このような疑問を解決する記事です。
訪問看護で働き始めたばかりの頃は、わからないことが本当に多いと思います。
利用者さんの訪問の回数についても、週に何回訪問するのかを誰がどのように決めるのか、疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ルールがあるのなら、知っておいた方がスムーズに業務に当たることができますよね。
当記事では、訪問看護の回数は誰がどのように決めるのかについて解説します。
最後まで読めば、訪問回数の決め方や、利用する保険が介護保険なのか医療保険なのかによっても違うこと等を理解することができます。
気になるあなたはぜひ最後まで読んでみてくださいね。
ではさっそく解説します。
目次
訪問看護の回数は誰が決める?
「訪問看護の回数は誰が決める?」
これについての回答は以下です。
- 利用する保険が介護保険か医療保険かによって変わる
- 介護保険の場合も、医療保険の場合も、制度に則った上で利用者さんの状態や希望に合わせて決める
訪問看護は、看護師等が利用者さんの居宅を訪問して行う看護のことです。
対象者は、赤ちゃんから高齢者まで、訪問看護を必要とするすべての方となります。
訪問看護を受けることができる方は、主治医が訪問看護の必要性を認めた場合に限られ、主治医からの「訪問看護指示書」が必要不可欠となります。
訪問看護を利用するにあたっては国の保険制度が活用され、その主な保険制度は以下の2つになります。
- 介護保険
- 医療保険
どちらの保険を活用して訪問看護を利用するかによって、週に何回訪問できるか、回数の決まりも変わってきます。
介護保険による訪問看護|回数等の詳細
介護保険を活用しての訪問看護の場合、訪問回数に関しては以下のようになります。
回数制限は特にないが、要介護度別の利用限度額があるため、それを考慮しつつ、利用者さん・ご家族の希望、医師・訪問看護師等の意見を参考に、ケアマネジャーが調整を行う。
要介護または要支援の認定を受けた方で、主治医が訪問看護の必要性を認めた者
- 第1号被保険者(65歳以上)
- 第2号被保険者(40歳以上65歳未満)で加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する16特定疾病がある人
- がん(がん末期)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化性
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護保険を活用して訪問看護を受ける場合、週に何回利用できるかという回数制限は、特に定められていません。
しかし制限がないとは言え、介護保険では要介護度別に利用限度額が定められているため、利用限度額内でおさめるためには、必然的にそれに応じた回数となります。
もし訪問看護の回数が利用限度額を超えた場合は、自費での負担となります。
介護保険サービスを利用するためには、ケアマネジャーがケアプランを作成し、サービスの調整をする必要があります。
利用者さんやご家族としても「これくらいの頻度で訪問に来てほしい」という希望があることもあります。
ですので、介護保険を活用しての訪問看護では、要介護度別の利用限度額を考慮しつつ、利用者さん・ご家族の希望、医師・訪問看護師等の意見も参考に、ケアマネジャーが回数の調整を行います。
医療保険による訪問看護|回数等の詳細
医療保険を活用しての訪問看護の場合、訪問回数に関しては以下のようになります。
原則週3回が限度。
ただし、基準告示第2のⅠに規定する疾病等の利用者(※1※2)の場合および、特別訪問看護指示書が交付された場合は、日数の制限はない。
これらを踏まえて、利用者さん・ご家族の希望や、医師・訪問看護師の意見等も参考に調整を行う。
難しいですよね。
医療保険を活用する場合の訪問看護について、もう少し詳細を解説します。
原則、介護保険の要介護者等でない者。
(介護保険未申請・非該当者、64歳までの医療保険加入者で、主治医が訪問看護の必要性を認めた人)
しかし、介護保険の要支援・要介護者でも、以下に該当する人は医療保険の訪問看護の対象者となります。
- 厚生労働大臣が定める疾病等(※1)の人
- 急性増悪等により一時的に頻回の訪問看護が必要であると主治医が認めた人
→主治医が「特別訪問看護指示書」を交付 - 精神疾患を有する利用者またはその家族等に対して「精神科訪問看護指示書」に基づき訪問看護を行った場合
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化性
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患
・進行性核上性麻痺
・大脳皮質基底核変性症
・パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって、生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のものに限る) - 多系統萎縮症
・線条体黒質変性症
・オリーブ橋小脳萎縮症
・シャイ・ドレーガー症候群 - ブリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋委縮症
- 球脊髄性筋委縮症
- 慢性炎症性脱脊髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態
医療保険を活用して訪問看護を利用する場合、原則週3回が限度です。
しかし、例外があり、以下の場合は週3回を超えての訪問が可能です。
- 厚生労働大臣が定める疾病等の利用者(基準告示第2のⅠに規定する疾病等の利用者(※1※2))
- 特別訪問看護指示書の交付を受けた者(※3)
患者の主治医が、診療に基づき、急性増悪等により一時的に頻回(週4日以上)の訪問看護を行う必要性を認め、訪問看護ステーションに対して交付する指示書の交付を受けた者。
【特別訪問看護指示書の交付要件】
- 急性感染症等の急性増悪時
- 末期の悪性腫瘍等以外の終末期
- 退院直後で週4日以上の頻回な訪問看護の必要を認めた場合
【特別訪問看護指示書を月2回交付できる者】
- 気管カニューレを使用している状態にある者
- 真皮を超える褥瘡の状態にある者
もう一度まとめます。
医療保険を活用しての訪問看護の場合、訪問回数に関しては以下のようになります。
原則週3回が限度。
ただし、基準告示第2のⅠに規定する疾病等の利用者(※1※2)の場合および、特別訪問看護指示書が交付された場合は、日数の制限はない。
これらを踏まえて、利用者さん・ご家族の希望や、医師・訪問看護師の意見も参考に調整を行う。
適切な訪問看護回数を決めて看護を提供していこう!
訪問看護で働く際には、介護保険制度や医療保険制度についての理解が必要となるため、覚えるまでは難しいと感じる方も多いと思います。
もう一度、訪問看護の回数は誰が決めるのかについてまとめます。
回数制限は特にないが、要介護度別の利用限度額があるため、それを考慮しつつ、利用者さん・ご家族の希望、医師・訪問看護師等の意見を参考に、ケアマネジャーが調整を行う。
原則週3回が限度。
ただし、基準告示第2のⅠに規定する疾病等の利用者の場合および、特別訪問看護指示書が交付された場合は、日数の制限はない。
これらを踏まえて、利用者さん・ご家族の希望や、医師・訪問看護師の意見も参考に調整を行う。
病気を抱えながらもご自宅で過ごす利用者さんやご家族にとって、訪問看護は非常に心強い存在です。
ルールに則った上で適切な訪問看護回数を調整し、在宅療養の一助となれるとよいですね。
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ともに訪問看護を頑張っていきましょう!
訪問看護に勤めたばかりでわからないことが多いのですが、訪問看護の訪問回数って誰がどのように決めるのでしょうか?