今回は、「小児の発達段階の特徴と関わり」について「学童期」と「思春期・青年期」に焦点を当てて解説していきます。
それぞれの時期の子どもたちがどのような発達を遂げ、私たちがどのように関わっていくべきかを詳しく説明していきます。
目次
学童期とは?
学童期とは、小学校に入学する6歳頃から、第二次性徴が現れる12歳頃までの期間を指します。
この時期は、子どもたちの生活の中心が家庭から学校へと移り、仲間との集団活動を通して多くのことを学んでいきます。
読み書きや計算、多様な運動能力といった社会生活に必要な基礎的能力を獲得すると同時に、社会性や道徳性も育んでいく非常に重要な時期です。
親から少しずつ自立し始め、仲間や社会の中で「自分」という存在を意識するようになります。
社会との繋がりを通して、さらにパーソナリティを獲得していく時期です。
認知的発達
この時期の認知的な発達段階は「具体的操作期」にあたり、論理的な思考が可能になってきます。
特徴は、見た目に左右されることなく、頭の中で物事をイメージして、ある程度の推論ができるようになります。
例えば、同じ量の水が入ったコップを、形の違う別のコップに移し替えたとき、学童期の子どもは、見た目が変わっても「水の量は変わらない」ということを論理的に理解できます。
これを「保存の概念」と言います。
心理社会的発達
エリクソンの発達課題では、この時期は「勤勉性 対 劣等感」となります。
学校という社会の中で、子どもたちは集団生活を通してスポーツや芸術、規則正しい生活など、さまざまなことを学びます。
テストで良い点を取る、かけっこで一番になるといった成功体験は、自信につながり、より高い目標へのモチベーションとなります。
一方で、仲間との比較の中で「自分は劣っている」と感じたり、競争に負けたりする経験も避けられません。
この「劣等感」とどう向き合っていくかが、この時期の子どもにとって非常に大切な課題となるのです。
ここで重要なのは、結果だけを評価するのではなく、そこに至るまでの過程や努力を認めてあげることです。
「頑張ったね」と声をかけることで、子どもは努力することや挑戦する楽しさを学び、勤勉性を育んでいくことができます。
学童期の関わりポイント
学童期の子どもたちと関わる上で、特に意識していただきたいポイントを5つご紹介します。
1. 学習や運動の機会を最大限に確保する
例えば、入院しているお子さんであっても、学習を継続できる環境を整えることが大切です。
体を動かすことも基礎体力を作る上で重要なので、治療の合間に軽い運動や散歩などを取り入れ、できるだけ機会を確保してあげましょう。
2. 選択肢を用意し、子どもの意思を最大限に尊重する
大人がすべてをリードして決めるのではなく、「AとB、どちらがいい?」「どうしたい?」と選択肢を提示しましょう。
子ども自身の意思を尊重する関わりが自己肯定感を育むことになります。
3. 学校や家族と情報共有し、仲間との繋がりを支える
入院などで学校から離れると、子どもは仲間との繋がりが断たれたように感じてしまいます。
ご家族や学校の先生と連携し、「友達はあなたのことを待っているよ」などのメッセージを伝え、子どもが孤立しないように支えていくことが重要です。
4. 体の仕組みや疾患、治療について本人が理解できるように十分に説明する
この時期の子どもは、ある程度自分でイメージし、論理的に物事を考えられるようになっています。
自分の体や病気、治療について、本人が理解できるよう丁寧に、分かりやすく説明してあげてください。
5. 気持ちを傾聴し、受け止める
入院や治療は、子どもにとって納得のいかないことも多いでしょう。
「辛いね」「寂しいね」と、子どもの今の気持ちをしっかりと聞き、受け止め、時には代弁してあげることで、子どもは安心感を得ることができます。
思春期・青年期とは?
今回は13歳頃から18歳頃までを対象として説明します。
現代の状況に合わせて、今回は「思春期・青年期」として解説します。
この時期は、第二次性徴による身体的な変化が著しく、認知面でも論理的思考が可能になり、大人のレベルに近づいていきます。
「自分とは何か」「自分は何をすべきか」という根源的な問いに直面し、悩みながらその答えを見つけ出していく、非常に心理的に不安定になりやすい時期です。
また、親から自立したい気持ちと、社会的・経済的にはまだ親に依存している現実との狭間で葛藤します。
小児から成人へと移行していく、大切な過渡期と言えるでしょう。
認知的発達
認知的な発達段階は「形式的操作期」へと移行します。
具体的な事柄だけでなく、仮想的な事柄についても推論できるようになります。
言葉だけで仮説を立てて考えたり、過去の経験を活かして理論的に思考したりすることが可能になるのです。
その結果、「人生」「愛」「友情」「道徳」「宗教」といった抽象的なテーマについて深く考えるようになります。
自分が生きる意味や将来への漠然とした不安などの答えのない問いに悩み、関心を持つのがこの時期の大きな特徴です。
心理社会的発達
この時期の最大の課題は「アイデンティティ(自己同一性)の確立」です。
つまり、「自分とは何者で、何をすべきか」を見つけ出すことです。
親から心理的に自立し、社会の中で自分の役割や職業、生き方、価値観を自分自身で模索していき、心理的に不安になる特徴があります。
しかし、この模索がうまくいかず、結論に至らない状態は「モラトリアム(支払猶予期間)」と呼ばれます。
また、模索に伴う不安に耐えきれず、自己決定を回避したり、結論を出すことを放棄してしまったりする状態を「アイデンティティの拡散」と言います。
この不安定な時期、子どもは親に反発する一方で、より親密な友人関係を築き、親に代わる心の支えとすることもあります。
思春期・青年期の関わりポイント
心も体も大人へと近づく一方で、非常にデリケートなこの時期の子どもたちと関わる上でのポイントを5つお伝えします。
1. 同年代の子ども同士の交流を促す
家族との時間も大切ですが、この時期は同じ悩みや関心を持つ同年代との交流が大きな支えになります。
例えば、同じ疾患を持つ同年代の子ども同士が話せる機会を設けるなど、横の繋がりを支援することが非常に重要です。
2. プライバシーに配慮する
第二次性徴による体の変化は非常にデリケートな問題です。
また、親子関係も複雑な時期なので、親には知られたくない悩みや秘密を抱えていることもあります。
関わる際は、身体的なこと、心理的なこと、両面においてプライバシーへの最大限の配慮を忘れないでください。
3. 病気や治療について、一人の大人として対等に説明する
大人と同じような説明が必要になります。
子ども扱いせず、一人の人間として対等に、誠実に説明する姿勢が信頼関係を築きます。
砕けすぎた言葉ではなく、本人が理解できる丁寧な言葉を選びましょう。
4. 選択肢を用意し、自己決定を尊重する
「あなたはどうしたい?」と問いかけ、本人が自分の意思で治療方針などを選択・決定するプロセスを支援することが、アイデンティティの確立に繋がります。
5. 子どもの気持ちを確認してから、親の同席や参加の有無を決める
親は介入したいけれど、子どもは1対1で話したい、というケースは少なくありません。
特に重要な説明(ICなど)の場面では、必ず本人に「お父さんやお母さんと一緒に聞く?」と意向を確認しましょう。
まとめ
今回は小児の発達段階の特徴と関わり、学童期と思春期・青年期について解説させていただきました。
学童期と比較しても、より、本人の意思を尊重し、親御さんと双方の気持ちを理解してあげることが大切になるでしょう。
私が関わったお子さんの中にも、「なぜ人は生きるのか、死ぬのか」を考えて夜も眠れないという子がいました。 彼らは彼らなりに、真剣に悩み、自分という存在を探しています。
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小児看護に携わる上で、発達段階の理解は、子どもたちやご家族と関わるための羅針盤となります。 ぜひ、日々の看護に活かしていただけたら嬉しいです。




















