを周りの大人に認められる成功体験が、子どもに安心感を与え、自律性を健やかに育むことができます。
失敗を強調されたり、厳しく叱られたりすると、子どもは自分の能力に自信が持てず、「恥」や「疑惑」を感じてしまいます。
幼児前期では温かく見守り、サポートすることが重要です。
発達の面の大きな変化
この時期では「認知の発達(ものの見方や考え方)」は、感覚や運動を通じて物事を理解する段階から、自分の頭の中でイメージしたり、操作したりする段階へと進んでいきます。
また、「心の発達(心理・社会的な発達)」では、“自立性”と“恥や疑い”の間で揺れ動く時期になります。
この時期、子どもは「自分でやってみたい!」という気持ちが強くなりますが、それがうまくいかないと、恥ずかしさや「自分にはできないかも…」という疑いの気持ちを持ってしまうことがあります。
自分で行動し、それを周りの大人に認めてもらえると、安心して「自分でやりたい」という気持ち(自立性)を伸ばしていけるといった点が挙げられます。
- なんでも自分でやりたい」
- 「でもうまくできない」
- 「だから嫌!」
という状態になるのは、自立性が芽生え始めている証拠です。
この時期に周りの大人がうまくサポートして、子どもが「できた!」という成功体験を積めるようにしてあげると、自立性がどんどん育ち、次の発達段階である「自主性(自分から行動する力)」へとつながっていきます。
保護者や周囲の大人が、子どもが安心して「やってみたい!」と思えるような環境を整えてあげましょう。
幼児後期(3歳~6歳頃)
幼児後期になると、認知の面で「全操作期」に入り、心理社会的発達は「自主性 対 罪悪感」の段階へと移っていきます。
育まれた自律性を土台に、「〇〇してみたい!」と自ら目標を持って取り組む「自主性」がテーマとなる時期です。
遊びの時期
この時期は「遊びの時期」とも言われ、子どもたちは遊びに没頭します。
その中で想像力を膨らませ、自由な発想で行動することが、自主性を育む上で非常に大切です。
例えば、子どもが青い色の桜や、紫色の桜の絵を描いたとします。
ここで「そんな色の桜はないんだよ」と事実を伝えて否定してしまうと、どうなるでしょうか。
子どもは自分の行動が抑制されたと感じ、「絵を描くこと自体が嫌い」になってしまうかもしれません。
自己中心的な側面
一方で、まだまだ自己中心的な側面も残っており、集団生活の中では友達とのおもちゃの取り合いや喧嘩など、トラブルも多く見られます。
大切なのは、まず子どもの気持ちを大人が言葉で代弁し、受け止めてあげることです。
「このおもちゃで遊びたかったんだよね」と、叱る前にまず子どもの気持ちに寄り添ってあげます。
その上で、「でも、〇〇ちゃんも使いたかったみたいだよ。どうしようか?」と一緒に考える姿勢を見せることが、子どもの社会性の発達をサポートします。
幼児期との関わり方5つのポイント
幼児期の子どもたちと関わる上での重要なポイントを5つご紹介します。
①親が最大限に子供と関われるように配慮する
幼児期は、まだ親の存在が子どもの心の安定に不可欠です。
訪問の際には、ケアを行うだけでなく、親子の関係性が良好か、親が子どもと関わる時間を十分に持てているかといった視点でアセスメントすることが大切です。
②養育環境をできるだけ安全で、子供に身近で優しいものにする
子どもが過ごす環境が、物理的に安全であることはもちろん、精神的にも「居心地が良い」かどうかが重要です。
例えば、おもちゃがあるか、部屋の雰囲気は明るいかなど、子どもが安心して過ごせる環境かどうかを確認しましょう。
③子供の気持ちを代弁し、受け止める
これは幼児期全般を通じて最も重要な関わり方です。
ケアを嫌がった時には、「まだ遊びたかったんだよね」とまず気持ちを受け止める。
その上で、「このガーゼ交換が終わったら、また一緒に遊ぼうね」というように、見通しを伝えてあげると、子どもは安心して次の行動に移りやすくなります。
④子供自身が選ぶ機会を用意する
「誇り高き幼児」である子どもたちにとって、「自分で選ぶ」という行為は、自分が尊重されていると感じるための非常に重要な体験です。
この工夫一つで、ケアへの協力度が格段に上がることがあります。
⑤遊びなどを取り入れて正しい情報を伝える(プレパレーション)
なぜこの処置が必要なのか、なぜこの薬を飲まなくてはいけないのか。
子どもに伝える必要があるときは、言葉だけで説明するのではなく、遊びを通して伝えるのが効果的です。
まとめ
今回は、1歳から6歳までの「幼児期」について、前期・後期に分けてお話しさせていただきました。
発達段階が目まぐるしく変化する時期ですが、この時期の特徴を理解し、それに応じた関わりを持つことで、子どもの成長をよりサポートすることができます。
関わり方の5つのポイントにも注意しながら、関わっていきましょう。
ぜひ、今回の内容を日々の訪問看護に活かしていただけると嬉しいです。
動画で勉強する




















