「利用者さんから土曜日に来てほしいと言われたけれど、うちの営業日は平日だけ……対応してもいいの?」「営業日以外に訪問したら、料金はどうなるの?」——訪問看護の現場では、運営規程で定めた営業日と、実際の利用者ニーズにズレが生じる場面が少なくありません。
結論から言うと、営業日以外・営業時間外の訪問看護は制度上可能です。ただし、料金の取り扱いや算定できる加算との関係、スタッフの労務管理には注意すべきポイントがあります。この記事では、一次情報に基づいて正確に整理します。
- 訪問看護ステーションの「営業日」「営業時間」とは何か
- 営業日以外・営業時間外の訪問看護は可能かどうか
- 特別な料金(休日料金)を徴収できる条件と、加算との関係
- 営業日以外の訪問に対応する際の労務管理の注意点
目次
訪問看護ステーションの「営業日」「営業時間」とは?
訪問看護ステーションは、指定を受けるにあたって「運営規程」を定めることが義務づけられています。この運営規程に記載すべき事項の一つが「営業日及び営業時間」です。つまり、営業日・営業時間は各事業所が自ら定めるものであり、全国一律の基準があるわけではありません。
多くの訪問看護ステーションでは、平日を営業日とし、土日祝日を営業日以外としています。ただし、これはあくまで各事業所の設定であり、運営規程で土日を営業日に含めることも、逆に平日の一部を営業日以外とすることも可能です。

「営業日」と「サービス提供日」は別の概念だという点が、意外と見落とされがちなんです。営業日以外だからサービス提供できない、という単純な話ではありません。
営業日以外・営業時間外の訪問看護は可能
指定訪問看護事業者は、正当な理由なく指定訪問看護の提供を拒んではならないとされています。利用者の状態や希望に応じて、運営規程上の営業日以外・営業時間外に訪問看護を提供すること自体は制度上問題ありません。緊急時の対応はもちろん、利用者の希望に基づく計画的な休日訪問も可能です。

特別な料金(休日料金)を徴収できる条件
営業日以外・営業時間外に訪問看護を提供する場合、利用者から「その他の利用料」として特別な料金を徴収できる場合があります。近畿厚生局の資料では、次のように整理されています。
指定訪問看護ステーションが定める営業日以外の日、または営業時間以外の時間における指定訪問看護については、指定訪問看護ステーションごとに、提供に要する費用の範囲内で設定した金額を、利用者から特別な料金として徴収できるとされています。
ただし、この特別な料金を請求できるのは利用者の選定に基づいて提供される場合に限られ、訪問看護ステーション側の都合(人員配置の都合等)で営業日以外に訪問することになった場合には徴収できません。また、あらかじめ利用者や家族に対して料金の内容・金額を説明し、同意を得たうえで、領収証に基本利用料(保険分)とその他の利用料(保険外)を区分して記載する必要があります。
加算を算定する日は特別な料金を徴収できない
重要な例外があります。夜間・早朝訪問看護加算や深夜訪問看護加算、長時間訪問看護加算・長時間精神科訪問看護加算を算定する日については、この特別な料金を重ねて徴収することはできません。加算と特別な料金は、同じ訪問に対して二重に利用者負担を求めることにならないよう、算定上すみ分けられています。
| 状況 | 特別な料金(休日料金等)の徴収 |
|---|---|
| 利用者の希望による営業日以外・営業時間外の訪問 | 徴収できる(要説明・同意) |
| 事業所都合による営業日以外・営業時間外の訪問 | 徴収できない |
| 夜間・早朝/深夜訪問看護加算を算定する日 | 徴収できない |
| 長時間訪問看護加算等を算定する日 | 徴収できない |

「利用者の選定に基づく」という条件がポイントです。事業所の都合で結果的に休日訪問になった、というケースまで特別料金の対象にはできない点に注意しましょう。
介護保険の訪問看護における取り扱い
介護保険の指定居宅サービスに関する基準(老企第25号)でも、利用者から支払を受ける利用料について、法定代理受領サービスであるかどうかで不合理な差異を設けてはならないという原則が定められています。介護保険の訪問看護は居宅サービス計画に位置づけられて提供されるため、休日料金のような特別な料金の設定・徴収については、医療保険のケースとは前提が異なる場合があります。実際の取り扱いは保険者や国民健康保険団体連合会によって解釈が分かれることもあるため、介護保険の利用者に対して休日料金を設定したい場合は、事前に所轄の窓口へ確認することをおすすめします。

医療保険と介護保険で前提が違う、というのは請求担当の方が特に混同しやすいポイントです。利用者さんがどちらの保険で訪問看護を利用しているかによって、休日料金の説明の仕方も変わってくるので、契約時の重要事項説明の段階で丁寧に伝えておくと後々のトラブルを防げますよ。
24時間対応体制加算・緊急時訪問看護加算との関係
営業日以外の訪問というと、緊急時の呼び出しをイメージする方も多いのではないでしょうか。24時間対応体制加算や緊急時訪問看護加算は、営業日以外・営業時間外を含めて、利用者やその家族からの相談等に常時対応できる体制を評価するものです。これらの加算を算定している事業所が、体制に基づいて緊急時訪問を行った場合は、前述の「特別な料金」ではなく、加算という形で費用が評価される仕組みになっています。
つまり、営業日以外の訪問には大きく分けて2つのパターンがあります。1つは、利用者の希望に基づく計画的な休日訪問(特別な料金の対象になり得る)、もう1つは、24時間対応体制のもとでの緊急時訪問(加算で評価される)です。この2つを混同せず、どちらの位置づけで訪問しているのかを事業所内で明確にしておくことが、正確な請求につながります。
営業日以外の訪問看護は労務上の管理が必要
制度上の料金の話とは別に、営業日以外に訪問看護を提供する場合はスタッフの労務管理にも注意が必要です。
- 休日に訪問した職員に対する代替休暇の確保
- オンコール対応時の待機・拘束性に応じた手当の設計
- 休日出勤の申請・承認フローの整備
- 労働基準法上の休日労働・割増賃金の取り扱いの確認
特に注意したいのが、法定休日(週1日または4週4日)に労働させた場合の割増賃金です。労働基準法では、法定休日に労働させた場合は3割5分以上の割増賃金の支払いが必要とされています。これは訪問看護に限った話ではなく、労働基準法が定める一般原則ですが、休日訪問が発生しやすい訪問看護の現場では特に意識しておくべき点です。運営規程上の営業日と、就業規則上の所定休日・法定休日は別の概念であるため、両者の関係を整理したうえで、休日勤務が発生した際の対応(代替休暇の付与か、割増賃金の支払いか)をあらかじめルール化しておくと、現場での判断がぶれにくくなります。
オンコール当番の「待機時間」自体を労働時間とみなすかどうかは、事業所の指揮命令下に置かれているかどうかで判断が分かれます。呼び出しがあった場合の対応にどの程度の即応性が求められるか、待機中の行動にどの程度の制約があるかによって扱いが変わり得るため、就業規則や賃金規程を整備する際は、社会保険労務士等の専門家に相談することをおすすめします。

よくある質問
訪問看護ステーションの営業日以外に訪問することはできますか?
可能です。運営規程で定めた営業日以外であっても、利用者の状態や希望に応じて訪問看護を提供することができます。訪問看護ステーションは正当な理由なくサービス提供を拒否できないとされています。
営業日以外の訪問では、必ず休日料金を請求できますか?
いいえ、必ずというわけではありません。利用者の選定に基づいて提供される場合に限り、特別な料金として徴収できます。事業所側の都合で結果的に営業日以外の訪問になった場合は徴収できません。
夜間・早朝訪問看護加算を算定する日にも、休日料金を追加で請求できますか?
できません。夜間・早朝訪問看護加算、深夜訪問看護加算、長時間訪問看護加算等を算定する日については、特別な料金(休日料金等)を重ねて徴収することはできないとされています。
介護保険の利用者にも休日料金を請求できますか?
介護保険の訪問看護は居宅サービス計画に位置づけられて提供されるため、医療保険のケースとは前提が異なる場合があります。取り扱いは保険者や国民健康保険団体連合会によって解釈が分かれることもあるため、事前に所轄の窓口へ確認することをおすすめします。
運営規程・料金の取り扱いは事業所ごとに異なり、告示・通知も改正されることがあります。実際の運用にあたっては、最新の告示・通知および所轄の厚生局・国保連にご確認ください。
運営規程に営業日以外の対応方針を明記しておく
営業日以外の訪問対応をめぐるトラブルの多くは、契約時の説明不足から生じます。運営規程・重要事項説明書の段階で、次のような内容をあらかじめ明文化しておくと、利用者・職員双方にとって安心できる運用につながります。
- 営業日・営業時間の具体的な範囲
- 営業日以外に訪問を希望する場合の申し出方法
- 特別な料金が発生する条件と金額の目安
- 緊急時の連絡先と対応体制(24時間対応体制加算を算定している場合はその旨)
特に、休日料金が発生するケースとしないケース(緊急時対応・加算算定日等)の違いは、利用者にとって分かりにくい部分です。重要事項説明書やパンフレットに具体例を添えて説明しておくと、後々の「聞いていなかった」というトラブルを防ぎやすくなります。
まとめ|営業日以外の訪問は「条件」を理解して対応しよう
訪問看護ステーションの営業日以外・営業時間外の訪問は、制度上可能です。ただし、特別な料金を徴収できるのは利用者の選定に基づく場合に限られ、夜間・早朝や深夜の加算を算定する日には重ねて徴収できません。制度の正しい理解と、スタッフの労務管理の両輪で対応することが大切です。
- 営業日・営業時間は運営規程で各事業所が定めるものであり、営業日以外の訪問も制度上可能
- 特別な料金(休日料金)は利用者の選定に基づく場合に限り徴収できる
- 夜間・早朝/深夜/長時間の各加算を算定する日は、特別な料金を重ねて徴収できない
- 介護保険の場合は取り扱いが分かれる可能性があるため、事前に所轄窓口へ確認する
- 労務管理(代替休暇・オンコール手当・休日労働の割増賃金等)の整備も忘れずに行う
正しいルールを理解したうえで、利用者の希望と職員の働きやすさの両方を大切にした運用を心がけましょう。















-485x254.png)








