訪問看護を実施している利用者さんが、病状の悪化や治療・療養などのため入院することがあります。
このように、訪問看護指示書の有効期間内であった場合、退院後の訪問看護はそのまま実施してよいのか、訪問看護指示書を再びもらうべきかという疑問が湧くと思います。
そこでこちらの記事では、入院したら訪問看護指示書を再びもらうべきなのか、ケースごとに対応策を挙げてご紹介していきます。
利用者さんが入院した場面でどうすべきか悩まれたときは、ぜひ参考にしてください。
目次
入院したら訪問看護指示書は再びもらうべきか?
入院・退院のそれぞれのケースへの対応をみていきましょう。
訪問看護指示書の有効期間内であれば、そのまま訪問看護を再開することは可能です。
ただし、病状が変化し病名や医師の指示内容に変更がある場合には、再び訪問看護指示書を発行してもらいましょう。
退院が決まった時点で、訪問看護指示書を発行した主治医に入院前の訪問看護指示書通りで再開してよいか確認するのが望ましいでしょう。
レスパイト入院で入院中特段変化がなかった利用者さんなどは、この確認ができれば、入院前の訪問看護指示書に沿って訪問看護を実施できます。
その場合、確認したことをしっかり記録に残しておきましょう。
しかし、入院により利用者さんの病状に変化等があれば、再度訪問看護指示書を発行してもらう必要があります。
なぜなら、入院により病状は変化しており、処方薬や治療方針などが変更になっていることがあるためです。
再度訪問看護指示書を発行してもらう場合には、発行料が発生すること・その必要性について利用者さん・ご家族にしっかり説明しておくことが大切です。
在宅でかかりつけだった元の主治医と別の病院に入院した場合、退院後そのままその病院に通院継続することになる利用者さんもいます。
また、退院後は元の主治医が診療を再開する場合もあります。
いずれのケースも、退院後には入院先の病院の医師から訪問看護指示書を発行してもらいます。
入院先の医師から1~6か月の期間で訪問看護指示書を発行してもらいます。
主治医変更ということになります。
例えば、退院時に入院先の病院の医師から2月10日~3月9日で訪問看護指示書を発行してもらい、2月末に元の主治医に受診し、3月1日~の日付で発行してもらうことも可能です。
同月に2か所から訪問看護指示書は発行できませんが、指示期間が重なっても算定月が別々なら算定可能です。
往診先から訪問看護指示書が発行されることもあります。
そのあたりは、退院前に病院と往診先との相談になります。
利用者さんが入院した時の留意点
利用者さんが入院したら、速やかに「訪問看護サマリー」を作成し提出しましょう。
入院となった病院等に連絡し、どちらに送ればよいかを確認、できれば担当者の方のお名前も確認し送信または送付します。
訪問看護サマリーに盛り込まれる内容は、早い段階で情報提供されることで治療に役立つ貴重な情報です。
訪問看護サマリーは、以下のことに留意して作成しましょう。
- 在宅での疾患の経過をまとめる
- 利用者さんとご家族の希望、治療に対する意向がある場合、その旨情報提供する
- 利用者さんのADL、役割などについて情報提供する
- 入院中でもケアが継続できるよう情報提供をする
- 在宅で利用していた介護サービスについて情報提供する
- 在宅での介護状況、ご家族の役割について情報提供する
利用者さんによっては、退院前に外泊をする場合があります。
入院中に外泊した時にも訪問看護は利用できます。
外泊中に訪問看護を利用する場合には、訪問看護指示書を交付してもらう必要があります。
その訪問看護指示書にもとづいて訪問看護計画書を作成し、訪問看護を実施します。
その時の訪問看護指示書は通常の訪問看護指示書でかまいません。
訪問看護指示書料の算定は、医療機関で入院中の指示も含めて退院時に1回のみ算定できます。
外泊中の訪問看護は医療保険(訪問看護基本療養費(Ⅲ))での提供になります。
特別な関係の医療機関からの外泊でも算定可能です。
外泊中は、介護保険でのサービスを受けることはできません。
そのため、ご自宅での介護についてご家族を含めしっかりと話し合っておく必要があります。
しかし、ご家族の介護だけでは不安な外泊中の生活を在宅ケアのプロである訪問看護師やリハビリセラピストの目線からサポートを受けられることは大きなメリットです。
まとめ
今回は、入院したら訪問看護指示書は再びもらうべきかについて解説しました。
利用者さんが入院した時には、入院した医療機関と速やかにコンタクトを取り、密に連携を図ることが訪問看護師の大切な役割です。
訪問看護指示書に沿って実施する訪問看護では、病状が変化した場合には新たに訪問看護指示書を交付してもらう必要があるため、利用者さんが入院した場面では適切に対応しなければなりません。
入院直後から、医療機関との連携がしっかり取れていれば、退院後に指示が変化する可能性を認識しやすくなります。
それにより、訪問看護指示書の交付依頼をどうすべきか見通すことができます。
「ときどき入院、ほとんど在宅」という地域包括ケアシステム構築に向け、訪問看護には「生活の場での医療・ケア」を支援する役割が求められています。
そのため、入院前・入院時から退院を見据えて、病院等の病棟看護師・退院支援看護師との連携が重要です。
そのために必要な情報を「訪問看護サマリー」として医療機関に提供することが看看連携の鍵になります。
なにより「訪問看護サマリー」により作成者の氏名がわかることで、医療機関の担当看護師が作成者である訪問看護師あてに連絡しやすくなります。
「顔の見える関係」だと連携のしやすさがアップすると言われています。
スムーズに連携により、入院中に病状が変化した場合などの情報を共有し、訪問看護指示書を再びもらうべき状態か、入院前のものを活用できるかの確認でよいか、などの判断につなげましょう。