訪問看護は、看護師など医療従事者が自宅に訪問し、看護やリハビリテーションを提供するサービスです。
では、訪問看護を受けられる人はどのような人でしょうか。
この記事では、訪問看護の対象者について解説します。
目次
訪問看護を受けられるのはどんな人?
訪問看護は、乳幼児から高齢者まですべての年齢の方が対象です。
対象の疾患の制限もありません。
何歳でも、どんな疾患の人でも、医師の訪問看護指示書があれば訪問看護を受けることができます。
訪問看護を保険で受けるときは、介護保険または医療保険を利用します。
疾患名や年齢などによって、どちらの保険で訪問看護を受けるかが決まります。
介護保険と医療保険の使い分け
訪問看護を受けるときは、介護保険か医療保険を利用します。
介護認定を受けていれば介護保険を利用することになりますが、疾患名によって医療保険を利用する場合もあります。
以下でそれぞれの保険の対象者について解説をしていきます。
介護保険で訪問看護を受ける
介護保険の訪問看護対象者は以下の通りです。
- 65歳以上(第1号被保険者)の、要支援・要介護と認定された人
- 40歳以上65歳未満(第2号被保険者)の、16特定疾病の対象者
16特定疾病は以下の通りです。
- がん(がん末期)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
医療保険で訪問看護を受ける
医療保険の訪問看護対象者は以下の通りです。
- 0歳以上39歳未満の人
- 40歳以上65歳未満の16特定疾病に該当しない人
- 厚生労働大臣が定める疾患等の対象者
- 特別訪問看護指示書が交付された場合
- 精神疾患により精神科訪問看護指示書が交付された場合(認知症を除く)
医療保険の訪問看護対象者は上記の通りです。
③~⑤に該当する人は、介護認定を受けている人でも医療保険を利用し訪問看護を受けます。
厚生労働大臣が定める疾患等の対象者
厚生労働大臣が定める疾患等は以下の通りです。
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患
- 多系統萎縮症
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態
特別訪問看護指示書が交付された場合
特別訪問看護指示書とは利用者さんの状態が急激に悪くなり、頻繁に訪問することが必要な時に交付される指示書です。
交付するのは主治医で、診察をもとに指示書が発行されます。
介護保険を利用し訪問看護を受けている場合でも、特別訪問看護指示書が交付されている期間は医療保険に切り替わります。
精神科訪問看護指示書が交付された場合
精神科訪問看護指示書に基づく精神科訪問看護は、医療保険を利用します。
病名が認知症の場合は、介護保険を優先して利用します。
自費で訪問看護を受ける
保険を利用せずに、自費で訪問看護を利用することもできます。
保険利用の訪問看護では、訪問回数や訪問時間が限られています。
また、訪問看護は自宅に訪問して提供するサービスであるため、外出や外泊の支援を行うことはできません。
そのような場合に、自費訪問看護を利用するケースがあります。
訪問にかかる料金などは、サービスを提供している訪問看護ステーションによって異なります。
適用される保険によって訪問時間が変わる
利用する保険の種類によって、訪問看護が利用できる回数と時間数が異なります。
違いは以下の表の通りです。
介護保険 | 医療保険 | |
利用可能な回数 | 利用回数の制限なし
個々のケアプランによって利用回数が設定される |
週1~3回、1日1回まで
厚生労働大臣が定める疾患や状態に該当する場合は、週4回以上、1日3回まで算定可能 |
利用可能な時間数(1回あたり) | ①20分未満、②30分未満、③30分以上60分未満、④60分以上90分未満のいずれか | 30分~90分 |
別表7、別表8に関しては以下の関連記事をご覧ください。
まとめ
訪問看護を受けられる人は、乳幼児から高齢者までの訪問看護を必要とするすべての人です。
疾病や年齢により、利用する保険の種類が変わります。
そして、保険の種類によって訪問日数や訪問時間が異なります。
疾患や状況により保険の種類が変わった時は、訪問予定を見直す必要があります。
すべての人が訪問看護の対象となるため、訪問看護師は乳幼児から高齢者まであらゆる疾患を持った人と関わることができます。
その分、病態や小児・成人・高齢者の各年代についての知識が必要です。
幅広く勉強ができることも、訪問看護の魅力の1つです。
すべての人に看護を提供できるよう、今後も学びを深めていきましょう。