訪問看護における盛り上がる勉強会のネタ8選!

訪問看護師にとって、継続して学び続けることは大切なことです。

しかし、訪問看護業務と並行して、勉強会の企画や資料作りなどを行う時間を捻出することは、学習会担当をされている方にとって悩ましいことではないでしょうか。

そこでこちらの記事では、訪問看護における盛り上がる勉強会のネタ8選を紹介します。

勉強会の資料作りや自分が講師になるメリットについても知っていただけると幸いです。

 

訪問看護における盛り上がる勉強会のネタ8選

訪問看護師として訪問する中で不安に感じることは、一人で判断し一人で実践できるか、という点にまつわることだと思います。

その視点から、知識・技術として押さえておきたい内容を訪問看護師は求めています。

そこで、以下に盛り上がる勉強会ネタ8選をあげました。

 

  1. フィジカルアセスメント
  2. 在宅看取り
  3. 褥瘡ケア、ストーマケア
  4. 小児訪問看護でのケアや制度、ステーションの役割
  5. 認知症ケア
  6. リンパマッサージ、フットケア、爪切り
  7. 在宅で使う医療機器
  8. 感染対策、感染管理

 

それぞれについて解説していきます。

 

フィジカルアセスメント

 

訪問看護師にとって不安なことの中に「一人で判断する」ことがあるのではないでしょうか。

フィジカルアセスメントの勉強会は、訪問看護ステーション全体で、困ったときに取るべき行動について意思統一できる場になります。

訪問看護師には同じ悩みを持つスタッフが多いと思いますので、スタッフ間の協力体制の強化にもつながります。

また、訪問看護師にとって大きな不安・心理的な負担となりがちな緊急時対応の場面に対しても、必ず役立つ勉強会です。

フィジカルアセスメントは、症状や病態ごとに分けて行い、1回の勉強会の企画や準備の負担が少なく、継続して行っていくことがポイントです。

 

在宅看取り

現在、死因の第5位が「老衰」となっています。

これは、在宅死が増えていることを意味しています。

これまで長く病院で死ぬ時代が続いたため、多くの利用者さん・ご家族にとって死は非日常のものでした。

しかしその反面、多くの人が住み慣れた自宅で安らかに逝くことを望んでいます。

訪問看護師の支援を受け、利用者さん・ご家族は在宅で看取られる・看取るという希望を叶えることができますので、看取りへの寄り添いについて学び考え続けることは大切なことです。

訪問看護師は、主治医と連携し薬剤投与などの直接的な対応を行いますが、ご自宅でお世話をするご家族も、利用者さんに対し「何か自分ができることはないだろうか?」といつも思っています。

勉強会で安楽や緩和のためのケアについて学びを深めることは、不安を抱えたご家族と関わる場面で、状況に合った支援をすることにつなげられます。

利用者さんにご家族がしてあげられる安楽への援助について指導し、ご家族が実際に行うことができることは、残された時間の大切な思い出になります。

 

褥瘡ケア、ストーマケア

褥瘡の発見・観察・処置の実施やストーマケアは、在宅支援の中で訪問看護師に期待される大きな役割です。

医療機関の医師や看護師が頼れるのは、訪問看護師なのです。

褥瘡ケアについては、使われる外用薬や被覆材・被覆方法がタイムリーに評価・考察・刷新されているため、常にアンテナを張り、タイムリーな勉強会開催が業務に役立ちます。

ストーマケアについても同様のことが言えます。

かかりつけ医療機関の医師や創傷ケア認定看護師と密に情報交換し、日常的に連携していくことで、レクチャーされた手順や資料が、訪問看護ステーション内での勉強会につながります。

 

小児訪問看護でのケアや制度、ステーションの役割

 

重度障がい児者の在宅ケアのニーズは年々増加している反面、小児訪問看護に対応可能な訪問看護ステーションは少ないのが現状です。

重度の障がい児者の看護経験がある看護師は比較的少ないですし、経験がない看護師は小児訪問看護に怖さを感じることも多いのが現実です。

小児看護の経験者がいる訪問看護ステーションでは、経験者が中心となってケアに入っていくと思いますが、その一人だけに偏るのも事業所としては健全ではありません。

そのため訪問看護ステーション内で、小児訪問看護ケアのポイントや具体例などを経験者から勉強会としてレクチャーを受ける場をもつことはとても有意義です。

経験者がいない訪問看護ステーションでは、経験のない訪問看護師の学ぶ機会づくりを考えていくことが必要です。

看護協会等で訪問看護小児分野の研修を受講したり、NICUのある病院での実習を計画してもらうなど、地域の訪問看護ステーション同士で話し合ってみましょう。

 

認知症ケア

訪問看護の利用者さんには、認知症と診断されている方や認知症と診断されていなくても認知機能の低下を認める方が多くいます。

そして、今後も高齢者数の増加とともに認知症を抱える方は増えていくことが見込まれています。

認知症を持ちながら在宅生活を送られる方に対する関わりは、訪問看護師の腕の見せ所です。

しかし、認知症のある利用者さんとの関わりに苦手意識を持つ人も少なくありません。

認知症の症状は、周りの関わりにより良くなることも悪くなることもあります。

認知症のある方は、わからないことやできないことが増え、不安な気持ちを抱えています。

そのような利用者さんの状態や特性を理解し、関わり方について学びを深めることが大切です。

訪問看護ステーション内で複数回に分けて勉強会を企画し、具体的な事例検討などを行うと、認知症の方に関わるスタッフの自信につながると思います。

 

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リンパマッサージ、フットケア、爪切り

訪問看護師による在宅療養高齢者へのフットケアは、関わる機会の多いケアのひとつです。

 

引用)日本フットケア学会雑誌2019:17(4);175-180

わが国の少なくとも半数以上が足部に問題を抱えていると言われているなか、要介護認定者の急増を背景に、高齢者を中心とした在宅療養者のフットケアに関する研究報告が増加している。

 

訪問看護師の中でも、糖尿病看護認定看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師、日本フットケア学会認定フットケア指導士など、フットケアに関係する資格保有者が多数活躍しています。

足の観察とケアにより、痛みが軽減したり、立位のバランスの改善や歩行機能の維持・向上につながるため、介護予防や要介護の進行予防になります。

フットケアや爪切りは、知識として学ぶことと技術として学ぶことがあるので、勉強会は複数回に分けて、実際にスタッフが実践できる場を作ると実りあるものになります。

 

訪問看護と爪
フットケア

 

浮腫に対して訪問看護師が用手的リンパドレナージ・圧迫療法・スキンケアなどを行う機会は多いです。

浮腫の定義と発生要因・アセスメントについての勉強から、ケアの実際についての勉強会は、日々のケアに活かすことができ、利用者さんの苦痛緩和に役立ちます。

外部講師を依頼したり、研修に参加したスタッフが勉強会を開催し、全スタッフと共有すると、訪問看護ステーションのアセスメント・ケア実践能力がぐんと高まります。

研修に参加した際の資料をもとに伝達講習の形で勉強会を行うと、資料作りが楽というだけでなく、講師を行うスタッフにとり、人に何かを「教える」ことが、上質な学習機会となります。

 

在宅で使う医療機器

 

人工呼吸器、カフマシーン、HOT、エアマット、輸液ポンプ、シリンジポンプ等の医療機器についての勉強会も、定期的に行うことをおすすめします。

医療機器を必要とする場面は、利用者さんの病状によって急遽決定することが多いので、いつでも取り扱うことができるよう、知識として得ておくことが大切です。

勉強会の講師は、医療機器業者の担当者さんなどに依頼することが望ましいです。

医療機器業者の担当者さんが講師をしてくれることで、トラブル時の細かい対応法や連絡方法を確認できます。

 

感染対策、感染管理

新型コロナウイルス感染症の位置づけは、これまで、「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」としていましたが、令和5年5月8日から「5類感染症」になりました。

法律に基づき行政が様々な要請・関与をしていく仕組みから、個人の選択を尊重し、個々人の自主的な取り組みをベースとした対応に変わりました。

新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について

 

変更ポイント
  1. 政府として一律に日常における基本的感染対策を求めることはない
  2. 感染症法に基づく、新型コロナ陽性者および濃厚接触者の外出自粛は求められなくなる
  3. 限られた医療機関でのみ受診可能であったのが、幅広い医療機関において受診可能になる
  4. 医療費等について、健康保険が適用され1割から3割は自己負担いただくことが基本となるが、一定期間は公費支援を継続する

 

基本的感染対策の考え方としては、感染対策の実施については個人・事業者の判断が基本となります。
基本的感染対策の実施については、感染対策上の必要性に加え、経済的・社会的合理性や、持続可能性の観点を考慮して、感染対策に取り組むこととされています。
そのうえで、個人や事業者が自主的に判断して実施する際に参考にするポイントについても述べられています。

 

基本的感染対策の考え方
  1. マスクの着用:個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断に委ねることを基本
  2. 手洗い等の手指衛生、換気:政府として一律に求めない。新型コロナの特徴を踏まえた基本的感染対策として、引き続き有効
  3. 「三つの密」の回避、「人と人との距離の確保」:政府として一律に求めることはしない。
    流行期において、高齢者等重症化リスクの高い方は、換気の悪い場所や不特定多数の人がいるような混雑した場所、近接した会話を避けることが感染防止対策として有効。(避けられない場合はマスク着用が有効)

 

新型コロナウイルス感染症は、依然感染力の強い感染症です。

訪問看護ステーション内で感染対策・感染管理についての学びは、スタッフの不安や困惑に対応できる勉強会になります。

 

まとめ

 

「訪問看護は、学びの機会が少ない」と入職をためらう看護師さんも多いと聞きます。

しかし、訪問看護の現場は日々成長し続けています。

学習機会が少ないと言われていた時代から一歩二歩と進み、様々な学びの機会が整備されてきました。

地域包括ケアシステム構築に向け、積極的に地域の中での活動を増やし、人脈を広げ、関係する医療機関と合同で研修や実習を行う訪問看護ステーションも増えています。

また、スタッフを積極的に外部研修に参加する環境を整え、訪問看護ステーション内で伝達講習を行い、全体の底上げにつなげる訪問看護ステーションも多数あります。

訪問看護に特化したビジケアでは、現役の訪問看護経営者や訪問看護管理者、訪問看護師達が訪問看護に関する情報をより新しく、より分かりやすく発信しています。

また、精神や緩和ケアや褥瘡の専門看護師や認定看護師もいますので、その分野の専門的な知識を学ぶこともできます。

勉強会ネタにお悩みの方や、新しい情報を学びたい方は、ぜひビジケアの活用を検討してみてください。

勉強会を開催し、人に何かを「教える」とは、本当に上質な学習機会になります。

忙しい業務の合間に、事例ごとに整理しておいたり、ご自身の発揮した専門性をまとめておくことで、勉強会の資料作りの負担を減らすよう工夫し、積極的に勉強会を開催してみましょう。

今回は、訪問看護における盛り上がる勉強会のネタ8選について紹介しました。

訪問看護ステーション内で行う勉強会は、知識・技術の底上げと同時に、スタッフ間の協力関係の強化にもつながる機会です。

ぜひ参考にしていただき、実りある勉強会開催にお役立てください。

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ABOUT US
甲谷 多恵子看護師/ライター
看護師/急性期の総合病院で血液内科、レジデントの研修(内科混合)病棟等の病棟・外来勤務を経験。総合病院で15年間勤務後、訪問看護ステーションに転職。新規立ち上げからの管理者経験あり/デンマーク研修機会に恵まれたことを機に、訪問看護の可能性を再確認、多職種連携の中で専門性を発揮できるよう何事も勉強の毎日/北海道在住