
訪問看護の利用の新規申し込みは、訪問看護ステーションを運営する管理者、経営者だけでなく一般職員にとってもありがたいものです。
しかし、様々な事情により、手放しで喜ぶことができない場合もあります。
指定訪問看護の運営に関しては、令和2年3月5日に厚生労働省が交付した「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準についての一部を改正する省令」により定められています。
今回は、その省令に記載されている「訪問看護の提供拒否の禁止」について解説していきます。
- 訪問看護の新規申し込みを断りたい時とは?
- 訪問看護は提供拒否の禁止!?
- 訪問看護の提供を拒否できる理由とは?
- 訪問看護の提供が困難な場合の対応は?
- お断りする際には真摯な対応を
- 他事業所を紹介する時には責任が伴う
- すぐに断らず経験値を積むことも大切
- まとめ
目次
訪問看護の新規申し込みを断りたい時とは?
訪問看護ステーションで順調に新規申し込みが増えていることは、大変喜ばしいことです。
開設当初は新規申し込みの1件1件が貴重であり、申し込みを断ることなんて想像できない管理者さん、経営者さんもいらっしゃると思います。
しかし、新規申し込みが増えてくると出てくるのが、「依頼をお受けできない」という悩みです。
実際によく聞く「新規申し込みを断りたい時」とは、以下のような状況がある時です。
- 医療依存度が高い利用者さんの依頼で、自分たちのステーションでは経験が不足している。
- 全介助の利用者さんの依頼で、他の利用者さんよりも介助量が多い。
- 精神科や小児領域など、看護経験のあるスタッフがいない。
- 訪問枠が埋まっていて訪問できる時間がない。
- 遠方で訪問の移動時間がかかってしまう。
- いわゆる「困難事例」と呼ばれる利用者さんの依頼で、いくつも他ステーションの利用を終了している。
では、訪問看護の申し込み依頼は、事業所側から断ることができるのでしょうか?
訪問看護は提供拒否の禁止!?
前述したとおり、指定訪問看護の運営に関しては、令和2年3月5日に厚生労働省が交付した「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準についての一部を改正する省令」により定められています。
基準第6条は、原則として、利用申込に対しては応じなければならないことを規定したものであり、特に、必要とする療養上の世話の程度が重いことをもって利用を拒否することを禁止するものであること。
このように、訪問看護ステーションへの利用の新規依頼があった場合には、上記の引用のとおり原則として提供拒否は禁止されています。
特に介助量の多い利用者さんの依頼については、それを理由に拒否することはできないと記載されています。
この一文を記載しないといけないほど、介助量の多いことを理由に訪問看護をお断りされるケースがあったということと推察します。
しかし、訪問看護の提供拒否は原則禁止と言っても、状況によっては提供困難な場合もあります。
そのような場合には、訪問看護の提供を拒否することができます。
では、訪問看護の提供を拒否できる正当な理由とは、どのようなものがあるのでしょうか。
訪問看護の提供を拒否できる理由とは?
訪問看護の新規申し込みに対し、以下の理由であれば拒否できると定めています。
利用申込者の病状が重篤なために指定訪問看護ステーションでの対応が困難である場合
利用申込者の居住地と指定訪問看護ステーションの所在地との間が遠距離である場合
指定訪問看護ステーションの看護師等の現員からは利用申込に応じきれない場合
など
厚生労働省の提示では、上記のような場合には「自ら適切に指定訪問看護の提供をすることが困難であると認めた場合についてのみ基準第6条の例外を認める」としています。
つまり、重症な利用者さんに対する看護経験が浅く対応できない場合や、訪問先が遠方であったり人員不足で訪問枠がないなど訪問できる状況にない場合には、訪問看護の提供を拒否できるということです。
訪問看護の提供が困難な場合の対応は?
前項に記載したとおり、訪問看護は正当な理由があれば提供の拒否が可能です。
ただし、訪問看護の提供を拒否する場合には、以下のような対応が求められます。
速やかに主治医への連絡を行い、適当な他の指定訪問看護事業者を紹介する等の必要な措置を講じなければならないものであること。
このように、新規申し込みを断る際にもいくつかポイントがありますのでご紹介します。
お断りする際には真摯な対応を
主治医への連絡については、訪問看護指示書が交付されている場合に訪問看護の提供が困難であると判断された際には早急に行う必要があります。
ケアマネジャーや医療相談員からの新規申し込み相談の時点で受け入れが困難であるとわかった場合には、自身のできる範囲で近隣の訪問看護ステーションを紹介しましょう。
受け入れを拒否するばかりでは、その後の新規申し込みが途絶えてしまっても仕方ありません。
お断りをする際にも丁寧、親切、真摯に対応することで、時期をおいて他の新規申し込みを相談いただけることもあります。
他事業所を紹介する時には責任が伴う
近隣の訪問看護ステーションを紹介する際には、自信を持って紹介できる事業所を選定してください。
交流のない事業所や自分が知らない事業所を無責任に紹介してしまうと、場合によっては自身の事業所の信用を落とすことにもつながります。
日頃からの横のつながりを大切に、近隣の訪問看護ステーションとの交流を持っておくと安心です。
すぐに断らず経験値を積むことも大切
難しい医療処置や重度の利用者さんの依頼申し込みに対し、開設したばかりで自身の事業所では対応困難との理由でお断りすることもあるかもしれません。
そのような時には、他の訪問看護ステーションと共同して支援する方法もあります。
条件にもよりますが、2事業所以上で介入できる場合には他ステーションに助言をもらいながら経験を積むこともできます。
すぐに断るのではなく、一度立ち止まって近隣の訪問看護ステーションに相談してみてください。
まとめ
今回は、訪問看護の提供拒否の禁止と、対応困難な場合に拒否できる理由をお伝えしました。
新規申し込みは、あなたの訪問看護ステーションを信頼し、期待しているからいただけるものです。
万が一期待に応えられない場合にも、ぜひ最後まで丁寧に対応してくださいね。

























訪問看護の新規申し込みがあった場合、断ることはできますか?
それとも、依頼があったら必ず引き受けなくてはいけませんか?